2015/JUN/18 「バリエム谷トレッキング」

夜トレッキングをするか考えて、せっかくだから谷へ入り、村を回ろうと決めた。

7時にホテルの朝食を食べにレセプションに行くとインドネシア式コーヒーと味のしないパンだけだった。歯を磨こうとすると蛇口の水が出てこない。スタッフに伝えるとホテルの裏のドラム缶の中の水を使えと言われた。200,000Rs払ってこんなホテルは他には無いだろうと笑えてきた。昨夜もいきなり女の人の叫び声が聞こえて、扉をたたく音がホテルに響き、その部屋からダニ人女性が飛び出していった。どうやら現地人にはラブホテルのように使われているようでトラブルも多そうだった。


トレッキングに行くからチェックアウトだと伝えて、チェコ人達の宿へ歩いた。チェコ人たちは歓迎してくれたが、ガイドは人数が増えるならガイド料を上げる言い出しもめることになった。1日のガイド料を300,000から400,000Rsにするのと市場で追加の食料を買って今のポーターの人数で足りるか決めるということで話がついた。チェコ人とガイドは昨日市場で食料を購入済みだったので、途中市場で俺の分だけ調達する必要があり、ガイドが必要なものを選びお金を払った。

市場もスーパー同様すべてべらぼうに高かった。チェコ人は野菜も卵もチェコよりも高いと笑っていた。さらに一人100,000Rsずつ払って野菜を調達した。チェコ人は一人は30代半ばの背の高い男でマーチンといい、もう一人はイケジーという背の低い65過ぎのおじいさんだった。イケジーは英語が苦手だが、自分の見てきた民族の話をするのが好きで一人でどんどん話をし常にニコニコしていた。マーチンはあまり話さないし笑わないが英語がイケジーより上手いので基本的には彼がイケジーの通訳をした。面白いくらい正反対の二人組で面白かった。


彼らはワメナに来る前にデカイという町に行きそこからコロワイというツリーハウスに住む民族の村にトレッキングに行ってきたといい、写真を見せてくれた。コロワイの人は以前は2030メートルくらいの高さの木の上に家を建てて暮らしていた民族で写真で見たものはジャングルの上から屋根が見えるものもあり、見たことのない光景だった。ダニ族と違ってコテカもつけないで紐みたいなものでチンコを縛ってあるようだった。ただし、30mもの高さのツリーハウスは昔のもので今は45m程度の高さに建てられたものに住んでる家族が少数いるだけで訪れた村では地上で暮らしていたという。


ダニ族同様裸の人は皆無で年寄りが写真を取らせてお金をもらうようなシステムができているそうだ。コロワイはいくつかのダニ族の村と同じようになんでもかんでもお金を請求するという親切心のかけらもない場所のようで彼らはトレッキングの途中、川を渡るのを手伝うのに200,00Rs要求され、流れが強く荷物があったのでしぶしぶ払ったらしい。しかも2回。パプアのハイランド地方の村はお金の影響でほんとにぶっ飛んだ場所になってしまったようだ。

ガイドと買い物が終わり、俺とマーチンは自分のバックパックは自分で背負うということでポーターの数が当初の予定通り3人で済んだ。ポーターの3人は英語は話せないがかなり気のいいやつらで、裸足で歩き、市場で買ったズタ袋に食料、調理用具を入れて肩に担いで、時折「ホ、ホ、ホ、ホ」とみんなで掛け声をかけながら歩いた。掛け声をかけてるときは本当に人間とサルの間の生き物に見えた。一番歳のいってる緑のシャツを着たヤリスは首や肩を動かすたびに「ギィー、ギィー」という機械のネジが回るような音を発していたが、何が原因かはわからなかった。彼はバリエム谷の奥の村で唐突にケイタイを取り出して「ハローハロー?」と遠くを見つめる特技があり、みんなを笑わした。

1泊目の予定地のキリセにはバスを降りたところから2時間歩いただけで着いてしまった。途中休憩しているときに後ろからコテカのおじいさんが歩いてやってきた。コテカ以外は何も身につけてないそのおじいさんは何故か折りたたみ傘を左手に握っていた。裸でもやはり濡れたくはないようだ。

キリセは観光客のために作られた感がひどく、ガイドにここ以外に泊れないかと話したが納得しなかった。宿泊者用に作られたホナイという伝統住居には丁寧にマットレスが敷かれていた。


トレッキング客用のホナイとは別にキッチン用の小屋があり、そこでガイドは調理を始めた。夕食作りは3時間を要した。そしてできたのは白ご飯、野菜焼きそば、野菜炒め。焼きそばは野菜炒めにインスタントの麺を混ぜただけなので味はまったく一緒だった。山で食べることを考えれば豪華な食事だ。食事を終えると外はすでに真っ暗でなにもやることが無いのでホナイにもどり寝るために横になった。

ポーターたちが夕食を食べながら話している声以外は何も聞こえない静かな夜だ。








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