2015/DEC/19 「スーダンのマイケルジャクソン」

今日で入国三日目なので、今日中にスーダン滞在登録する必要がある。朝に役所っぽい所へ行ってみた。そこで「外国人滞在登録をしたい」と言うと「ここでは出来ないのでハルツームへ行け」と言う。カリマは居心地も良さそうだったから、何泊かしたかったが今日ハルツームへ行かなければならなくなった。綾ちゃんとショウくんはハルツームへ行く前にアトバラという町へ行くという。なのでこの町でお別れだ。

カリマにゲベル バルカルという遺跡があるのでそれを3人で見てからバスで移動することにした。歩いて入り口へ行くと誰もいないのでピラミッドへ向かって歩いていると、遠くから警備がやってきた。チケットを買えと言われる。もっともな話だ。

チケットオフィスは岩山な裏側でそこに着くまでには遺跡はおおよそ見れてしまった。しかもスタッフは「一人10ドルだ」とボッてくるので「じゃーいいよ」と引き返した。少し離れたところにあるピラミッドだけは見れてなかったので、隠れて岩山の上から見ようと思ったが、また警備に見つかった。しぶしぶ入り口から出たが、諦め切れないのでショウくんと綾ちゃんに「遠くから回り込んでピラミッドへいきたいから、もう一度試してもいいか?」と聞くと二人は了承してくれた。

敷地の周りの道をぐるっと回り込んで見るとピラミッドは実は街道のすぐ脇に建っていた。柵もなく出入り自由。ピラミッドはエジプトに比べれは小さいが角度が急で数も多く、砂漠の中に佇む姿はなかなか良かった。

町まではヒッチで戻ろうとすぐ近くの街道で車を止めると、難なく乗せてもらえた。車にはハイサムとルワイ、ウリードという3人の男が乗っていてハイサムとルワイは兄弟だと言った。「このあとは何処へ行く?」と聞かれて、「俺はハルツームで、二人はアトバラだよ」と言うと「俺たちも今日ハルツームへ戻る」と言うので、「じゃーハルツームまで乗せてくれないか?」と聞くと快諾してくれた。それを聞いた綾ちゃんは「じゃー私たちもハルツームへ行きたい」と言い出し、二人もハルツームへ来ることになった。ただし、車にはハイサム、ルワイが運転席と助手席に座り、後部座席に身体のでかいウリードと我々3人が並列で座らないといけなく長距離移動にはむかないように思えた。それでもハイサムに「ヤッパリ3人ともハルツームへ送って貰ってもいい?」と聞くと「ノープロブレムだ」と笑顔を見せた。

彼らはここからそう遠くないマラウィという村のナイル川にある中州に遊びに行くというので、このまま中州へ行くことになった。途中アバスさんという人の家により、他の人たちと合流し、飲み物や食料を積んで川へ向かった。みんなとても快く迎えてくれた。

ここのナイル川はエジプトで見るものより細く、緑と岩がたくさんありまるで違う川のようだった。暫くすると更にたくさんの人がやってきた。ヤギを肩にかけた男もきた。みんなで2隻の船に別れて乗り、すぐ先の島に渡る。島には砂浜があり、数人が料理の支度を始めて、あとはみんなでサッカーをした。砂浜サッカーは足を取られるのでかなりハードだ。みんな必死で走り、すぐにゼーハーゼーハー言って立ち止まり、また必死にボールを追った。こんなに走ったのは久しぶりだ。

サッカーを終えて戻ると数人の男がヤギを殺して捌き始めた。イスラム圏ではまず血を抜いてから捌く。後ろ足のアキレス腱にロープを通して吊るして皮を剥ぐ。トルクメニスタンの砂漠のユルトに泊めてもらっていたときに毎日1頭捌くのを手伝だわされたのを思い出した。

料理は大きな鍋にぶつ切りの肉を入れて香辛料と蒸す感じでモンゴルのホルホグにソックリだ。しばらくするとナスリーという男が合流して、みんなと握手をした。ウリードは彼は友達でスーダンの有名歌手だと教えてくれた。ハイサムは「スーダンのマイケルジャクソンだ」というが、少なくとも外観にはおおきな違いがあった。

ナスリーはタンブッラという楽器を弾いて謳い始め、みんなで囲んで手を叩いてリズムを取った。即興的な歌に聞こえたが、皆ナスリーの歌のほとんどを歌うことができたので有名な歌のようだ。どこか演歌のようなリズムとナスリーの渋い表情に皆酔いしれた。途中で料理が出来上がり、それを食べてまた、ナスリーのコンサートは続いた。気がつくと20くらいの人数になっていて、ナスリーを囲み、皆、身体を使ってリズムを取り、手拍子をした。どうやら独特の手拍子があり、いきなり別の手拍子になったりするのでしょっちゅう遅れをとったが、とても良い一体感が生まれ始めた。

4時にハルツームへ向かうと言っていたが、もう5時をまわっていた。ハルツームまでは6時間なので今出ても着くのは夜11時だ。だが宴会はなかなか終わらず、終わったと思っても船に乗る前にまた歌と踊りが始まるといった感じで、船の上でもナスリーは歌い続けた。これが本当にスーダンのマイケルジャクソンならすごい贅沢なことだがそれを確かめるすべは無かった。

ようやく車に戻り、走り始めたがハイサムの親戚の家に挨拶に行き、さらにはナスリーの家に行き彼が国から貰った表彰状やトロフィーを見せられた。7時半をまわってこちらはかなり焦っていたが、もうなるようにしかならないと諦めた。


ウリードは時速160kmで飛ばすから4時間で着くといったが、スーダンは道も悪く電灯もないので160km出したら吹っ飛ぶので80100kmと思った以上に安全運転だった。ハルツームには着いたのは2時でロカンダといわれる安宿が多くあるエリアでおろしてもらった。ようやくたどり着いたと思ったが安宿は何処も入れてもらえず、なんとか150ポンドで泊めてくれたツインルームのベットをくっつけて3人で川の字になり眠りに着いた。





















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