2017/JAN/1 「スルタンの結婚式」

ついに2017年になってしまった。この旅で2度目の年明けだ。

朝の6時ごろにホテルの外でなにやら音楽が聞こえてきた。それは楽隊のように大人数で歩きながら演奏しているようで、段々近づいてきている。起きて2階の屋上から通りを見ると、道路脇に女の人たちが並んでいる。楽隊はまだ見えない。カメラを取りに部屋に戻り、また屋上へ行くと楽隊は既に行ってしまっていた。急いで下に下りて、レセプションに聞くと、「スルタンの結婚式だ。まだ向こうにいるよ」と教えてくれた。走って追いかけて行くと、1つの泥壁の家の前で楽隊が太鼓を打っていて、人々が中へ入っていく。家の前にはゲートのような、日除けのような物が作られている。

近くに行くと一人の男が中へはいれとジェスチャーする。いいのかなーと思いながら、中に入ると入口の建物の中にたくさんの男の人が集まっていた。そこを抜けると中庭があり、そこで楽隊が敷地の中を歩きながら演奏をして、周りの人が踊っていた。さらに奥には別の中庭があり、そこには女の人が集まっている。一体何処にスルタンがいるか分からない。男は写真も取っていいぞーとノリノリだが、さすがに女性を取るのはムスリムの共通ルールでダメだろうと遠慮した。

言葉が通じないので。これが結婚式だというのと主役のスルタンは自分の部屋にいるのが分かったが、他はよく分からない。このあと何か特別なものがあるのか、もうこれで終わりなのかも不明だ。まーまだ朝早いし、宿に帰って寝ることにした。

アガデスはこのホテルもそうだが、明らかにツーリスト向けに作られたホテルが数件ある。泥のモスクの前には土産物屋まであるし、以前はツーリストが来ていたことがうかがえる。町は日干し煉瓦と泥の建物と壁が迷路のような路地を作り、ローカル色の強いマルシェに、ラクダ市まである。久しぶりに見る、見ごたえのある町だ。だがツーリストがいない。

きっとニジェールの情勢が悪くなり、治安悪化にともない、ツーリストが寄り付かなくなったのであろう。アガデスから北へ行けばアイール山地に古い麒麟の岩絵があったり、北西にはティギダンテッスムの塩田があり見所が多いのだが、どこも車のチャーターが必要でシェアする人もいないのでかなり高額になってしまう。沢山旅行者が来れば、安いツアーも出来るのだろうが、今は警察で届け出が必要だったりとなかなか簡単ではない。いつか治安が回復したときニジェールは魅力的な旅行先になるだろうし、アルジェリアへのサハラ縦断路が復活する日がやってくるかも知れない。ポテンシャルは高い。

夕方、ラクダ市を見てから宿に戻ると白人の男が一人いた。彼はアフリカを半年ほど旅行しているスペイン人の旅人だった。カメルーン以来のツーリストだ。久しぶりに旅人に会うと嬉しいものだ。一人では旅の話をする機会がないし、英語が話せる人がいないので、まともな会話も随分としていなかった。

彼はわりと飛行機を使って、効率より回っているらしく、エジプトから南アまで陸路で南下して、そこからまた陸路で北上してきたと話すととても驚いた。ニジェールが131ヵ国目だと言うとそんなに旅をしてる人に会ったのは始めてだと興奮していた。

彼は明日の朝、ザンデールへ向かうというので一緒に夕飯を食べにいき、帰りに一緒に水タバコ屋でミントの香りの水タバコを吸いながら夜おそくまで旅の話をした。何処其処はあーだったとか、あそこに行くならあれを見ろとか、お互いの情報を交換したり、旅の後どうするとかいろんな話をした。


外国人に滅多に会うことのない地域で会う旅人は、まるで10年来の友達のように話がすすむ。旅の中のとても楽しい時間の一つだ。

















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