バンギからのトラックに揺られること三日間、国境には昼過ぎに到着した。ここでトラックを降り、パスポートチェックを受けてから、バイタクでイミグレへ向かう。来たときと全く逆の手順だ。イミグレスタッフは覚えていたようで、「チャドへは行けなかったよ」と話すと、「だから言っただろう」と得意気だった。部屋にはレバノン人らしき男が二人スタンプ待ちだったが、彼らを退けて先にスタンプをくれた。あのレバノン人達は賄賂を払えと言われていたに違いない。部屋を出るときにイミグレスタッフは「ボン ボヤージュ」と言った。
続いてカメルーンイミグレ。荷物検査はあったが、賄賂請求はなし。実にすがすがしい出国だ。
続いてカメルーンイミグレ。荷物検査はあったが、賄賂請求はなし。実にすがすがしい出国だ。
さらにバイタクでバス会社のオフィスへ向かうと13時40分発という、ピッタリのバスがあった。なんだか今日はいい日だ。
ところが、やはりそんなにうま進むはずもなく、ガルアまで六時間くらいだと聞いていたのに、バスはそもそもガルアまで直通ではなく、ンガウンデレまでしか行かなかった。そこでさらに窓口でチケットを見せて次のバスに予約を入れてもらい、そのバスが来るのを3時間以上待った。結局ガルアに着いたのは朝の4時だった。
寒いし、真っ暗だ。バス会社のターミナルにはたくさんの人影が見える。皆、イスラム教徒が着る長いローブ風の服を来ていて、今までのカメルーンとはだいぶ雰囲気が異なる。バスを待つ人、ただ朝を待つ人、皆何処か疲れている。5時になると敷地の中の、モスクと書かれた縁石で縁取られただけの場所に人が集まってお祈りが始まった。ンガウンデレのターミナルにも礼拝スペースがあったが、これもやはり南部にはなかったものだ。
朝の6時になり、すこし空が明るんできたので調べてあった宿へ向かった。しかしHialla Village Hotelは値段表には5000CFA(1,000円)から部屋があるのに10,000CFA(2,000円)の部屋しかないと言われ、他の宿を探すことになった。そしてバイタクの運ちゃんに任せて、たどり着いた宿は安いだけが取り柄の宿で、テレビのある部屋やエアコン付きの部屋など何種類か値段の違う部屋があるのに、停電で肝心の電気がなく、値段の違いが全く反映できてなかった。連続の移動で疲れていたが、すぐにチャド領事館へ行かなければならない。宿のスタッフに聞いて、バイタクで領事館へ。
チャド領事館は町の中心からかなり離れていて、今までに見た中で一番無防備な領事館だった。敷地のゲートは開きっぱなしだし、一人だけいる警備の男も日陰で仮眠中で、建物の扉もフルオープンなので勝手に中に入ってスタッフを探さなければならない。スタッフもかなりユルく、「ビザね。問題ないよ」と細かなことは聞くこともしない。実はチャドVISAの為に送ってもらったインビテーションレターにある入国予定日は、既に過ぎてしまっていて、フォトショップで加工していたので、現地に電話されたらどうしようと心配していたが、特に確認もなかった。ただし、今は領事が不在なのでビザが出せないと言われた。
運が良かったのは、加工したインビテーションレターの入国予定日を明後日にしていたので、彼らも明後日入国なら今日中にビザが必要なんじゃないかと頑張ってくれたことだ。結局領事に電話して、オッケーが出てその日にビザを貰うことができた。この領事館からするとチャドは人が良さそうな気がする。
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