2015/SEP/27 「杉原千畝」

カウナスはとてもきれいで、リーガに比べればほとんど外国人も見かけない小さな街だった。この街はソ連がヴィリニュスを占領していた間、リトアニアの首都だった場所で、当時、ここの日本領事だった杉原千畝がナチスに追われてきたユダヤ人に日本通過のVISAを政府の意向に反して発行して、6000人のユダヤ人を救った場所だ。昔の領事館は今、杉原記念館として、当時の資料を展示してあるというので訪れてみた。

ベルを鳴らすとスタッフの女性が出てきて、中に入れてくれた。小さな館内で他にはだれもいない。最初に杉原千畝のビデオを見てから、各部屋の展示を見てまわった。杉原はカウナスを出る電車の中でも、電車が駅を出るぎりぎりまでVISAを書き続けてユダヤ人に渡したという。VISAを手にした、ユダヤ人はロシア経由で日本に渡り、そこから世界中に散って行った。イスラエルでは杉原は英雄だが、日本ではそれほど知ってる人はいないかもしれない。

杉原記念館を出て、公園を通って新市街へ降りてくると自転車に荷物をくくりつけている白人がいた。よく見るとルーカスだった。「ルーカス!調子はどうだ?」と呼びかけるとこっちに気がついて笑顔を見せた。ルーカスは、昨日すこし離れた別の町から到着したらしい。体調を崩して、途中でバスに乗ってカウナスにたどり着いたという。彼もまた宿探しに苦労して、サマーホステルという宿に泊ったが、ドミは空いてなく25ユーロの個室に泊ったと説明した。
ルーカスの自転車はカーボン製でタイヤもとても高そうだった。彼はスイス人らしく、装備にはかなりこだわっているようで、マムートの3レイヤーのゴアジャケットにオークレーのサングラスをして、バックパックはアーキテリクスの超軽量モデルを使っていた。

ルーカスは今日もまだ体調が良くないので夕方のバスでポーランド国境へ向かうという。展望台に一緒に行くかと誘うと「Sounds not bad」といつもの台詞で返事をした。


展望台からは川に挟まれた旧市街が半島のように見え、空には雲が多かったが幸い太陽が出ていたのでなかなか良い景色が楽しめた。午後はルーカスと旧市街のカフェで過ごした。カウナスは川沿いに開けた、きれいな旧市街を持つのどかで良い街だ。







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