2016/JUL/1 「JICAの体育押し」

ブラワヨの町はなかなかいい雰囲気だ。植民地時代の建物がところどころに残り、区画整理された町は比較的低層で、ハラレほど人も多くなくのんびりとしている。おおきなスーパーがあり、なんでも売っているし、路上でオバチャンたちが並べてる野菜は信じられないくらい安かった。坂本隊員の家はしっかりしたキッチンもあり、お湯のシャワーもすばらしい水圧だ。なんなら坂本隊員の帰国までここに居ようかと思ったほどだ。

昨日は坂本さんと仲のよい、JICA隊員の人が泊りにきた。彼は野球隊員だと話した。JICAはそんなに細かくスポーツ隊員がいるのかと驚いた。皆で夕飯を食べている時にJICAの話を聞いたが、JICAはなかなかどうしょうもない団体のようだ。とりあえず、送り込んだという実績を作ることに集中していて、実際の成果には殆どチェックもないし、ノルマもない。隊員が好きにやって、ダメならしょうがなかったねで終わりだ。隊員もそれをいいことに旅行に邁進したり、自分で他の仕事を始めたりと自由だ。そもそも2年で終わりなので、目に見えるような成果が出ることは殆どないだろう。しかも、森さん、坂本さん、さらにこの友人と皆、体育系というのも不思議だ。アフリカで食べるものにも苦労している人たちに、今、体育が必要なのだろうか?JICAは今アフリカに1000人以上の隊員を赴任させていて、その中で体育系の隊員の数がかなり多いらしい。JICAの隊員をひとり送るのにかかる費用は2000万から3000万円と言われていて、それは税金から出されている。2000万と言えばアフリカではとんでもない額だ。国によっては100人くらいの人を1年雇える額だ。そんなお金を使って、人を日本から送り体育を教える必要が本当にあるのだろうか?この疑問はハラレで森さんと話したときからずっと持っていた。仲良くなったので、その辺を聞いてみると、坂本さんの友人は「もうすぐ2年になりますが、それは毎日考えてますね。正直必要ないんじゃないかって」と言った。そりゃーそう思うよね、おかしいよねと思ったが、答えは坂本さんが教えてくれた。JICAを通じての隊員派遣は日本からの援助であり、10人も送れば3億円の援助実績ということになる。さらに今JICAで体育隊員が多いのは、2020年東京オリンピックに向けて、世界にスポーツの支援をどれだけやったという実績を作りたいと安部首相の鶴の一声がかかったという。今は税金を払ってない身分なのでおおきな事はいえないが、かなり意味不明だ。そんなわけで、送られた隊員でさえ毎日本当に必要か悩んでしまうような体育系隊員が急増したのだという。これが本当に無償のボランティアでそこまで費用がかからないのならわかるが、彼らは家賃と生活費が支給され、さらに任期を終えたときにはまとまった金が支払われる。普通の隊員でさえ、現地の弁護士や医者のような人しか住めないアパートに住み、隊員の管理をする役職たちはプールとテニスコートのある一軒家に住んでいるというから驚きだ。

最近ニュースで、安部首相が中国のアフリカ進出に対抗して、日本は中身のある支援。成果主義でという話をしていたが、話に聞くJICAとはかなり対照的なはなしだ。本当に援助の実態が見えているのだろうか?


JICAも農業とか、かなり実績のある分野もあるとおもう。すべてが悪いというわけではないが、効率や成果を考えたお金の使い方をするべきだと思う。JICA以外にも競合の団体があり、成果や企画内容に応じて予算を割り振ってもいいはずだし、質を高めるには競争原理を働かせる必要がある。中国のようなインフラのみへの援助もどうかと思うが、体育ばかりというのはもっとおかしい。アフリカでラジオ体操を知ってる子供を増やすのに、日本はずいぶんお金を使ってしまっていることになる。









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