マットレスのおかげで寝心地は良かったが、朝方寒かったのでシャワーを浴びたあとにロッジのベッドですこし寝てしまった。このロッジはベッドルームが2つもあるし、リビング、キッチンがあり、なかなか豪華だ。テント泊にも関わらず、昨夜このロッジの鍵を預かったのでついついベッドを使ってしまった。
9時にテントをたたみ、遺跡のレセプションへ向かった。グレートジンバブエ遺跡は、東アフリカ縦断ではエチオピア以南で唯一の遺跡だ。行った人の評判はネガティブなものが多いが、自然と動物、民族がメインの東アフリカでこんなところに遺跡があるというだけで行く価値はあると思う(好きな人なら)。なにより、建築の様式が石を積み上げたもので、岩と一体になった遺跡群は建築的にかっこよい(好きな人なら)。キャンプ場もなかなか自然を感じられて、こういう自然の中の遺跡を歩いてまわるのはトレッキングみたいで楽しそうだ(好きな人なら)。
レセプションに荷物を預けて、チケットを買い、かなり広大な遺跡の敷地へ歩いてゆく。入り口にはなんでこんなに?というくらいスタッフが日陰で休んでいる。そこからは、目の前には大きな岩山の上に建てられたアクロポリスが見える。「おー あれかー」と少しテンションが上がる。
登り道は、いくつか分かれていたが、一番近道そうなところから登り始める。途中から石積みの壁が出てきた。石はただ置いただけで、崩れていきそうだが、この辺のはきっと修復で置かれたものだろう。積むだけなので簡単だが、やりすぎると元の遺跡とは全然違うものになってしまいそうだ。そう考えると何処まで元々の遺跡か怪しくなってくる。石は自然石の上にも積んであったり、石積み壁の途中から岩が出ていたりと、岩山と同化した感じがいい。
上に上がると、高い壁と中に続く入り口が見えた。立派な壁だ。中には宮殿であったであろう建物がどっしり構えている。これはかなり自然の岩を取り込んでいて、かっこいい。岩と石の取り合いや、入り口部分の曲面がいい感じだ。アクロポリスの中は迷路のようで、いろいろな場所へいける。一番高い岩に登ると、下にはグレートエンクロージャーや谷の遺跡群が見渡せた。
アクロポリスをくだり、併設の博物館にはいった。入り口のスタッフが「停電だから、携帯のライトでみてくれ」と普通に説明した。窓一つない展示室は真っ暗だし、展示室には、動物の剥製や当時の生活模様の説明のための人形があり、それらがいきなり照らされるとかなりびっくりする。わずかな携帯の明かりを頼りにまわる博物館は肝試しでしかない。
その後は、復元された住居のある場所をみて、まばらな石積みの壁が点在する原っぱを抜けて、アクロポリスに並ぶこの遺跡の目玉、グレートエンクロージャーにやって来た。ここの壁はグレートジンバブエ遺跡の中で一番の高さで、なかなかの迫力がある。内部はどうなっていたのか解かるほど残っていないので見るところは主にこの外壁だ。このあたりを他の旅人がこぞってショボいと言っているのかも知れない。でも、この壁も上部には格子状に積んで透かしてあったりして、なかなかセンスがいい。どうも聞いていた前評判よりも、いい遺跡に思えるのだが、人それぞれ価値観が違うので他の人が絶対にいいと思えるとは言えない。3時間くらい歩いてまわったが、なかなかの満足度だった。
遺跡を後にして、入り口にある立派なホテルのレセプションに頼んで昨日の太っちょの奥さんの電話をかけたが、何度かけても留守電なので、諦めてブラワヨまで移動することにした。歩いて街道まで出て、シェアタクシーでマシンゴの町にもどり、昼飯を食べてから、ブラワヨ行きのバスに乗った。2時を過ぎていたのでブラワヨに着いたときには暗くなっていた。毎度、暗くなってからの宿探しは心が折れそうになる。
そうも言ってられないので、手当たりしだい聞いてまわるが、みんな言うことが違うので、聞きすぎると軽く混乱する。ひとりの男がYWCAがあるというので、案内してもらうことにした。YWCAなら安いはずだ。