2015/NOV/12 「待つ日」

昨日の夕飯のときにイスラエル人のモミはイスラエル到着は6時だと教えてくれた。

6時前に起きて窓から外を見るとどう見てもまだ海の上。モミ情報はイスラエル人というので最初は信じてたがたいてい間違っている。食堂に降りて朝食を取ってから一番上の甲板に上がった。朝日の中、遠くに見えるのがイスラエルには間違いなかった。

8時過ぎに船はハイファ港に入港した。港には軍隊の船が沢山停まっていて、まるで軍港のようだ。船長はみんなに写真を撮ると問題になるので撮らないように伝えた。到着を待ちわびでいたみんなは甲板の上で並んでハイファの港を見下ろした。船はゆっくりと着岸し、エジプト人スタッフは急にあわただしくなってきた。モミはすぐに自分のピックアップトラックへ向かい、カールとパポも他のトレーラーがすべて下へ降りると自分たちのトラックへ向かっていった。彼らのトラックが下りていくのを見守ってから、船のスタッフに別れを告げて下の階へ歩いて降りた。

下の階は重機でコンテナを次々と船の外へ出していて忙しそうだった。乗船したときに話をした太っちょのギリシャ人スタッフに入国審査を聞くと入国審査官が来て船の中で審査をするから待てという。壁にバックパックを立てかけて船の外のベンチへ行くとモミもカールもパポもトラックに乗って待っていた。どれくらい待つのかはだれも知らないのでベンチに横になり空を眺めて待つことにした。いくら待っても来る気配はない。モミは朝、「お前は車がないからすぐに港から出られるよ」と言ったが、そんなふうにはならない気がした。

腹が減ったなーと思って時計を見るともう昼過ぎだった。船のキッチンへ行きシェフに腹が減ったというとランチを出してくれた。ここには他に食料を手に入る場所はないので沢山食べることにした。でもひょっとしたら夕飯も船でたべることになるかもなーと心配になった。

さらに3時間を待った。カールはIntelから沢山のグッズの提供を受けていてT-shirt100枚くらい持ってるからくれると言い、トラックから3枚持って来てくれた。ブルー地に白でIntelとかかれたT-shirtは意外に活躍しそうだった。

少しして、遠くから小さな乗用車がやってきて、サングラスをかけた若い女の子が2人降りて、入国審査官だと名乗った。まだ20代前半にしか見えないし、怖いぐらい放射状に伸びる長い睫毛と濃すぎるアイラインは完全にギャルだ。しかも態度がでかく威圧的だ。こんな入国審査官は見たことがない。モミはとても喜んですぐに話しかけにいったが冷たくあしらわれている。

入国審査は船の入り口近くの部屋で始まった。まず船のクルーから始まり最後から2番目に部屋に入るとさっきのケバイ女が足を組んで肩肘をついて、「何処からきたの?」と聞いてきた。「日本」と答えると「なんでイスラエルに行きたいんだ?」という。「観光だ」と答えると「イスラエルのことを知ってるのか?」と聞いてきた。「60年位前に国連の承認を受けて建国されたユダヤ人国家で、中東戦争で周辺国と関係がこじれてしまっている」と答えると笑って「そうだ」と答えた。あとは両親の名前や住所、職業などありふれた質問だったが、既婚かと聞かれ「シングルだ」と答えると「なぜだ?」と言われた。大きなお世話だと思ったが「ポピュラーではないからだよ」と答えると「わかった」と言って終了した。「入国スタンプは別紙がいいのか?」と聞かれ「もちろん」と答えるとスタンプの押された紙をくれた。

これで港を出られるのかと思ったが、そこからさらにセキュリティーチェックがあり、また待たされた。セキュリティーチェックの係りも若いバッチリメイクの女性でそれを若い男が警備するというのがイスラエルの人事のようだ。トラックドライバーたちはさらに税関にいく必要があったが、車がないなら港から出ていいよと言われて一人で歩いて港のゲートを出た。時計を見るともう5時をまわっていた。

調べていた宿に向かいドミにチェックインした。175シュケル。2400円くらいだ。イスラエルは高いと聞いていたが、西ヨーロッパ並みだ。日本人のバックパッカーがエルサレムだけしか行かないですぐに逃げ出すというのもうなずける。


今日は朝から待つだけの1日だった。でもようやく中東に入った。





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