2016/FEB/12 「わがままスイス人とカロ族」

昨日会ったスイス人達が泊っているGOH Hotelへ約束の6時に行くと、ドライバーはすでに門の外で車に乗って待っていた。時間より早く来て待っているエチオピア人など見たことがないので驚いた。まだ夜明け前で外は真っ暗だ。ドライバーのジョバンニは信頼できそうだ。彼は出発時に半額、帰ってから半額の支払い条件をすんなり承諾し、もし、カロ族の村までたどり着けない場合も全額返金するといった。

しばらくするとスイス人とドイツ人のおじさん達がホテルから出てきて、皆で車に乗り込み出発した。ジョバンニのハイエースは快調に飛ばし、途中日の出を迎えた。ディメカとトゥルミの中間で、右折して未舗装の道へ入った。ここからが道が悪くなるはずだ。だがジョバンニはこの道はあたらしい道で、前の道よりもいいのでハイエースでも大丈夫と自信たっぷりだ。

しばらく行ったところの分岐をさらに右折して、もっと悪い道に入った。だがジョバンニは見事に悪路を乗り切り、数えきれないほどのヤギの群れを見ながらカロ族の村、コルチョに着いた。村の入り口に車を止めると、目の前は崖でその下にはオモ川とどこまでも続く、ジャングルが広がっていた。これが話しに聞く景色だ。上から眺めるオモ川は崖の下で曲がって、その先へ流れている。壮大な景色だ。ただ、すぐにカロ族に囲まれて、写真を撮れ攻撃がはじまった。しかも、カロを訪れる人は少ないと聞いていたが、ツーリストを乗せたランクルは3台停まっていて、写真撮れ攻撃にあっていた。

村に入る前に入村料を村の長に払う必要だあったが、スイス人は、もうひとつ奥の村も行きたいと言い出し、そっちの村を見てからどちらの村に入るか決めると言い出した。ただ、すでに村の前の風景の写真を撮ってしまっているので、ガイドはここの入村料は払わないとカロ族が納得しないと言うと、機嫌を悪くしてしまった。そもそも、もうひとつの村に行く話はなかったし、そっちの村は景色はよくないのであまり興味も無かった。ドイツ人がスイス人をたしなめ、お金を払って村に入ることになった。このスイス人はそもそも車の手配も人探しもせずに、こっちが用意した計画に乗っただけなのに、高いと不満をこぼしていた。

村の中を歩いて周ったが、「フォト!フォト!フォト!」「ブル!ブル!ブル!」とムルシ族と大差ない。集団でなにやら穀物をすっているが、シャッターを切ろうものならそこにいる全員が金払えと一気に迫ってくる。一人5ブルなので怖くて集団は撮れない。カロ族はボディペイントで有名だが、ほんとに普段からこんなペイントしてるの?という見た目のカロ族もたくさんいる。ヒッチでトゥルミまで乗せてくれた、エチオピアに住んでいるジョンがムルシ族が頭にフルーツやら、壷を載せてるのは写真を撮ってもらうためで、もともとそんな格好ではなかったと言っていた。ツーリズムによって本当の彼らの姿が損なわれてしまったのだろうが、カロ族にもそれは言えそうだ。なんかエチオピアの民族は格好こそ違うが、やることはまったく同じで、「フォト!フォト!ブル!ブル!」しか言わないので、なんだか悲しくなる。

しばらく村人を見て回り、崖で普通の子供達と遊んで待っていると、スイス人とドイツ人が戻ってきた。スイス人はジョバンニにもうひとつの村へ行くように話しているが、今からではジンカに戻るのが夜になる。ジョバンニは6時にはジンカに戻ると言っていたし、何よりもうひとつの村もここと同じようなに写真をせがまれるだけだ。ドイツ人と一緒にスイス人を説得し、ジンカへ帰ることになった。ジョバンニは帰りに停まりたいところがあれば、何処でも止めるから行ってくれと約束した。

帰りにディメカにより、水を買い同じ道をジンカへ走った。スイス人は何故かジョバンニには話さずこっちに写真を撮りたい場所に差し掛かると「ここで停まってみようか?どうおもう?」と聞いてきた。停めて写真を撮りたいなら、ジョバンニに言えばいいのにこっちに言うので、いちいちジョバンニい停めてくれとこっちから伝えなくてはならなくて面倒極まりない。それでジンカが近付くと殆ど写真は取れなかったと言い出し、カロ族の村に行くだけでこの出費は高かったといい始めた。今までのエチオピア人を見るかぎり、ジョバンニは時間も約束も守る、軌跡のエチオピア人だ。しかも、客引きでなく車のオーナーなので値段も下げられた。その辺の事情も分からず文句ばかりいうこのスイス人はカロ族以上に手に負えない存在だった。

ひとまず、無事にカロ族の村に行けたお礼をジョバンニに伝えてから、GOH Hotelの前で車を降りて、スイス人達に別れを告げた。もう彼らと会うこともないだろう。

この後はオモラテにダサネチ族を見に行こうとおもっていたが、カロ族、ムルシ族を見て、いっても少し違う格好の人たちが同じことをしてくるんだろうなと考えると、もうこれ以上、他の民族を尋ねようという気にはならなかった。旅をするときは、ひとつの場所に滞在する長さは事前に決めず、その場所に満足したら次へ進むのが理想だと常々考えている。そろそろオモバレーを離れる時間ということだろう。
















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