5日目の午後1時58分に列車はモスクワに到着した。ウランバートルとは6時間の時差があるので体内時計は夜の8時だ。
同じ車両にいたイギリス人が駅の近くのホステルを予約したと言うので、そこに一緒に行くことにした。ホステルの名前は‘Crazy Flogs’と言って、他どのホステルよりも安かった。ただ、何も標識もなく、アパートの一室だったので、近くで偶然道を聞いたのがそこのスタッフでなかったら一生彷徨っていただろう。
同じ車両にいたイギリス人が駅の近くのホステルを予約したと言うので、そこに一緒に行くことにした。ホステルの名前は‘Crazy Flogs’と言って、他どのホステルよりも安かった。ただ、何も標識もなく、アパートの一室だったので、近くで偶然道を聞いたのがそこのスタッフでなかったら一生彷徨っていただろう。
中に入るとオーナーらしき中年女性がいて、「予約は1人だけど、もうひとつベッドは空いてないか?」と英語で聞くと、「ノーイングリッシュ!」と大きな声で叫んだ。きっとこれは、ウェルカム トゥー ロシアと言っているんだと自分に言い聞かせた。
客は100%ロシア人でみんなずいぶん長く住んでいるようだった。出稼ぎっぽい人が多い。
ロシア語でいろいろ説明を受け、まったく理解できなかったがチェックインできたようだ。
とりあえず赤の広場をイギリス人と見に行くことにした。鉄道駅に隣接する地下鉄の駅へ歩いていって、地下鉄に乗る前にカフェででっかい骨付き肉の入ったスープを飲んだ。まわりのロシア人はやはりみんな悲壮感たっぷりの表情だ。身内の不幸があったようにしか見えないが、全員同じ日に亡くなるのはおかしいのできっとこれが自然体なのだろう。
モスクワの地下鉄駅はアンティーク博物館のような内装で列車も映画セットのように古かった。赤の広場に着くと、フェンスが張られていて中に入れない。近くに看板があり‘International Army Tatoo Festival’ と書いてあった。10カ国くらい参加国の国旗がみえる。なぜか日本に国旗もある。日本は軍隊はないのになーと思っていると、鉢巻にはっぴ姿で笛を吹く男の写真があった。他の国はすべて軍服なのに日本だけはっぴだ。
これでは日本の自衛隊は鉢巻に半被姿だと思われてしまう。しかも、どう見ても夏祭りの格好なので一人だけすごく寒そうだ。
何はともあれ今日、明日はそのイベントで広場には入れないようだ。ずいぶん悪いタイミングで着てしまった。仕方なくもう少し広場が見えそうなモスクワ川のほうへ歩いてみた。モスクワ川にかかる橋からはクレムリンの姿が見え、川には観光船が絶えず行き来している。夕日の逆光を浴びたモスクワのスカイラインにはゴシック建築の突き出た尖塔のシルエットが印象的だった。