2015/MAY/11 「Jungle Jack」

翌朝起きるとイギリス人がすでにミーゴレンを食べていた。この宿は気持ち程度の朝食が付いている。麦茶のようなコーヒー(飲み放題)と食パン、良いときはジャムが付くが、これは滞在中2回しか見られなかった。イギリス人は用意されたものでなく、自分で調達してるらしい。

これからどうするかと聞かれて、キナバル山へ登りたいがステラ サンクチュアリ ロッジから返答がないと答えると、ステラに泊る以外でキナバル山に登る方法があるという。キナバル山は東南アジア最高峰で4095.2m、通常、中腹の山小屋で1泊して2日目に登頂、下山となる。中腹の山小屋というのがステラ サンクチュアリ ロッジでベッド数に限りがあり1日に登れる登山者が制限されている。この予約を個人で取るのが、かなり大変でホームページでは大抵空きはなく、メールしても返信が来ない。そして値段も高い。ツアー会社を通すと、予約を取れるが15001800RMくらい取られるらしい。


イギリス人曰く、ステラ以外にもう一社ロッジがあり、その窓口になってるのがJungle Jackという男だという。Facebookでのみ連絡が取れるという。早速Facebookで調べてみる。よく焼けたおっさんにたどり着く。とりあえずメールを送って登れるかきく。返事はランダムでいつ来るかはわからないらしいがすべて込みで600RM程度で登れるらしい。これは破格だ。


銀行へお金をおろしに行こうと下へ降りたときに無愛想な太ったレセプションに、「Jungle Jackを知ってるか?」と聞くと、「知ってる」という。「連絡してあげようか?」というので「できるの?」と頼むとケイタイから電話をかけて話しだした。「いつ登りたい?」と聞くので「明日は?」い言うと、明日はできるかわからないけど明後日は確実だという。そんなに急で登れるのか?とかなり疑問が浮かぶ。そして値段は680RM だという。聞いてた金額より80RM高い。「600だと聞いたんだけど?」と聞くと、「今は680だ」という。話をしているとイギリス人がちょうど降りてきて「2週間くらい前に登った旅行者が600と言ってた」と言うと、太ったレセプションは少し怒り出し、「そうしたら自分でJungle Jackに聞いたらいいじゃないか、私は親切で聞いてあげたのに」と話を聞かなくなってしまった。

Skypeで電話してみるかとPCをもって降りてくると、それを見たレセプションは携帯で電話をかけはじめ、こっちへ来て「Jungle Jackだ。自分で話してみろ」という。うーん。これでは話がすでにまとまってるだろうと思いながら電話を受け取る。予想通りJungle Jack680RMだという。「その値段がいやならステラで泊ればいいじゃないか。680でいいなら手配する」という。選択肢がなくなってしまった。

「いつ登れるの?」と聞くと「キャンセルが出れば明日、そうでなければ明後日」という。また登る前日と降りてきた日に彼のロッジに1泊づつする必要があるらしい。
「明日は不確定だから明後日に行くよ」と言うと「今から来たらいいじゃないか?明日だめなら、もう一泊泊ればいい。食事も宿泊費も込みだ。なにも心配は要らない。何泊しても問題ない」という。どんなロッジなんだ?と余計不安になる。だいぶめんどくさいやつに捕まってしまったかもなと思ったが「じゃー今から行くよ」と返事して電話をきった。

Jungle Jack Lodgeはキナバル公園の入り口から1キロ手前の道路沿いにあり、キナバル公園行きのバスに途中で降ろしてもらえた。ロッジというかコンテナハウスだ。迷彩色のコンテナが3つ置いてあるのとコンテナの間に屋根のかかったラウンジだある。外にはシャワーとWCもあるようだ。すでに標高は1800mなのでかなり涼しい。

ラウンジに入ると、すでに今朝登頂し、降りてきた6人が座っていた。その中のインド人は異常な疲れを見せているがそれ以外は皆元気そうに見える。同じバスに乗っていた韓国人の女性も、どうやらJungle Jackでキナバル山に登るようだ。他にも明日登るというイラン人がテーブルにいた。それからまもなくの間にどんどん登山者が到着した。カナダ人中年男性、スイス人中年女性、オランダ人カップル、かなり若いドイツ人カップル、俺を含めて9人になった。


Jungle Jackはかなりのハイテンションで人が到着するたびに本当に簡単に施設の説明をした。ラウンジにはガスコンロやトースターもありパン、卵、チーズ、コーヒー、ティーが食べ切れないほどあった。奇跡的に気持ち程度のwifiもつながる。Jungle Jackは「ここにあるものは何でも好きなだけ食べていいけど、使った皿は必ず洗え」と全員に伝えた。まったく同じことが壁にも大きく書いてあるし、ここではよっぽど大事なことのようだ。


夕方になるとJungle Jackは「夕食に行くぞ」と皆を連れて近くの中華料理の安食堂に連れて行った。明日の朝にあと3人合流すると言ったが、俺の分の山小屋予約だけはまだキャンセル待ちだと言った。大丈夫か?


Jungle Jackはタンクトップの中華系マレー人でかなり人の話を聞かないし、同じフレーズを何度も繰り返す50くらいの中背男だ。食事中に明日の朝の予定を説明し始めた。7時くらいにおきて、各自ラウンジにあるもので適当に朝食を食べて、さらに自分のランチもラウンジにあるもので適当に自分で用意することらしい。この辺で大きく予算削減に貢献してるように感じた。出発は9時とのことで登山としてはかなり遅い。

夕飯後に宿にもどり、Jungle Jack Lodgeで唯一有料の13RMの密輸入ビールを2本開けて、ラウンジでみんなで話をして過ごした。ビールはなぜかホンジュラス産だった。




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