2015/SEP/4 「ダンバとジャガー」

標高2000以上にあるホワイトレイクは9月ということもあり、ゴビとは比べ物にならないほど寒い。モンベルの寝袋はここにきてようやく本当の活躍の場を得た。おじさんがつけてくれた暖炉の火は夜中に消えたようで朝の冷え込みは寝袋に入っていても寒く感じるくらいだった。

9時過ぎに扉がノックされて昨日のおじさんが入ってきた。「大丈夫かー?」という。起き上がって「大丈夫だ。ここはずいぶん寒いね」と答えた。ラッキーなことにこのおじさんは英語の単語を幾つか理解できる。おじさんは隣のゲルで朝食を食べようと言った。隣のゲルはおじさんと奥さんの寝るゲルで食事もそこでとっていた。

お湯をもらいコーヒーをつくって、出されたクッキー、チーズ、バター、ヨーグルトを固めた物を食べた。すべてゴビで食べたのもよりはるかに美味しかった。奥さんはヤクのミルクから作ったと説明してくれた。おじさんはダンバといい、奥さんはジャガーだと教えてくれた。

ジャガーは実にテキパキと動き、次にミルクから作るモンゴルウォッカを作り始めた。鍋でお湯を沸かし、その中に布に詰められていたヨーグルトのようなものを入れて混ぜ始めた。しばらくすると、外に持っていってまた布袋の中に移して、吊るして水分を切っている。すこしアルコールの臭いがするが完成ではなさそうだ。

外の天気は相変わらず曇りだったが湖を歩いてまわった。他にツーリストはいないようで、湖の周りに建てられたゲルは寂しく見えた。

帰ってくると昼飯ができていたのでみんなで食べる。すこし晴れてきたのでダンバとジャガーと外に出て松ボックリから松の実を取り出す作業をした。よく露店で売っているやつだ。まさか自分がやるとは思わなかった。手は松ヤニで酷いことになっている。

晴れまが広がり始めたころに馬に乗るために馬使いを呼んでもらった。ダンバは「ワンタイム10000tgだ」と言い「ワンタイムかツゥータイムか?」と聞いてきた。かなり間違った英語だが、どうにかタイムはアワーだと理解できた。「ワンタイムだ」と答えるとオッケーと指で返事をしてきた。特に時計も確認する事なく、馬に乗り湖の周りを歩き始めた。時間はだいぶあいまいそうだ。


前回同様チューチューと言って腹をすこし蹴ると早足で進んだ。わりと行けそうだ。湖を見るために丘の上に上がりたいと言うと馬使いは了承して登り始めた。そのあとを着いて登り、頂上付近で馬を止めた。降りようとすると左足から鉄の環が抜けないで転びそうになった。なんとか足は抜けたが手綱を離したので馬が走って坂を下っていってしまった。あーあーあーと眺めていたが、馬使いは何やら怒って文句を言っている。馬を追うがスピードが全然違う。見かねた馬使いは馬を走らせて捕まえに行ってくれた。馬上で弓を引けるようになるのは無理かもしれない。









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