2016/NOV/21 「やっぱり入れない赤道ギニア」

宿の前の屋台でライスに煮豆の朝食を取ってから、赤道ギニアの国境へ向かった。約束の8時半を5分ほど過ぎていたが、ロビンソンの姿はまだない。30分ほど待ったが、現れないので近くにいた人に携帯を借りて電話をしてみる。電話に出たロビンソンは「今すぐ行く」と言って切った。昨日はこれで4時間近く待たされたので、ホントに来るのかわかったものではない。

9時半にゲートに現れたロビンソンはJYUDO KARATEと書かれたT-シャツを着ていた。こんなの持ってるぞ!という感じで着てきたのだろうか。昨夜、ホントかどうか分からないが、柔道を習っていたと話していたが、それとこのT-シャツが関係あるのかは不明だ。

ロビンソンは直ぐに、「さっ 行こうか?」と言い、ゲートに向かって歩き始めた。警備の軍人たちと握手して、挨拶をかわしていく。確かに顔見知りのようだ。彼の堂々とした態度を見ていると、甥のガイエルが「コネがあるから心配するな」と言ったのもまんざら嘘ではなさそうだ。

左側の建物で皆、IDカードを見せている。多分ここを抜ければ、ゲートの向こうで待っているタクシーで3kmほど離れたエベリビンという町まで行けるはずだ。ロビンソンも見せて通り抜ける。ロビンソンに続いて、パスポートを見せるとその警備はロビンソンに何やら話をした。ロビンソンはエベビリンまでいって、午後には戻ると説明した。しかし、警備の男は神妙な顔でパスポートを持って別室に来るように言ってきた。

他の人はみな、IDカードで素通りしているのに。部屋の中にはよく肥えた背の低い男が無愛想に机に座っていた。ロビンソンも来てくれるのかと思ったが、部屋には入ってこない。英語が通じないので、なにを聞いているかは分からないが、エベビリンまで行って直ぐに帰ってくると説明してみる。

男は付いてこいと仕草して、部屋から出て、さっき挨拶した軍人のほうへ向かった。何やら軍人に指示をだして、軍人がロビンソンにそれを説明した。

するとロビンソンは「このあとお前はどうする?」と言った。「え!あれほど自信満々で皆知り合いだから大丈夫っていってたのに、終わり?」もう少し粘ってくれるのかと思ったが、なんの交渉もない。賄賂が必要なら少し多めに払うと伝えていたのに、そんな話をした様子もない。ロビンソンは「ここから先はビザが必用なんだ」と当たり前のことを言い出した。「そんなことは知ってるよ!昨日、ビザは無いけど行けるって話だったよね?」と言うと「赤道ギニアはコンプリケートなんだ」と言った。

まーそんにうまい話があるのかと、期待半分だったけど、昨日の自信満々の彼をみて、行けるんじゃないかと夕飯までおごったしまったのは大きな過ちだった。ロビンソンはまた「これからどうする?」と言うので「赤道ギニアに入れないなら、ここにいる理由はない。ジョウムへ向かうよ」と告げた。

ロビンソンはバイタクで昨日のバス会社へ連れていってくれ、そこで別れた。悪気はないのだろうが、やはりアフリカ人の言うことは信用ならないなーとアフリカに入って何度目なのか分からないが再認識した。

10時を回っていたので、朝のバスを逃したようで次のバスまで3時間も待った。これは昨日乗ろうとしたバスと同じ時間だ。ミニバンかと思ったが、途中で少し大きなマイクロバスに荷物を積み直して、そっちで行くことになった。

道中は快調に思えたが、途中から強い雨が降りはじめ、窓の上部から水が漏れ、丸で滝のように窓際の席に降り注ぎはじめた。こんなに酷いバスは始めてだ。勿論座席は窓際だ。シートには水溜まりができて、荷物をもって、立ち上がって耐えなければならなかった。窓際はどこも似たようなもので、皆内側の席に身を寄せて耐えている。車体が左右に揺れる度に、滝は社内に水を振り撒き、もはや、雨から逃れることは不可能だった。それに加え、道には所々穴があり、ガタン!と大きな振動を頻繁に起こした。

しかし、災難はここで終わらず、いきなり大きな音をあげて、車内にスゴい衝撃がはしった。体が窓に振られる。隣のおじさんや逆側の客も皆、こっちへ振られた。スゴい勢いでサッシに腕を打ち付けた。

車はコントロールを失いかけたが、なんとか道路にとどまり、すこし走って停止した。一体何が起きたか分からなかったが、他の乗客が太い木の枝に屋根がぶつかったと教えてくれた。車内は子供の泣き声が響き渡る。乗客はこぞってバスから出ようとするが外は豪雨だ。

外に出ると、バスの屋根に載せていた荷物の山が、荷台ごとぶっ飛んで道路の外に投げ出されていた。鉄製の荷台はネジ曲がり、荷物は森に放り出されている。車の方はフロントガラスが、車のボディーから20cmほどずれてしまっていた。運転席の扉もずれている。
道路にはみ出た大きな枝が、フロントガラス上部のボディーと荷台に直撃したのだろう。
取り合えず、自分のバックパックを探す。バスの運ちゃんとスタッフが森のなかにぶっ飛んだ荷物を道路に拾い上げている。見ると、バックパックは既に道路脇の腰壁の上に積まれていた。

全ての荷物を回収するのに時間がかかり、近くの町から新しいバスを呼んで、それを待つのにさらに時間がかかった。身体を打ち付けたおばさんは身体をネジっていたがっている。

今度のバスは比較的新しく、漏水がなくてよかった。今日はジョウムまで行くのは無理そうだ。乗り換えの予定のバルマヨで宿を探すことになるだろう。疲れのせいかウトウトと寝てしまい、車が止まり、乗客が一斉に降りはじめたので起きた。あれ?と思い、聞いてみるとヤウンデに着いたと教えられた。バルマヨは寝過ごした。

時計を見ると既に夜9時を過ぎていた。今日はこれ以上移動は出来ないだろう。Mapsmeで場所を確認すると、随分町から離れている。まったく今日はツイてない1日だ。赤道ギニアには入れないは、バスは事故るは、寝過ごしてヤウンデまできてしまうは。

ここから宿までタクシーはいくらするのだろう。バックパックはびしょ濡れだし、痛めた腕はバックパックを持ち上げることが出来ず、背負うのを手伝って貰わなければならなかった。言葉も通じないし、旅行者もいない。心が折れそうになる。取り合えず宿だ。











Recomend Posts

2017/APR/21 「最後の町」

日本へ帰る便は土曜日の昼にマドリッド発だったので、マドリッドには泊まらずトレドで 2 泊して、土曜の朝に直接空港へ向かうことにした。 マドリッド、トレド間は 30 分おきにバスがあり交通の便がよい。 トレドはスペインの有名観光地で、とても綺麗な町だ。スペインには何度も来てい...