2016/DEC/16 「リアル戦場のメリークリスマス」

今日は朝からチャド大使館へビザを取りに行った。そしてまさかのチャド大使館閉鎖を知らされた。ここでチャドビザを取ってから北上してチャドに入ろうと思っていたので、完全に計画が狂った。警備の男がフランス大使館へ行けと言うので、話をしに行ったが、「空路であればなんとかなるが、陸路では1度カメルーンに戻るしかない」と言われた。そこでカメルーン大使館へビザの申請に行ったが、大使が忙しいので今日は受付をしてないと、全く理不尽な受付拒否にあい、月曜朝に申請するしかなくなった。このバンギで一体何にそんなに忙しいのか和からない。

問題は、通常カメルーンビザは申請から2日後に受取りで、月曜申請では水曜の受け取りになり、次のUNの護衛隊付きのトラックが出る火曜には間に合わない。その次は土曜まで待たなければならない。この何もなさそうなバンギの町であと1週間以上も滞在しなければならないし、折角取得したチャドビザ用のインビテーションレターのチャドの入国予定日を過ぎてしまうことになる。

このままビザで手こずれば、クリスマスも中央アフリカで過ごすことになりかねない。そうしたらリアル戦場のメリークリスマスになってしまう。中央アフリカのクリスマスは映画に負けないくらいシュールなクリスマスになるだろう。

バンギの町は電気が限られたエリアにしかなく、夜は殆ど真っ暗で、到着したときは驚いた。こんなに真っ暗な首都は見たことがない。町の中心は中央アフリカの軍隊、警察と国連治安維持軍のトラックが常に行き来している。荷台にライフルを持った兵士を乗せたトラックは他の国でも見るが、ここではグレネードランチャーを持った兵士を乗せた車両もあるし、マシンガンを装備されたタンクも通ったりと、かなり本格的な装備を見ることができる。それだけここでは戦闘が起こり得るということなのかもしれない。この国の内戦がまだ収束していないということを肌で感じることができる。

国連治安維持軍はバングラディッシュだけでなく、エジプト、インドネシア、ネパール、モーリタニア、カメルーン、ニジェール、フランスとかなり多国籍だ。西アフリカなどのフランス語圏の国は分かるが、アジアの国は、何故来てしまったんだろうという雰囲気がある。言葉も通じないのに。

国連治安維持軍ということは国連の活動の一環なので、兵士を送ればお金が出るのだろうか?先進国も後進国もきっと同じ額が支払われるはずだ。治安維持軍に発展途上国からの参加が多いのもそれだと納得がいく。

町の中心はウバンギ川沿いにあり、川の向こうにコンゴ民主共和国のゾンゴという町がうかがえる。この川は下流でキサンガニから流れてきたコンゴ川とぶつかり、キンシャサ、ブラザビルの間を流れて大西洋に注ぐ。こっから貨物船に乗れば1週間でブラザビルまで行くことも可能だ。

港の入口近くに町の中心とも言えるランダーバートがあり、中央市場や大統領邸、各大使館、国連関連団体の事務所が集まっている。この辺りにはスーパーやカフェがあり、その殆どはレバノン人や中国人オーナーだ。現地人は路上でフルーツや野菜、中国製のおもちゃを売っている。野菜に混じって国連の配給品も横流しされ売られていたりもする。通りにはビニール袋に入れた水を売る男がたくさんいて、これらは明らかに自分達で水をつめたもので、どこの水を使ってるのか分からないので危険だ。

食べ物の屋台もカメルーンに比べるとかなり貧相だ。屋台の数は少ないし、揚げた魚の切身、ンデレ、煮豆にマニョークかフランスパン等の主食。サンドイッチの屋台もあるが、マヨネーズと野菜の切りカスがフランスパンの間に塗られてるだけだ。コーヒーは大きな鍋で煮たものをプラスチックのコップにすくって飲む。50CFA10円)と安い。テイクアウェイ出来ないがネスカフェでないのが良い。アフリカでネスカフェを飲む度に、何故コーヒーの産地の多いアフリカでネスカフェを飲まないといけないんだと考えさせられる。
スーパーで売られている物は全てカメルーンからの輸入で、この国で作られた物はMOCAFというビールくらいのものだ。輸入品は値段もカメルーンの3倍近くするので、現地人はまず買うことが出来ない。こんなに現金収入に困ってる国で、スーパーは隣国カメルーンの3倍の値段とは、実におかしなことになっている。

同じような事が起きていた国があったなーと思ったら東ティモールだった。あそこも独立戦争が終わり、独立したてで、製造業がなく、殆どの物を輸入してるので、べらぼうに高かった。これらは独立直後わんさかやって来たUNNGOのためのもので、現地人にはとうてい手がでない。こういうのを見ると現地人がかわいそうになる。

アフリカで途上国支援をたくさん見てきたが、何故製造業の支援をしてあげないのか分からない。旧フランス植民地ではいまだに多くの物がフランスから輸入されている。バカ高いフランス製品を買うより、自国で作れるようにすれば済むはずだし、貿易赤字を減らし、雇用を生むのだからいいことずくめのはずだ。当然アフリカの国がいきなり始められないので、そこは先進国が手伝ってあげたらいいのだが、色々な利権が絡みそういったことはまず起きない。支援とは言うものの自国の産業を脅かすようなことには手を貸さない。先進国の正義はどこかねじ曲げられている。




















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