2015/DEC/10 「そりゃないよスーダン領事館」

朝の6時前に部屋の扉が叩かれて声が聞こえた。シオリンだと思って、サンダルを履いて扉を開けるとシオリンとスタッフが立っていた。眠い目を擦りながらベッドに戻ろうとするとシオリンが「なんで田付さんがいるんですか?」と目を丸くしている。やはりカズくんは伝えてなかったようだ。

昨夜、チェックインの時にカズくんがレセプションにトリプルルームを頼んだので、「シオリンが来るなら俺は個室に泊まるよ」と言ったのに「何でですか?」と言うので「ダハブの恋の噂をきいたよ」と言うと「そんなわけないじゃないですかー!シオリンがそう言ってるんですか?」と言うので「いや、そうは聞いてないけど」と言うと「そんな噂があるなら、尚更一緒でお願いしますよ」と言うので3人部屋に泊まることにしたのだった。

8
時半に宿を出て、スーダン大使館へ向かう。宿のレセプションでショウくん綾ちゃんに会ったのでスーダン大使館でもきっと会うだろう。彼らはもはやシオリンとは犬猿の中になってしまったので気まずいことにならなければよいがと不安になる。そもそも彼女たちとはもう一緒に旅をしてないので巻き込まれるのは御免だ。下に降りてきたシオリンが「一緒に行ってもいいですか?」と懇願するように言うので「バラバラに行っても向こうで会うんだから一緒に行けばいいじゃん」と言って二人で宿を出た。

スーダン大使館のVISA申請の部屋に入るとやはり、ショウくんと綾ちゃんが椅子に座っていた。「よう」と挨拶して申請書を何処でもらったか聞いた。シオリンは目さえ合わせない。二人も静かにしている。う~ん。なんか学生のナイーブな人間関係みたいだ。こっちは関係ないので申請書をスラスラ書く。ショウくんたちは先に書き終えて提出すると「じゃー来週の木曜日ね」と言われた。なんと1週間だ!2日後に貰えると聞いていたが変わったのだろうか?こっちも書き終えて出すと同じことを言われた。「それでは困る。ホテルも予約してしまったよ」と嘘をつくが「ホントは2週間のところを1週間なんだよ」と壁に掛かっている掲示板を見せてくる。エジプトは昔旅行してるのでサクッと抜けたかったのに結構長くなるなーと思った。受付の男は上の階へ行ってしまった。納得が行かないのでこっそり上の階へ行き、領事の部屋を覗くと綺麗な身なりの女性が大きな机に座っていて、下の階で見かけた男もいた。「なんでここにいるのか?」と聞かれたので「1週間は待てない。なんとか少しでも早くしてくれないか?」とホテルの予約の話やら友達に会うやら嘘を並べてみる。シオリンは「私泣いた方がいいですか?」と聞くので「いけ」と言うと本当に涙を流した。感情なしに涙が出せるとは恐ろしい子だ。だが、何をいっても受け付けてもらえず、「少しでも早くできるかもしれないから1日前に取りに来ていいか?」と聞くと「あまり期待するなよ」と言われた。それを聞いて12日は早く取れそうだと希望がもてた。

宿に戻り、カズくんとシオリンとスークを見て回り、フルーカという帆船でナイル川を渡った。観光客がいないので一人10ポンドでナイル川往復と反対側で1時間ほど待っているように話がついた。帆船はエンジンはなく、乗り込むと船のオヤジに協力して帆を張った。船は風を受けていきなり動き出した。風がこんなにも力強いとは知らなかった。オヤジは操舵を変わってくれ、ターバンも巻いてくれたが短パンスパッツにターバンはかなり不思議な出で立ちだ。帆船は風を受けるために何度も方向を変えジグザグに進むため見た目以上に時間がかかった。オヤジは途中からなにもしなくなり、着岸までやるはめになった。

すぐ近くの山の中腹にある遺跡を見てから、一番上の祠のような建物まで登った。そこからはナイル川に浮かぶエレファンティナ島や植物園が見渡せた。太陽はもう沈みそうでナイル川の景色を鮮やかに染めた。少し冷たい風が吹いている。この町はナイルを眺めるには一番だと思った。

















Recomend Posts

2017/APR/21 「最後の町」

日本へ帰る便は土曜日の昼にマドリッド発だったので、マドリッドには泊まらずトレドで 2 泊して、土曜の朝に直接空港へ向かうことにした。 マドリッド、トレド間は 30 分おきにバスがあり交通の便がよい。 トレドはスペインの有名観光地で、とても綺麗な町だ。スペインには何度も来てい...