ギリシャではメテオラだけは立ち寄ろうと決めていた。10年以上前にギリシャを旅したときにいけなかった場所だ。メテオラに行くにはイオアニナでバスを乗り換える必要があるようだった。エディはイオアニナはキレイな町だぞとすすめるので、そこで1泊してからメテオラに向かうことにした。イオアニナ行きバスは朝の6:30だ。前日にチケットオフィスで「明日乗るよー」と伝えてバスの座席表に名前を書き込んでおいた。ガラガラなのでチケットは当日買うことにした。
チケット代以外の余ったレクを使いきり、宿に戻りエディと酒を飲み始めた。エディは海の向こうに見える明かりを指差してコルフ島だと言った。コルフ島はギリシャだがかなり近いようだ。エディはサランダからも船が出てて、毎日9時と13時にあるという。コルフ島で1泊しても、8日の夜までにはアテネに着けるだろう。「本当に船はその時間なんだな?」と聞くと、エディは「間違いないから宿の心配をしろ」と言う。コルフ島をググルと島の中心地のケルキラはベネチア時代の街並みが世界遺産にもなっていてキレイだった。折角だし行ってみるかと腕時計のアラームを5時半から7時半にセットしなおした。
朝8時に起きてエディに別れを告げ、宿を後にした。港は海岸の一番端にあった。チケットはすぐ近くの代理店で買えと言われたので行ってみると、船は13時のみだと言う。9時はコルフ島からサランダに来る船らしい。宿に戻って寝ているエディーの鼻を塞ごうかと思ったが、ターミナルのカフェでコーヒーを頼んでテラスの席に座った。暖かな陽気でとても気持ちよく、宿の10倍は早いWifiがあったのでしばらくまったりしていると、うそつきエディもだんだん許せてきた。
出国手続きはターミナル内で行い、船は時間通りに出発した。なぜかパスポートに入国記録がなく、少し揉めたが、「まーいいよ」と言うことで出国させてくれた。税関もバックパックの口をあけたら、日本人だしね的な感じで「もういいよ」と終わった。良い国だ。
船はたったの45分でコルフ島のケルキラに着いた。これで19ユーロは高すぎる。サランダの宿3泊分以上だ。
宿を決めずに来てしまったので、バックパックを背負ったまま旧市街を歩いてまわる。町は細い路地が入り組んで、白い建物に緑の窓とベランダがベネチアのようだ。オシャレなカフェも多くなかなか良いところだ。少し行った所に海にせり出した要塞があり、その中のカフェに荷物を置かせてもらうことにした。ついでにWifiで宿を探した。ケルキラの町にはホテルしかなく、最低でも30ユーロだった。島で唯一のホステルは15Kmほど離れた町でそれでも16ユーロもした。
日が暮れるまでケルキラを見て回り、バスでホステルのある町に向かった。海岸沿いでバスを降りると辺りは真っ暗だった。通りにはレストランやカフェらしき建物が並んでいたが、殆ど閉まっていて、人も見当たらない。完全にシーズンオフだ。近くのスーパーで宿の場所を聞いてひたすら歩く。しばらくするとネットの写真で見た建物があった。だが、窓はすべて雨戸が閉まっている。裏へまわると側面のバルコニーのひとつに2人の欧米人が見えた。裏の入り口から通路に入ったが1階には誰もいない。2階も誰もいないようなので、さっきの欧米人の部屋をノックすると、1人が出てきた。彼は「ここのレセプションは殆どいなくて、たまに現れるがかなりインフォーマルでまだ子供だ」と教えてくれた。彼らも来たときに誰もいなくて、鍵の開いている部屋を勝手に使ったと言う。他の部屋の扉を押してまわり、開いていた部屋を指して「とりあえずここにしたら?」と言うのでその部屋に泊ることにした。
ギリシャの破産危機のニュースをしょっちゅう見るが、ここの人々を見るかぎり全く危機感は感じられない。町には日中カフェでボーっとしてる人が山ほどいるし、働いている人も座っているのが仕事だと思っている。観光名所は15:00には閉まるし、お店も11時から14時まで休みというところが殆どだ。そして、この宿はレセプションさえいない。観光が一番の産業ならもう少し頑張れば良いが、それもない。EUからの救済金を貰えば、きっとそれに甘え、何も改善はなく、また半年後にお金と言うだろう。一度破産してもらうのも長い目で見れば悪くないと思える。
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