2016/JAN/20 「副長官のはからい」

ハルゲイサの町は砂埃がひどく暑くて快適とは程遠かった。ソマリ人はあまり他人に興味をもたないし、随分がさつな感じだ。町を歩いているとエチオピアとは比べ物にならないくらい、「チーナー!ニーハオ!」と声を掛けられる。半分は本当に中国人だとおもって声を掛けているが、半分は馬鹿にした感じがする。ソマリ人と話をすると大抵「ジャーナリストか?」と聞かれる。たぶんここへ来る外国人の殆どがジャーナリストなのだろう。

町で唯一舗装された街道を西へ歩いていくと、官庁街があり、その先に大統領官邸があり、さらに奥に警察署があった。首都といっても歩いて回れるサイズだ。

午前中、町は活気に満ちて、朝などずいぶん早い時間から通りには人が歩き始め、チャイ屋では朝食を取る人が大勢集まる。ソマリ人の朝食はチャパティのようなパンをお盆のような皿に平らに置き、そこに甘いソマリティーをぶっ掛けたものを手で食べる。このパンは柔らかいので、ティーに浸ると手で持ち上げることもできないほど脆く、すぐに千切れてしまう。そうして千切れたパンはティーと共にべチャべチャになり、食べづらくてしょうがない。この‘べチャパン’と呼ぶことにした食べ物を美味しいと思うことは最後までなかった。ソマリティーは香辛料が効いたミルクティーで美味しかったが、デフォルトで砂糖が死ぬほど入っていて、糖尿病が怖くて心から味を楽しめなかった。

ソマリランドはハルゲイサ以外を旅するには軍のエスコートが必要とロンプラに書いてある。他のツーリストもブログで同じ事を書いていて、1日一人20ドルの兵士を最低2人雇う必要があるので諦めたとあった。ただし、ロンプラにはこの原則はわりとルーズで現地の警察で確認しろともあった。

そんなわけで警察署へ行き、話しをすると、軍のコマンダーに会って話せといわれて、警官が軍の施設へ案内してくれた。軍の施設は入り口でかなり待たされたが、なんとか中に入れてもらえた。そして通された部屋には一人の軍服のおっさんが待っていた。肩に付いている星の数が多い。偉いやつだ。机の上のネームプレートを見ると副長官と書いてある。!!!!すげー偉い人だー!

とりあえず「軍のエスコート無しで旅したいんだけど」と聞くと「ノープロブレムだ。国内のすべての検問に連絡を入れておくので通れるはずだ」と心強い返事が返ってきた。いい人だー!と感動して、検問で揉めた時のために一緒に写真も撮らせてくれと頼むとそれにも快く応じてくれた。この副長官とのツーショット写真はソマリランドでは水戸黄門の印籠並みの力を発揮することだろう。

ホテルへ帰る途中、観光省に寄り、念のためそこでも渡航のためのレターを貰った。これでできることはすべてしたはずだ。さあ謎の独立国家ソマリランドを見て回ろう。













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