2016/MAY/25 「ペンバ」

朝、昨夜買ったパンとコーヒーを部屋で食べ、宿を出た。昨日港で聞き込みをしたときには、幾つかの海運会社のオフィスが既に閉まっていたので、それらをあたってみようと考えていた。

ペンバの町はたいして栄えてはないが、かなり広範囲に広がっているので、歩いて回るのは疲れる。日中の日差しは肌が痛むくらいなので、なおさら大変だ。港は少し離れたところにあり、宿のある中心部から歩いて30分ほどかかった。

昨日話をした会社のスタッフが一緒に行って通訳してくれると話していたので、取り合えずその会社へいってみる。すると、そのスタッフは席をはずしていて、他のスタッフがコモロ行きの船を持ってるSPANFREIGHT SHIPPINGという会社を教えてくれた。モザンビークでの情報収集はタンザニアに比べてかなり難しい。それは単に言語の問題で英語がわりと通じたタンザニアと違い、モザンビークは現地語かポルトガル語だ。入国以来、何を尋ねるにも苦労し、曖昧な理解で前に進むという、随分久しぶりの冒険心をくすぐる旅が続いていた。

SPANFREIGHT SHIPPING
に行くと、レセプションが奥にいる西欧人のスタッフに繋いでくれた。彼は「コモロ行きの船は来月の10日に出るが、乗客は乗せられない」と言った。「前にもコンテナ船で旅したことがある。なんとか出来ないかな?」と粘ると、「海上運送の保険があり、もしクルー以外の人間を乗せた船が何かあったときに保険の適用が受けられなくなるかも知れないので、乗せることは出来ない。この辺りは一昔前までは、海賊が頻発していたので、何処の船会社も保険の適用が除外されるかもしれないリスクは取らないよ」と話した。ギリシャからの船ではコンテナ以外にトレーラーの運ちゃんも乗せてたが、アフリカではトレーラーを滅多に見かけない。基本的に船はコンテナだけなのかもしれない。それだと、彼が言うように乗ることは難しそうだ。

彼曰く、この会社以外はペンバからコモロへの船はなく、もう少し南のナカラからもマダガスカルへは船があるそうだが、同じ理由で乗せてはくれないだろうということだ。

彼は、知り合いがヨットでペンバとコモロを行き来してるから当たってみたらいいと、連絡先を教えてくれた。お礼を言って、オフィスを出るときに「ライフジャケットは自分で調達するんだぞ」と最後のアドバイスをくれた。

町の中心に戻り、携帯のSIMを買い、50メティカル分だけチャージした。そして、さっき紹介されたValentiという男に電話をすると、こっちに来てくれることになった。暫くすると、サングラスをしたお腹の出たモザンビーク人がこっちに向かって歩いてきた。間違いない。この人だ。

握手をして、挨拶し、コモロへ船で行きたい事を説明すると、「先週コモロへは行ったが、今は船の修理をするので1ヶ月くらいは行かない」と答えた。それではモザンビークのVISAが切れてしまうし、折角取ったコモロVISAも取り直しだ。Valentiは「力になれなくて申し訳ないね」と言った。試しに「ヨットでコモロまではいくらなの?」と聞くと、長考の末、「500ドル」と答えた。信じられない値段だ。

Valenti
にお礼を言って、何か変更があれば連絡をくれと頼んで別れた。どうやら、モザンビークからコモロへの船の可能性は潰えた。ダルエスで2週間船待ちをして諦め、僅かな可能性を信じてモザンビークに着たが、ここでも船に乗ることは出来なかった。南下してマダガスカルへの船は見つかるかもしれないが、コモロ~マダガスカルという船を乗り継ぐ旅は出来ないようだ。ここ1ヶ月くらい、常に船の情報を集めてきたが、ここで打ち切ろうと思う。モザンビークはモザンビーク島まで南下したら、マラウィへ抜けよう。





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