パルヌの近くにはキフヌ島という伝統的な生活を守っている人たちの住む小さな島があり、‘生きた博物館’と呼ばれていた。そこには是非行ってみたいと思っていた。
あいにくパルヌからの船は、木、金、日曜しか出てないので、翌朝、バスでムナライド港へ行き、そこからフェリーで島に渡ることにした。
寂しげなフェリーターミナルは、中に太ったおばさんが一人座っているだけで人気がしなかった。しばらくして出航したフェリーは1時間でキフヌ島へ着いた。たぶん観光客は一人だ。他の乗客は地元民なので船がつくとさっさと家に帰っていって、一人取り残されてしまった。ターミナルの中にはスタッフすらおらず、子供のお絵かき程度のキフヌ島の地図が張ってあった。これが役立つかはわからないが、ほかに地図は持ってないので携帯で写真を撮っておく。
レンタルの自転車がたくさん停まっているが、人がいない。すると、ターミナルの建物には2階があり、そこに人の気配があった。裏の階段から2階にあがり、扉を開けるとまた太ったおばさんが座っていた。自転車をを借りたいと言うと、鍵を持ってきてくれた。
島には町のようなものはなく、中心に教会と小さな博物館があり、他は民家が点在しているだけのようだった。途中、何件か商店らしきものもあったが、スーパーなどは見当たらなかった。外を歩いている人はほとんどいない。まー商店街があるわけでもないので、みんな家の中にいるのだろう。民族衣装を着て暮らしてると聞いたが、外に人がいないので見られない。
せっかくなので博物館を見てから、島の南端の灯台を見に行った。1階建ての家しかないこの島では一番高い建物だろう。と思ったら近くにもっと高いアンテナが建っていて、がっかりした。
島の中をぐるぐると自転車で回ったが、3人くらいしか人は見かけられず、皆、伝統衣装のスカートは履いてなかった。今のところスカートを履いていたのは博物館のスタッフだけだ。生きた博物館は死んでしまったのだろうか。すると、後方の道を自転車に乗った伝統衣装のおばあさんが颯爽と通り過ぎていった。追いかけようとしたが、自転車を遠くに停めていたので追いかけられず、走りすぎていくおばあさんを見送った。生きた博物館は、かなり重病だが、まだ死んではいないようだ。
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