2016/JAN/22 「ソマリアの海賊と寿司ざんまい」

ベルベラはハルゲイサから東へバスで三時間弱の小さな漁村だ。目の前はソマリアの海賊で有名なアデン湾で日本の自衛隊もジプチの基地から出動して活動している。まさか、こんなところまでくるとはなーとチェックインしたホテルのバルコニーから海を眺めていた。
港近くに使われなくなった船が斜めに水に浸かっているのが何隻もみえてシュールだ。

友達が送ってくれたニュースには「寿司ざんまいの社長がソマリアの海賊にマグロ漁を教えて、足を洗わせて海賊撲滅」とあった。ソマリアの海賊はほとんどが元漁師でお金に困り、海賊になったと言われている。プントランドは海賊支援国家と呼ばれ、今は海賊行為の身代金はプントランドの大事な収入源になっている。これは身代金交渉には、海賊行為を行った海賊の氏族の長老があたり、交渉の代償として身代金の40~50%を受けとるという慣習からだ。外国人が拉致されれば一億円くらいの身代金が用意され、半分近くは長老を介して、その氏族に入ることになる。実際、プントランドの建物や車はその金で建てられた物も少なくない。マグロ漁を覚えたからといって、海賊がいなくなるとは思えない。海賊が減ったのはむしろ、船に警備が付いたり、各国の軍艦が護衛にあたっているからだろう。

ベルベラはソマリランドで一番の港でここの税収やエチオピアが支払う港使用料、ここからサウジやイエメンに輸出する家畜がソマリランドの主な収入だ。だが、実際にはかなり寂れた寒村で、港には壊れた船が斜めに放置されているし、近くの浜辺はゴミだらけだ。魚市場も小さく、たいした量の魚は揚がってない。この国は大丈夫なのかな?と心配になる。実際にこの国を旅すると仕事をしてない人がほとんどだし、多くの店は昼過ぎに閉まり、エチオピアからのチャット(カート)が午後に届くとチャット屋に人だかりができ、午後、男どもはカフェや家で友人たちとチャットを噛んで過ごす。宿は安いが、飯は以外と高く、チキンとご飯で4ドルもする。だが、飯屋は大抵繁盛している。少しおかしいなーと思ったが、ソマリランドは海外に住む家族からの仕送りが、国の総収入の3分の1にもなると聞いて納得した。働かなくともお金は送られてくるのだ。見る限り、ソマリランドがエチオピアから買っているチャット代金はスゴいことになっているだろう。海外で働くソマリ人が送った金はエチオピアへ消えて行く。ソマリ人は本当にダメなやつらだ。


午後にビーチへ行ってみた。多くの人がビーチでサッカーしたり、泳いだりして遊んでいる。相変わらず、ゴミは多かったが、暑すぎるベルベラで泳ぐのは気持ちよかった。

ベルベラの町には市場もなく、小さな商店がいくつかあるだけで、フルーツ屋台も殆ど見かけなかった。ソマリランド一の港町のはずだが、無い物だらけだ。なにより暑くで町は日中、ゴーストタウンのようだ。廃墟と化した古い建物が放置され、カートをかじる以外の生産活動は見られない。

結局ベルベラでは有名なソマリアの海賊もみかけなかったが、寿司ざんまいを知ってる人もいなかった。社長は何処の海賊を改心させたのだろうか。















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