2017/JAN/5 「与える男」

ニジェールとナイジェリアの国境は西からザンデール、マラディ、ビルニ・コニー、ガヤと4つある。そのなかでポピュラーなのはザンデールからカノ、ビルニ・コニーからソコトへと抜けるルートだが、これらはニアメから東へ、来た道を戻ることになるので、ナイジェリア北西部のガヤからナイジェリアへ抜けるルートを取ることにした。ガヤはベニンとの国境の町で、ナイジェリア国境は町から少し戻った分岐から東へ入って15キロほどいったところにある。ガヤの町からはシェアタクシーがナイジェリア側のカンバの町まで走っていた。1500CFA300円)で6人集まれば出発。途中ニジェールイミグレとナイジェリアイミグレで止まってスタンプを貰う。ニジェールイミグレはワイロのワの字も出ずに気持ちよく送り出してくれた。問題はナイジェリアだ。ナイジェリアイミグレの評判は旅人の間では最悪で、国境によっては金を払うまでパスポートを返してくれないといった感じらしい。

イミグレの建物に入ると3人ほどスタッフがいて、一人が舐めるようにパスポートを見て、問題ないと言うと、今度は別のスタッフが舐めるようにページをめくり、まるでなんとかあらを探そうとしているようだった。最後の一人も同じようにパスポートを舐めるようにチェックして、オッケーと言うが、パスポートを返そうとしない。一番若いその男はお金を払えとジェスチャーする。面倒だなーと「何のこと?」としらばっくれていると、歳いったスタッフが若い男に「コイツはいいんだ」みたいなことを言って、パスポートを返してくれた。聞いていたほどではない。

ナイジェリア側の町、カンバに着くと、今度はオショボへの車を探さなければならないが、そもそもこの町はかなり辺鄙な所でバスさえ走ってない。人数が揃ったら出発するブッシュタクシーのみだ。聞いて回ると、オショボへいく車は無いので、カンタゴラまでいって他の車を探すしかないようだ。カンタゴラへのタクシーを探すとアブジャへ向かうという車が見つかり、途中でカンタゴラを通るのでそこで降ろしてもらえることになった。しかし乗客はまだ一人しかいない。

だがこの乗客の男はなんと2席分の値段を払い助手席に一人で座るという。アフリカでは助手席には二人座らせるのが常識だ。アブジャまで4000ナイラ(950)なのでこの男は8000ナイラ払うことになる。

話してみると、どうもかなり裕福な男で、普段は自分の車で移動するのだが、年末に親戚に会いにニアメへ一人で行ったので、初めてバスとタクシーを使って行ったという。男は「人が集まらないからお前も2席分買え」と言うが、2席買っても後部座席では、他の乗客とスペースを分け合うのでフェアではない。ちなみに後部座席は通常4人乗せる。

結局二時間以上待つ事になったが、男はその間コーラを2回ほど奢ってくれ、出発の時にもミネラルウォーターを買ってきてくれた。さらに道中でもジュースとパンを買ってくれたりと、自分が何か買うときには常に二人分買ってくれた。

カンタゴラには夕方6時頃に到着し、オショボ行きのバス乗り場へバイタクで向かったが、このバイタク代もその男が払った。一体何故そんなに払おうとするのか分からなかった。ニジェール出身のトゥアレグ族のこの男は西アフリカ中央銀行で働いていると話していたので金に困ってないのは確かだろうが、見知らぬ旅人にここまでする理由はない。与える男だ。

バスは夜9時頃に出るといい、しかもオショボまでは行かないので、イロリンという町で乗り換えろという。何時にイロリンに着くのか聞くと「夜中の2時くらいだ」と答えた。「そんな時間に着いてもどうしょうもないだろ」と言うと、「心配するなイロリンは24時間眠らない」と答えた。一体イロリンどんな所なんだ。


イロリンが眠らない町だったとしても、こっちは疲れていたので、今夜はここで1泊することにした。明日の朝に出れば、オショボには夕方にはたどり着けるはずだ。バイタクをつかまえ安宿を探し、2500ナイラ(592)の宿を見つけて落ち着いた。夕飯を食べに出たが、ここはムスリム色の強い町で、酒は発見出来なかったので仕方なくフルーツを食って寝た。ナイジェリアは闇両替のおかげで移動費も宿代もニジェールよりはるかに安く感じる。



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