昨夜バスがガロアブライに着いたのは夜中の12時を過ぎた頃だった。真っ暗の町中でバス会社の周りだけが物売りで賑わっていた。バイタクを捕まえて、5000CFA(1,000円)以下で泊まれる宿へ連れていってくれと頼むと、2件ほど断られてから、ようやく空いている宿が見つかった。値段は2500CFA(500円)とカメルーンの宿では今までで最安だった。
朝起きて、宿のスタッフに中央アフリカへ行くと言うと、ここから国境までバイタクで200CFA、国境からUNの護衛隊が出るベロコまでは500CFAだと教えてくれた。
国境には500mほどの緩衝地帯があり、手前にカメルーンイミグレがあった。その横のポリスチェックですごく親日な警官からパスポートチェックをされ、そのあとイミグレに行くと、無愛想な軍人が「5000フラン」とだけ言いはなった。またワイロかと少し幻滅したが、「いいや払わない」と突っぱねると「いや、払え」と引かない。それならと「カメルーンに入ってからは警察からもイミグレからもワイロを請求されたことがない。カメルーンはワイロのない国かと思ったよ」と言うと何も言わずに出国スタンプをくれた。もちろんカメルーンは賄賂大国だ。国連の世界の汚職国家ランキングで1位に輝いたことを冗談っぽく話す国民に国を変える意思は一切感じられない。
続いて、中央アフリカ側。中央アフリカのイミグレは国境から1キロほど進んだところにあり、朝飯を食べてから向かった。中央アフリカのワイロ攻撃はかなりひどいと聞いていたが軽くかわすことができた。
そこからバイタクにのり、UNの護衛隊と共に移動するトラックが集まるベロコまで移動した。ロベコは道路沿いにトラックが何十台と停まっていて、直ぐに分かった。護衛隊と移動するためには登録が必要らしく、一つの建物にドライバーらしき男達が集まっていた。
黒人しかいないのでアジア人はかなり目立つ。直ぐに男達が集まってきて「カミオン?バンギ?」と聞いてきた。カミオンはフランス語でトラックだ。そうだと言うと男たちは20,000だ!とか30,000だ!と好き放題の金額を言ってくる。多分ここにいるのは本物のドライバーではないだろう。ドライバーと話すからと言って、歩き出すと英語を話す男が「いくらで乗りたいんだ?」と言ってきたので、5000と答えると「荷台でいいのか?」と聞くので「いや、室内がいい」と言うと「ついてこい」と言い、建物の中を突っ切って、裏に出た。そこは大きな駐車場のようになっていて、たくさんのトラックが留まっていた。
男は幾つかのトラックの運ちゃんに値段を聞いてくれたが、最低でも8000CFA(1,600円)だった。そこで「7000にならないか?」と聞いたが値引きには一切応じる気配がない。そもそも他のドライバーは言い値が15,000以上なので話にならない。
もう一回りしてから決めようと、男にお礼を言って別れた。現地人たちは荷台に乗っているが、これでは雨が降ればひとたまりもない。何より、荷台で2泊3日はチョットしんどい。それからドライバーを数人あたったが、10,000以下という人は現れなかった。しかも駐車していたトラックは徐々に敷地から出ていき始めた。これはまずいと思って、さっきの8000CFAのトラックを探し、何とかトラックを確保した。クンも10,000CFA払ったと言っていたので、きっと8000CFAは安い方だ。しかもこのドライバーはカメルーンの北西部出身で英語ができる。
敷地にはUNのヘルメットをかぶった浅黒い男達がいた。これが国連の治安維持軍かーとよく見てみると、肩に日本とよく似た国旗がある。ただし、色は緑に赤。これはバングラディッシュだ!なつかしい。アフリカで見るバングラディッシュ人はかなり親近感がわく。バングラディッシュを旅したときは同じ人間だと思えなかったが、黒人しかいないここでは、まるで親戚のようにさえ感じる。
話しかけてみると、「おー!日本人は友達だー」とやはり思った通りフレンドリーだ。「ここにはどれくらいいるの?」と聞くと「1年の任期だ」と答えた。彼らはベロコからバンギの護衛を担当していて、ロベコにはキャンプがあり、1500人ほどの兵士が配備されているという。
「中央アフリカで何してるんだ?」と聞かれ「旅行だ」と答えるととても驚いた。「治安は問題ないかな?」と聞くと「治安は問題ない。一番の問題は言葉だ」と答えた。「こっちの英語を彼らは理解しないし、彼らのフランス語は理解できないんだ」。確かに兵士間で意思疏通できないだろう。
見ていると彼らは現地人とは一切話をしないし、中央アフリカの軍人が挨拶してきたときも、かなりぎこちないフランス語の返事をしていた。さすがにバングラディッシュにも黒人はいないし、なんだこの真っ黒な奴等は!といった感じなのかも知れない。彼らからしてもここは異境の地なのだ。しかも中央アフリカの黒人の軍人が威張っているのに対して、彼らはどこかオドオドした感じでアウェイ丸出しだ。小心者の多いバングラディッシュ人の人柄が出ていてどこか面白い。まー、言葉が一番問題と言うくらいなら、治安はそこまで問題では無いのだろう。
午後の2時半に駐車場を出たが、すぐに停まりさらに2時間ほど待たされた。この日は150kmしか進まないらしい。100台にもなろうかというトラックの編隊は移動にとてつもない時間がかかる。
夕方にボウアという本日のキャンプ地に着いた。と言っても街道沿いに露天が並んだだけの村で、トラックは1ヶ所に集められた。トラックの荷台の現地人たちは、地面にゴザを敷いて横になり始めた。トラックの下が雨のときも濡れないから人気らしい。ドライバーはみんなこうやって寝るんだよと言うが、砂ぼこりが酷い。ドライバーの助手はスーダンで泊まったときに寝たような木のベッドをトラックから降ろして、寝る準備をしている。車の中で寝るのはドライバーだけのようだ。
仕方なしにテントを張ることにした。外でも寝れなくはないだろうが、夜にやっぱり寝れなくて張るよりはいいと思って、最初からテントにした。テントは珍しいようで、回りにはすぐに人だかりができてしまった。
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