2015/SEP/3 「ホワイトレイク」

朝起きて、顔を洗いに洗面所へ行くと同じ階の殆どの部屋は清掃をしていた。みんなすでにチェックアウトしたのだろう。ポットのお湯でコーヒーを作って、ウランバートルで買ったビスケットで朝食にした。荷詰めして、レセプションにバックパックを預けて昨日閉まってて見れなかった博物館とガンデン寺を見に行くことにした。

博物館はコミュニストに壊されずに残ったお寺を使用しているので、なかなかよい建物だ。真ん中にゾクド文字の掘られた石碑があり、これは紀元前のモンゴルを知る上でとても貴重なものだろう。だが、それ以外の展示は今一つで、途中からモンゴルの近代の展示になってからは足を止めることは一切なかった。

ガンダン寺は小さいが地元の人が熱心にお参りしていて好感がもてた。ガンダン寺の裏にもうひとつ小さなお寺があったがそっちの建物はなんとゲルだった。ゲルの前にすこし悪そうな僧侶がいて、話しかけてきた。「何処から来た?」「日本だ」「僧侶か?」「違う」「何をしてる?」「ツーリストだ」こちらの答えをどれだけ理解したかは分からないが、僧侶でないことは伝わったようだった。

昼前に宿にもどり荷物をとってから乗り合いバンが出るという市場へ向かった。市場の前は買い物に来た人の車でうめつくされていた。一通り見て回るが、それらしいバンは見当たらない。しばらく歩いていると、ヒュンダイのバンの中で足を出して寝ている男がいた。その男を起こして「タリアト?」と聞くとそうだと頷いた。ほんとかなーと思ってもう一度聞くとまた頷く。「値段は?」とジェスチャーすると15000tgと携帯に数字を表示した。悪くないなと思い「何時に出るの?」とジェスチャーすると12:10と紙に書いてくれた。10分後だ。

なかに乗り込んで待っていると夫婦のような男女が乗り込んできて、運転席の若い男に指示をだした。どうやら家族のようだ。そして車は出発した。買い出しに来た家族のようで、みんなで運転中に話をしている。親父はガンガン話しかけてきて、身振り手振り説明してくる。そしてビューポイントのたびに説明をしてくれた。何を言ってるかは分からなかったが、その心意気が嬉しかった。

14:30
くらいに町について車は止まった。どうやらここがタリアトのようだ。ゴビで見たなんの魅力もない町の草原バージョンだ。モンゴルの地方の町はほんとに魅力に欠ける。何日かいると、あのウランバートルが恋しくなるほどだ。

財布を見ると細かいのは13000tgしかなかったが、親父はいいよと言って受け取った。
お礼を言ってから、ホワイトレイクに向かって歩き始めた。町を出ると雲行きが怪しくなり、二キロほど歩いたところで降り始めた。レインウェアを着て、さらに歩くと車が後ろからやって来た。なんかたくさん人を乗せてる車だ。運ちゃんにホワイトレイクと連呼するとドアを閉めて走り去っていった。現地の名前で言うべきだったかなーと考えながらまた歩く。するとまた車が来た。今度は現地名でテルヒーン ツァガーンと言うと運ちゃんは「ホワイトレイクか?」と英語で答えた。「そうだ」と答えて、「雨降ってるから取り合えず乗せてくれ!」と頼む。運ちゃんは「10000tgだ」という。「高過ぎだろ!5000でいいか?」と聞くとオッケーが出た。安く泊まれるゲルまで連れていって欲しいと言うと、「英語はあまり分からないが、何が言いたいかは理解した」と笑顔で答えた。
そして、ホワイトレイク一のリゾートに到着した。ほんとに英語はあまり分からないようだ。

取り合えず値段を聞くと「98000tgだけど、安くするとよ」言われた。そこから安くなってもたかが知れているとおもい、「近くの安いゲルに泊まるよ」と伝え、雨が止むまで中にいれてもらうことにした。二時間ほどして雨が止んだので歩いて、ゲルを探しに行こうとすると向こうの丘からザミーン ウードで会ったカナダ人カップルがやって来た。彼らも驚いた様子でお互いの行った場所や、これからの旅程を話して盛り上がった。暗くなる前にゲルを探さないとまずいので別れをつげて、湖沿いに歩き始めた。最初の三件のゲルはどれも返事がなく、かなり焦り始めた。9月に入りツーリストはいなくなったので、人気がしない。また雨が降りだしそうだ。すでに7時半を過ぎている。

しばらく歩くと前からバイクに乗ったモンゴル人のおじさんが来た。手をふって止めて、泊まれるゲルはないかと必死にジェスチャーをすると、「ゲル持ってるぞ」と言う。「ほんとかー!」と喜んで値段を聞くと15000tgという。飯は?と聞くと6000tgと携帯に表示してきた。飯は6000でいいから、泊まるのは10000にしてくれと頼むとすこし考えてからオッケーと言った。ようやく今夜の宿が決まった。

おじさんは2ケツでゲルまで乗せてくれて、「this is your ger」といって一つのゲルの前で止まった。他に客はいないようで、おじさんはさっそく煙突を天井から出して、暖炉に木を入れて火をつけた。部屋はみるみる暖まり、雨で濡れたレインコートを乾かした。

夕飯はマトンとジャガイモ入りのスープパスタだった。紅茶を作ろうとお湯を貰うと、ティーパックを入れる前からお湯が何故かすこし茶色かった。深く考えるのはよしてティーパックを入れてぐるぐるかき混ぜると、すぐに分からないくらい茶色くなった。







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