2015/JUN/24 「巡礼者世界一のお寺」

スリランカからチェンナイへ飛んだのは、友達からチェンナイからすこし行ったところにティルマラいうヒンドゥー教のお寺があり、宗教を問わず世界で巡礼者の一番多い寺だと教えてもらったからだ。インドは前回の旅で3ヶ月旅したがそんなお寺の名前は聞いたことがなかった。ツーリスト向けではなく、インド人しか巡礼しないからガイドブックにも紹介されてないようだ。だがスリランカのアダムスピークで会ったインド人はティルマラに行くと言うと興奮して握手してきた。インド人で知らない人はいないようだ。

チェンナイの宿に荷物を預けて、バスターミナルへ向かう。チェンナイのバスターミナルはかなり遠く、バスで1時間以上かかる。そのうえ乗った市内バスはバスターミナルには着かずにすこし離れた場所までしか行かなかったので探すのに苦労した。ティルマラはティルパティという街の丘の上にあり、ティルパティ行きのバスは頻発しているようだった。だがすぐ隣にはお寺まで直行のバスもあったのでそっちで行くことにした。

バスは30分くらいして出発して、ティルマラまでの街道の町にひとつずつ寄りながら走り、一度食事休憩があり、ティルパティに着いた。そこからは大きな岩山が見え、乗客は「ティルマラはあの上だ」と教えてくれた。ティルパティを出るとそこからは登りでバスはゆっくりと山道を登っていった。1時間くらいですこし栄えた場所にでて、バスターミナルらしきところに着いた。そこで乗客は全員下車した。どうやらここがティルマラのようだ。

通りの両側にはたくさんのお店があり、その道はお寺までつづく参道のようだった。とりあえず腹が減ったので近くの食堂でターリーのような定食を食べる。周りのインド人がめずらしそうに「ネパール人か?」と聞いてくる。最近はネパール人といわれることが多い。「いや、日本人だ」と答えると「おー!日本人か」と好印象だ。

「ゴーウィンダーにはどうやっていけばいいの?」と聞くとその通りをまっすぐ行けばいいと教えてくれた。ゴーウィンダーはここで祀られている神様の名前だ。通りは人で溢れていたので、みんなと同じ方向へ参道をあるく。1キロくらい進むと階段があり道路の下をくぐると開けた市場のような空間が広がり、大量のお土産屋や食べ物屋があった。人の数がかなり多い。まだお寺が見えず、地理がわからないので人に聞いて入り口を探す。

ようやくお寺の柵が見えて入り口らしきものがあったが、入り口も複数あり何処から入ればいいかわからない。警備員らしき人に聞くとさらに奥へ進み右側だと教えてくれた。同時に「78時間かかるよ」と言われた。すでに15時を過ぎていたので今からだとゴーウィンダーを見るまでに23時になってしまう。そもそもお寺はずっと開いてるのだろうか?

すると警備員はVIP用入り口があるという。そこは300Rs払わないといけないが3時間程度でゴーウィンダーまでたどり着けると言う。ある意味俺はVIPだと自分に言い聞かせる。その入り口の場所を警備員に聞いて向かう。入り口には空港のようなセキュリティーがあり、そこに数百人の列が見えた。並ぼうとするとセキュリティーが「その格好ではダメだ」と言ってきた。すぐ横に看板がありそこに正しい服装が定義されている。正装は6種類あるが男性はすべて白いドティーを巻いている。

すると近くの男が「ドティー売ってるぞ」と声を掛けてきて3枚のドティーを並べて見せてきた。100Rs120Rs, 150Rsだというがまったく違いがわからない。「100Rsのでいいよ」と伝えてお金を渡す。そして腰にドティーを巻いて再度セキュリティーに並ぶ。セキュリティーゲート付近で無料のチャイが配られているのでそれもいただく。外人なのでゲートですこし待たされたが荷物をスキャンしてパスポートを見せて300Rs払うと中に入れた。

すこし進むと鉄の格子で囲まれた通路を大量のインド人が「ゴーウィンダー!ゴーウィンダー!」と叫びながら押し合いへし合いながら少しずつ前進している。どうやらこの列ははるか彼方から続いているようでVIP入り口はその途中から割り込むようになっている。一瞬これに加わるのかーと滅入ったが後ろからもどんどん人が来るのでいやおう無しに列に割り込まされた。

一般入り口から入った人はすでに5時間くらいこの通路で押し合いへし合いをしてるはずだ。みんなすごいテンションだ。誰かが「ゴーウィンダー!」というとみんなで「ゴーウィンダー!」と復唱する。とりあえず「ゴーウィンダー!」と合わせて叫ぶ。

しばらく通路でもまれると石の外壁が通路に見えてきた。どうやらゴーウィンダーは近そうだ。途中階段や細い橋があるが押されるので危険極まりない。何度もインド人に足を踏まれるがなすすべなし。お寺の入り口のような門をくぐると中央にお寺が見えた。みんなのテンションは最高潮だ。叫びまくる。入り口で神官みたいな人が境内に入る人の規制をしている。

しばらくすると中から数十人が出てきて、そのあと前後のインド人とともに中になだれ込んだ。そこからお寺の左側にまわり、そこから4列に手すりで区切られた道を歩いてお寺の中へすすむ。最終コーナーを曲がると直線状にゴーウィンダーが見えた。インド人は半端ない興奮状態だ。みんな少しでも長くゴーウィンダーを見ようとするが、神官がすぐに横に行くように押す。かなり手荒い。一番寄ったところからでも小部屋の中に安置されたゴーウィンダーの像は10mほどは離れていて、すぐ近くにいけるというわけではない。建物から押し出されると今度は寺の中にある他の巡礼スポット?に人が殺到する。

とりあえずわからないので着いて行く。別の銅像があったり、神官から水を手にもらって飲んだり、お布施をする場所だったりと狭い場所にいくつも巡礼スポットがある。一通り終えて寺から出ると、みんな別の建物へ入っていく。中には格子付きのカウンターが並んでいて、並んで茶色いこぶしサイズの団子のようなものをもらっている。団子は泥のような見た目で水分があるのでカウンターに置かれるとすこし潰れる。ウンコにしか見えないが、皆、カウンターに置かれた団子を余すことなくきれいにふき取り袋に入れて持ち帰っていく。周りのインド人に聞くとVIP券には団子2つの引き換え券も付いているという。

団子を入れるための袋を別のカウンターで買ってからVIP用カウンター並べばいいと教えてくれた。なるほどと袋を買い、カウンターでVIP券を見せるとさっき見たより水分のない硬い団子を二つくれた。一口食べるとすごい甘さだ。「どーしようかなー」と悩んだが持ち帰ることにした。

建物を出てさらに行くと沐浴池があり元気なインド人たちが水を浴びている。時計を見るとすでに夕方6時をまわっていたので、出口を探すことにする。大きな広場を横切り大階段を登りしばらく進むと預けた靴と荷物の受け渡し場所があった。入り口で預けたものはここへと運ばれるシステムのようだ。たしかにそうしないとこれだけの人はさばけないだろう。

入り口とは別の場所から出たので位置がつかめなかったがすこし歩くと見覚えのある建物が見えてきた。歩いてきた参道まで出て同じ道をバスターミナルへ戻る。ちょうどバスが出るところでティパティまでのバスに飛び乗ることができた。

ティルパティに着くと巡礼者たちは政府の無料の巡礼者用宿舎へ向かうので着いていくことに。カウンターの列に並ぶと周りのインド人が部屋は空いてないと言う。まわりには宿なしインド人がたくさん床に座っていた。雨はしのげるがベッドで寝たいなと思い、巡礼宿舎をあきらめ近くの安宿街へむかう。すぐに客引きが来て300Rsの部屋がみつかった。部屋は下の中といった感じだったが、疲れで横になると部屋はまったく気にならなかった。扇風機をつけて昼間買ったドティーを身体にかけて寝る。これはなかなか役に立ちそうだ。





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