オモバレーで見てみたい民族はハマル族、ムルシ族、カロ族、ニャンガトン族、ダサネチ族だった。その中でカロは車をチャーターする必要があり、安く訪れるには人集めがいるので苦労しそうだった。ムルシ族の村と違い、ジンカから遠いので行く人も少ない。
アルバミンチで狂犬病ワクチンは南部ではアルバミンチにしかないと言われたので、今日は狂犬病のワクチン接種のためにアルバミンチへ戻る予定だったが、昨夜、ジンカのジェネラルホスピタルに行くと、なんとワクチンがあり、無事3回目の接種ができた。
そんなわけで、今日は朝からカロへ行く旅行者を探していた。ところが、少数民族めぐりをする人たちは、時間節約のため殆どの人がアルバミンチでツアーを組んでいるので、ジンカにはツアー客以外の外国人がほとんどいない。ホテルへ毎日やってくる客引き達を総動員して、町にいる外人を探した。
ジンカのメインストリートをネットカフェへ歩いていると、かなり歳のいった欧米人のおじさんが客引きの捕まっていた。横から入り、「カロ族へ行かないか?」と言うと、おじさんは「カロ族がどんな民俗か、どこに住んでるか、行くのにどれくらいかかるかまず説明しろ」と言った。なんか面倒な外人だ。客引きが「横からはいってくるな!」とうるさいので、おじさんに「興味があれば教えてくれ」と言ってその場を離れた。
ネットカフェの外のベンチでコーヒーを飲んでるとさっきのおじさんがもう一人のおじさんとやってきて「さっきの話を聞かせてくれ」と頼んできた。もう一人のおじさんのほうが話がわかりそうだったので、カロ族の行く人を探していること、カロ族の村へはジープをチャーターする必要があること、カロ族はボディーペイントで有名で、村からはオモ川が眺められることを話すと、彼らの行きたい村も名前を知らないだけで、実はカロ族の村だったということが分かった。面倒なほうはスイス人で、もう一人はドイツ人だった。彼らは今日はカイヤファールのマーケットへ行くというので、こっちが車と他に行きたいツーリストがいない探してみると約束して、夕方にまた会おうと言って分かれた。
バスターミナルへ行き、車を探すとジープは3500ブルもする。高いなーと思って、宿に戻ろうとすると、一人にミニバスの運ちゃんが話してきた。彼は「ここだと他の客引きがいるから外で話そう」といい、値段を聞くとジープでなくとも行けるといい、彼のハイエースで行けば2800ブルでいいと言った。ジープで無いと厳しいと聞いたと言うと、彼は昔、カロ族の村に住んでいたので問題ないと言い切った。さらに値段を2500ブルまで値切り、連絡先を聞いて、明日の朝6時に待ち合わせをして分かれた。これで車は確保できた。ジープで無いので予想よりかなり安くなった。
宿に戻ると、オーナーが日本人が一人チェックインしたと教えてくれた。会いに行ってみると60前後のおじさんで、なにやら「このホテルは外人から宿代をボッてる」と超不機嫌で、あのスイス人以上に面倒くさそうだ。ただ、頭数が増えれば交通費がかなり安くなるので、話をすると、「エチオピアはねー ボラれるか、戦うかの2通りしかないよ。僕は常に戦うけどね」と聞いても無い返事が返ってきた。予想以上に面倒なおっさんだ。さっき交渉した車の話をすると、「もっとぜんぜん安くなるよ。僕もそこ行きたいから、僕が車ちょっと調べてみるからさー 待ってよ」と言うので「それではお願いします」と言って部屋に戻った。
おっさんは世界中旅してるようで、超強気だ。それでももっと安い車が調達できるなら助かると思った。しかし、午後におっさんを訪ねると、「この町はみんなグルで、値段下がんないよー。カロの村行くならジープで、1台180ドルだって」と意見を180度変えていた。180ドルだと4000ブルちかい金額だ。しかも、すごい弱気になっていて「僕ね、トラブルはもうやだから、ちゃんとした旅行会社で車を借りたいんだよね。」と言いだした。旅行会社から借りれば、高いのは当然だ。おっさんは「なんかジンカに来てから体調が悪いし、アルバミンチに帰ろうかな」と言いだした。「えーー!それだと人数減っちゃうんですけど。カロ行かないでいいんですか?」と言うと、「昨日、町で歩いてるムルシ族の写真、お金払って撮れたから、僕もういいや」とガッカリの返答が帰ってきた。あんなに強気で俺に任せろ的なこと言っておいて、どうやったらこの短時間でこんなに日和ってしまうのか理解不能だ。
おっさんには本当にガッカリしたが、車はさっき確保してあるので、人探しも切り上げてカイヤファールのマーケットを見に行くことにした。バンナ族のマーケットだが、見た目はハマル族と殆ど変わらない。マーケットはディメカ、トゥルミよりもはるかに大きいが、ツーリストだらけで、イマイチ雰囲気にかける感じだった。
夕方にジンカに戻り、スイス人達の泊ってるホテルへ行き、車の調達ができたこと、他に人は見つからなかったことを伝え、明日の朝彼らのホテルに集合と伝えて分かれた。あとはあの運ちゃんがほんとにカロ族の村までいけるかだ。