夜トイレに行くと空は一面の星空だった。相変わらず山際は明るかったが、ゴビと変わらず天の川や人工衛星が見えた。
朝起きてダイニングへ行くと台湾人の女性が一人静かに朝食を食べていた。話を聞くとハラホリンに3泊して、これからウランバートルへ戻るそうだ。
朝食を済ませて、エルデニ・ゾーへ向かった。朝日を浴びるモンゴル帝国のお寺群はドラマチックで巡礼するモンゴル人がとても美しく見えた。近くにある日本が建てた博物館は建物のデザインの意図が分からなかったが、なかなか興味深い展示だった。日本のODAで建てた海外の建物はたいてい酷いデザインだ。センスがないなら、現地の建物を忠実に建てればよいと思う。
ハラホリンには稼働しているATMが一つしかなかったが、なんとか現金を下ろすことができた。宿にもどり、GAYAにツェツェレグまでヒッチで行くと伝えると町外れの橋まで送ってくれた。あとはひたすら通る車に手を挙げるだけだ。
だがモンゴルの交通量は少ない。すぐそこはもう草原で地平線まで動くものは何も見当たらない。
これは長期戦かなーと思ったら、目の前に一台のバンが止まった。「ツェツェレグ?」と聞くと頷いた。すぐに中に乗り込みお礼を言った。40くらいの男と助手席に座るそのお父さんらしき男、その膝の上に小さな女の子がいた。英語は全く通じないが、悪い人ではなさそうだ。
二時間半ほどでツェツェレグについた。車を降りて、お金を払う必要があるか聞くと頷くのでいくらか聞く。男は右手で4をだした。4000なのか40000なのか不明だ。4000なら安いし、40000ならすごく高い。細かな紙幣は無かったので20000tg札を渡すとニンマリと頷いた。御釣りは?と思ったが男は笑った顔で固まっている。仕方ないと車を後にした。
ここには安宿が見当たらないし、客引きもいないので、ロンプラで絶賛されているFairfieldという宿へいってみることに。しかし、そこは値上がりしていて1泊42000tgと言うので隣のNaran Hotelへ。こっちは完全にローカル用のホテルで朝食も付かないが30000tgとまだましだった。
荷物を置いて、シャワーを浴びてから歩きに外へ出た。博物館はもう閉まっていたのでその裏山に登ることにした。町のシンボルのような岩山は上の方がかなり急斜面に見えた。しばらく行くと二人の子供が遊んでいて、一緒に行くか?とジェスチャーすると着いてきた。彼らはぐんぐん岩を登っていく。かなり登ったところで、岩肌にグル・リンポチェの絵が大きく描かれたところに出た。そこはもう傾斜45度はあり、落ちれば残念なことになるのは明白だった。サンダルで来たこと後悔したが、絵の縁は岩に溝が掘ってあってそこに指を入れてなんとか登った。その上の岩に登ると町がすべて見下ろせた。素晴らしい景色だったが、その奥にはさらに高い岩山が見えた。まだあるのかーとヘコんだが子供たちは行くぞとジェスチャーする。仕方ないなと登れそうなルートを探して子供たちに指示をだした。
奥の岩山の頂上に立つとほんとにすべてのものが見えた。向こうの丘に広がる住宅群が夕焼けに照らされてとてもシュールだ。ただ、残念なことにさらに奧にもっと高い岩山があった。すでに7時半を回っていたので子供たちに下山の指示を出して下り始めた。サンダルでの下りは困難を極めた。なんとか暗くなる前に降りなければ!