2017/JAN/14 「マココスラム」

昨日、イケジャへバスで向かっているとき、第三メインランドブリッジからメインランド側に巨大な水上スラムが広がっているのが見えた。あれが噂に聴くレゴスの水上スラムだ。

昨夜ジャコが「明日はイングリッシュパブで朝食を食べよう」と提案して、いつもの中国人や台湾人の友達を誘って、今日は朝からイングリッシュブレックファーストを食べた。ジャコは土曜日だが、このあと仕事に行かなければならないらしい。

ジャコにスラムの事を聴くと、彼の昔のドライバーに頼んでガイドしてもらうことができると言い、その場で連絡を取り、午後にスラムへ行く手配をしてくれた。

13時半にジャコのドライバーが迎えに来て、スラムの近くで仕事を終えたジャコと合流した。ガイドに払ったお金は18,000ナイラ(36USD)で、これにはスラムのチーフに払う金や、水上スラムを回るボートチャーター代が含まれている。台湾人のブライアンも参加して3人になったので、人数で割れば一人12ドルということになる。人数が増えても値段は変わらなかったが、手漕ぎボートは乗れてもあと一人が限界だろう。

スラムはマココと呼ばれるエリアで、車で細い路地を進んだ所で止めて、そこから迷路のような路地を歩いた。ここまではナイロビのキベラスラムとそうかわらないのだが、しばらく行くと、船着き場らしき細長いゴミだらけの水路に面した桟橋に着いた。水路の両側には水上住宅が続いている。水は恐ろしく黒く、墨汁のようだ。表面は油でギラギラして水の中が一切見えないし、とてつもない異臭が立ち込めている。桟橋にはボートから降りたひとやボートに乗り込む人で混雑している。

ガイドが一台のボートを捕まえて、皆乗り込んだ。ジャコはお金以外にチーフにお土産用のワインを1本持ってきていて、まず、チーフの家に行き、挨拶し、スラムにいる間、問題が起きないように補償してもらう。後で見たがチーフには6000ナイラ、ボートに2000ナイラほど払っていた。それ以外にもスラムに停めた車を店の人に見張ってもらったお礼や、因縁をつけてきた男に200ナイラ程度手渡していた。

ボートは水路を進み、何度か角を曲がって、チーフの家にたどり着いた。上陸して家に入ると若い男が二人ほどいて、ガイドが何やら話をしていた。ガイドは「今はチーフは不在なので、奥さんにお金を渡そう」と言って、奥さんの居場所を教えてもらった。

また舟に戻り、今度は奥さんがいるという学校の前にやって来た。学校も家と同じく水上にあり、子供達が8人くらい遊んでいる。チーフの奥さんが学校の近くで、ボートに乗っているのを発見して、ガイドがボート越しに話をした。これでスラムでは何も起きないはずだ。
学校は建物の前に小さな校庭があり、子供達が遊んでいる。子供達は顔に白い塗料を塗っていて、舟に向かって手を振ってきた。

このスラムは陸の部分もあるので、水上には主に住宅があり、買い物は陸にあるお店で済ますようだ。なので、水上スラムには床屋と小さな店が、数件あるだけだ。住宅の回りには大抵ゴミが水面を覆っていて、酷いことになっている。今までに見たスラムの中でもこんなに汚いスラムは初めてだ。

スラムの外に向かって、舟を進めていくと第三メインランドブリッジが見えた。視界はかなり開け、目の前には湾が広がっている。

水上スラムから湾に出る所に丸太を4~5本つなげた筏のような物が、百個くらい集まった物があり、子供達が上で遊んでいるのが見えた。ガイドはここは魚市場だと教えてくれた。

恥っこの方に物を売る舟が何艘があるだけで、魚を売る人は見えない。きっと朝に来たら見られるのかも知れない。この丸太の上で行われる市は、なかなか興味深い。

そのあとはまた違う水路へ入っていき、途中から上陸して、迷路のような路地を歩いて、車の所まで戻ってきた。100万人近くが暮らすというナイロビのキベラに比べれば、小さいがそれでも15万人が暮らしているという。多分元々は陸地のスラムだけだったのが、どんどん増えて水上に家屋を建て始めたのだろう。ここの住人は殆どがベニンからの不法移民で、英語すら通じない。現金収入のないベニンの漁村の人が、大都市レゴスに来れば何とかなるだろうと考えて、夜中に海岸線を舟で進んできたのだろうが、ここに来ても仕事はない。人口2000万とも言われるレゴスの縁にはマココよりも遥かに大きなスラムが延々と広がる。多分スラム人口はアフリカで一番だろうし、レゴスはこれからも拡大を続けるのだろう。

その日はスラムの帰りにオリエンタルホテルの中華レストランでジャコに点心をおごってもらい、夕食にはレゴスで一番の寿司レストランで寿司までおごってもらった。ここまでしてもらうとさすがに素直に喜べないところもあったが、ケープタウン以来の寿司は妙にカラフルで妙に旨かった。





























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