モシンボアは何も無いの小さな町で、翌朝にはイボ島へ向けて出発した。イボ島はカイロの安宿サファリにあった情報ノートにアフリカで一番の海と書いてあったので、必ず立ち寄ろうと決めていた。他にも、モザンビークは東アフリカで一番警官が腐っていて、ワイロ攻撃が酷いし、国民もあまり外国人を歓迎しないが、イボ島だけのためでも行く価値があると言い切っていた。それを書いた人は1年4ヶ月かけてアフリカを一周していて、よくいる3ヶ月くらいで東アフリカ縦断する人が言うことよりは、はるかに信頼がおける気がした。
モシンボアからのバスは朝の4時発で、ウグイアという村で途中下車し、そこからイボ島への舟の出ているキサンガへ向かう。村の小さな食堂で紅茶を飲んでから、街道でキサンガ行きの車をヒッチすることにした。
一台の軽トラが止まり、キサンガまで200メティカル(400円)で荷台に乗せてくれると言うが、相場が分からないので150に値切ろうとすると、呆気なく去って行ってしまった。また、しばらく待っていると今度はトラックの荷台を改造して、両側にベンチを取り付けた乗り合いトラックがきて、乗客が既に乗っていたので、これなら高くはないだろうと飛び乗った。トラックはすこし先の分岐から未舗装の道に入り、スピードを出し始めた。その道は酷く、サスペンションゼロの荷台に取り付けられた木のベンチは掴まっていても、吹き飛ぶくらい揺れた。真ん中には大量の荷物があり、なぜか冷蔵庫も置かれている。冷蔵庫は揺れでドンドン動いて危ないし、木のベンチがケツに当たる度に物凄い激痛が走った。仕方なく、両手でどこかを掴み、尻をすこし浮かせた状態をキープするが、トラックが大きな窪みを通るとそれでもベンチがケツに当たる。次第に尻の骨が当たってもないのに痛くなってきて、骨に何かあったのではと心配になるが、そんなことを考えているほどの猶予もなく、揺れるので両手、両足で踏ん張り続けないと何処かへ転がっていってしまう。
次第に人が増え、荷台はかなりギュウギュウになったが、ローカルは慣れているのか耐え忍んでいる。と思いきや、大きく吹っ飛ばされるとさすがにドライバーに「バカヤロー」的なことを叫んでいる。100キロもないので、二時間くらいで着くかと思ったが、四時間もかかって、ようやく船着き場に到着した。着いたときには尻の骨は痛いし、腕もパンパンに張っていた。こんなに過酷な乗り物はアフリカに入って初めてだ。
船着き場と言っても何も無いところで、マングローブの林の向こうに舟が打ち上げられているのが見える。一緒に乗ってきた人に聞くと、満ち潮にならないと舟は出ないという。一体何時間待てばいいのだろう。容赦のない日差しがトラックを降りた乗客を照らす。木の影に座ろうとすると、尻が痛すぎて尻を地面に下ろせない。しかたなく、テント泊の時に使うマットを出して、その上に横になった。
木陰の風が気持ちよくて、気がつくと知らないうちに寝入っていた。周りで寝ていた現地人達が、トントン体を叩いてきて気がついた。「もう舟が出るぞ!」と教えてくれた。ふと起き上がると、すぐそこまで水がきていて、打ち上げられていた舟も水に浮いている。どうやら船が出せるまで満ちたようだ。
待っていた人たちが一斉に荷物を抱えて、水の中へ入って行く。タイパンツをまくりあげて、バックパックを背負って、彼らに続く。しかし、舟は思ったより深いところに止まっていて、腰までどっぷり浸かってしまった。バックパックも濡れるので途中から肩に担ぎ上げて、舟に放り投げた。みんな腰までびしょ濡れだ。「なんでもっと舟を寄せないんだ」と思ったら、ボートで船まで運んでお金を取る輩がいた。これには人が殺到して信じられない人数を載せて今にもひっくり返りそうだ。
全員が乗り込むと、船乗り達が帆を広げ、ロープを引っ張り固定した。すると舟は一気に風の力を受け、ググッと動き始めた。どうやら風の力だけでイボ島まで行くようだ。一応モーターも積んでるが、風が無いときの為のようで、今日は風が強いので経費削減に勤しむようだ。舟には大量の物資が載せられ、その上に人がギュウギュウに乗っている。そして動力は風。不安がよぎるが、帆舟は思った以上の安定感をみせた。
マングローブの林がたくさんあり、右手に見えてきたキリンバ島を過ぎて、さらに進んだマングローブの林のなかを通る通路のような場所を通りすぎると、向こうの方にイボ島が見えた。
風が強く、曇っているので海が綺麗かは分かりづらい。島に近づくとビーチや、船着き場が見えてきた。てっきり、白い砂浜に囲まれた島だと想像していたが、イボ島には見る限り、綺麗なビーチは見当たらない。漁のための舟が砂浜にたくさん停まっていて、逆側はマングローブの林になっている。舟は船着き場でなく、浜辺に着岸し、また水の中に入って島に上がった。やはり、この砂浜は綺麗でもなんでもない。そもそも白い砂は珊瑚がなければできないので、マングローブがこんなにあるところでは、白亜のビーチは望めない。アフリカ一の海とは一体何処のことを言っているのだろう。
島はポルトガル占領下に建てられた建物の廃墟が残っていて、全く修繕されてないので、まるで戦争の後のような感じだ。屋根のないものも多く、人も住んでないので、コロニアルタウンというよりはゴーストタウンだ。
調べておいた宿まで現地人の案内で歩いて行き、テントを張らせてもらった。テントだと1泊120メティカル(240円)とアフリカに入ってから一番安いくらいの宿泊費だった。島にはお店が少なく、食料も殆ど手にはいらないし、あの帆船でしか運べないので割高だ。夕方になると、揚げた魚とイカが、申し訳ない程度に道端で売られていて、ほかのチョイスはまったく見当たらない。ここへ来るまでかなり大変だったが、どうやら来てからも大変のようだ。
モシンボアからのバスは朝の4時発で、ウグイアという村で途中下車し、そこからイボ島への舟の出ているキサンガへ向かう。村の小さな食堂で紅茶を飲んでから、街道でキサンガ行きの車をヒッチすることにした。
一台の軽トラが止まり、キサンガまで200メティカル(400円)で荷台に乗せてくれると言うが、相場が分からないので150に値切ろうとすると、呆気なく去って行ってしまった。また、しばらく待っていると今度はトラックの荷台を改造して、両側にベンチを取り付けた乗り合いトラックがきて、乗客が既に乗っていたので、これなら高くはないだろうと飛び乗った。トラックはすこし先の分岐から未舗装の道に入り、スピードを出し始めた。その道は酷く、サスペンションゼロの荷台に取り付けられた木のベンチは掴まっていても、吹き飛ぶくらい揺れた。真ん中には大量の荷物があり、なぜか冷蔵庫も置かれている。冷蔵庫は揺れでドンドン動いて危ないし、木のベンチがケツに当たる度に物凄い激痛が走った。仕方なく、両手でどこかを掴み、尻をすこし浮かせた状態をキープするが、トラックが大きな窪みを通るとそれでもベンチがケツに当たる。次第に尻の骨が当たってもないのに痛くなってきて、骨に何かあったのではと心配になるが、そんなことを考えているほどの猶予もなく、揺れるので両手、両足で踏ん張り続けないと何処かへ転がっていってしまう。
次第に人が増え、荷台はかなりギュウギュウになったが、ローカルは慣れているのか耐え忍んでいる。と思いきや、大きく吹っ飛ばされるとさすがにドライバーに「バカヤロー」的なことを叫んでいる。100キロもないので、二時間くらいで着くかと思ったが、四時間もかかって、ようやく船着き場に到着した。着いたときには尻の骨は痛いし、腕もパンパンに張っていた。こんなに過酷な乗り物はアフリカに入って初めてだ。
船着き場と言っても何も無いところで、マングローブの林の向こうに舟が打ち上げられているのが見える。一緒に乗ってきた人に聞くと、満ち潮にならないと舟は出ないという。一体何時間待てばいいのだろう。容赦のない日差しがトラックを降りた乗客を照らす。木の影に座ろうとすると、尻が痛すぎて尻を地面に下ろせない。しかたなく、テント泊の時に使うマットを出して、その上に横になった。
木陰の風が気持ちよくて、気がつくと知らないうちに寝入っていた。周りで寝ていた現地人達が、トントン体を叩いてきて気がついた。「もう舟が出るぞ!」と教えてくれた。ふと起き上がると、すぐそこまで水がきていて、打ち上げられていた舟も水に浮いている。どうやら船が出せるまで満ちたようだ。
待っていた人たちが一斉に荷物を抱えて、水の中へ入って行く。タイパンツをまくりあげて、バックパックを背負って、彼らに続く。しかし、舟は思ったより深いところに止まっていて、腰までどっぷり浸かってしまった。バックパックも濡れるので途中から肩に担ぎ上げて、舟に放り投げた。みんな腰までびしょ濡れだ。「なんでもっと舟を寄せないんだ」と思ったら、ボートで船まで運んでお金を取る輩がいた。これには人が殺到して信じられない人数を載せて今にもひっくり返りそうだ。
全員が乗り込むと、船乗り達が帆を広げ、ロープを引っ張り固定した。すると舟は一気に風の力を受け、ググッと動き始めた。どうやら風の力だけでイボ島まで行くようだ。一応モーターも積んでるが、風が無いときの為のようで、今日は風が強いので経費削減に勤しむようだ。舟には大量の物資が載せられ、その上に人がギュウギュウに乗っている。そして動力は風。不安がよぎるが、帆舟は思った以上の安定感をみせた。
マングローブの林がたくさんあり、右手に見えてきたキリンバ島を過ぎて、さらに進んだマングローブの林のなかを通る通路のような場所を通りすぎると、向こうの方にイボ島が見えた。
風が強く、曇っているので海が綺麗かは分かりづらい。島に近づくとビーチや、船着き場が見えてきた。てっきり、白い砂浜に囲まれた島だと想像していたが、イボ島には見る限り、綺麗なビーチは見当たらない。漁のための舟が砂浜にたくさん停まっていて、逆側はマングローブの林になっている。舟は船着き場でなく、浜辺に着岸し、また水の中に入って島に上がった。やはり、この砂浜は綺麗でもなんでもない。そもそも白い砂は珊瑚がなければできないので、マングローブがこんなにあるところでは、白亜のビーチは望めない。アフリカ一の海とは一体何処のことを言っているのだろう。
島はポルトガル占領下に建てられた建物の廃墟が残っていて、全く修繕されてないので、まるで戦争の後のような感じだ。屋根のないものも多く、人も住んでないので、コロニアルタウンというよりはゴーストタウンだ。
調べておいた宿まで現地人の案内で歩いて行き、テントを張らせてもらった。テントだと1泊120メティカル(240円)とアフリカに入ってから一番安いくらいの宿泊費だった。島にはお店が少なく、食料も殆ど手にはいらないし、あの帆船でしか運べないので割高だ。夕方になると、揚げた魚とイカが、申し訳ない程度に道端で売られていて、ほかのチョイスはまったく見当たらない。ここへ来るまでかなり大変だったが、どうやら来てからも大変のようだ。