聞いていた通り夜行バスは容赦ない寒さだった。ただし寝袋を持ち込んでいたので寝袋に入って寝たのでぬくぬくだった。
エナには朝の6時に着いた。外は寒く、すぐに近くのチャイ屋に入り、チャイを頼む。5ポンドわたすとおつりは無し。絶対ボってるが寒くて戦う気にはなれない。不戦敗。ゴアのレインコートの上下を着て、チャイを飲み終えると寒さは少し和らいだ。線路が見えるのでそっちへ歩くとちょうど橋から日の出が見れた。太陽の光を背景に線路を歩いて駅に向かう人たちが見えた。
エナは小さな町のようだ。近くのおじさんにハトホル神殿へ行きたいと言うと「タクシータクシー」と言って、それを聞いたタクシーの運ちゃんたちが集まってきてしまった。とりあえず駅まで行き、クロークがあるか聞くと無いと一蹴される。荷物は持ったままハトホル神殿だ。
駅を出て前にいる人に聞くとハトホルへはミニバスを一度乗り換えればいけるという。その人は「あのミニバスだ!」と叫んだのでそのミニバスを追いかけて、止めて乗り込んだ。ミニバスは小さなミニバスターミナルに着き、そこでまたタクシー運ちゃん達をかわして、別のミニバスに乗り込んだ。
ハトホルはエジプトの遺跡の中でも保存状態の良いことで有名だ。中に入ると柱の上部の装飾や壁画は色鮮やかですばらしかった。内部の壁画はどれもとてもはっきりとしていて色が残っているものが大量にあった。
駅にもどり11時発の電車に乗りエドフへ向かう。手前の席のエジプト人大学生二人がいろいろと話してきた。エジプト人の学生はみんなフレンドリーで外国人に興味深々だ。
ルクソールで停車している時に窓の外を眺めていると、ダハブの宿で一緒だったカズ君がプラットフォームを歩いて窓の前を通り過ぎた。プラットフォームに下りて追いかけて隣の車両に乗り込もうとするところをバックパックを叩いて止めた。カズ君は驚いて「あー!田付さん!」と再会を喜んだ。これからアスワンに向かうところだったというので「エドフでホルス神殿を見てから夕方の電車でアスワンへ行かないか」と言うと「今日中にアスワンに着けるなら」と一緒に行くことになった。
ルクソールで停車している時に窓の外を眺めていると、ダハブの宿で一緒だったカズ君がプラットフォームを歩いて窓の前を通り過ぎた。プラットフォームに下りて追いかけて隣の車両に乗り込もうとするところをバックパックを叩いて止めた。カズ君は驚いて「あー!田付さん!」と再会を喜んだ。これからアスワンに向かうところだったというので「エドフでホルス神殿を見てから夕方の電車でアスワンへ行かないか」と言うと「今日中にアスワンに着けるなら」と一緒に行くことになった。
エドフの駅はプラットフォームまで砂で駅前はすぐにナイル川だった。エナもエドフもツアーでくる人が殆どなので町はまったく整備がすすんでいない感じだ。ホルス神殿へは橋のたもとからバスがあると聞いていたので橋に上がると、目の前に1台のリアカーを引くバイクが通りがかった。荷台にはレンガと石、子供が二人乗っている。手を振って停まってくれーと合図すると少し先で停まった。すぐに走っていき、荷台に飛び乗った。カズ君にも「乗れ乗れー」と合図を送ると走ってきて荷台に乗り込んだ。カズくんは「え?交渉無しですか?」と戸惑っていたが、まー面白いからいいだろうと楽しむことにした。
ほとんど英語は通じないがホルス神殿に行きたいことは理解しているようでどんどん進む。町中に入ると細い道に入り、カズくんは背負ってたバックパックを駐車していた車にぶつけて吹っ飛びそうになった。運ちゃんはケラケラと笑っている。
ホルス神殿は建物がほぼ完全に残っている数少ない神殿で、神殿の構造を知るにはいいが、内部の壁画や彫り物はハトホルのほうが格段に良かった。
エドフからの電車は8時半でアスワンに着いたのは夜11時だった。アスワンは懐かしい感じがした。ここはアブシンベル神殿とアスワンダムで有名な町だ。10年前に真っ青の空の下アスワンダムの畔に佇む、乾いた岩山に彫られたアブシンベル神殿を見て感動したのを思い出した。その時はまたここまで来るとは思いもしなかったが。