昨夜はオシャカティで一泊することになった。ガソリンスタンドで下ろされそうになったが、運ちゃんに頼んで宿探しに付き合ってもらった。安い宿はなかったが、Bicho Lodgeという街道沿いの宿が、290NAD(2,146円)の部屋を150NAD(1,110円)にしてくれて落ち着いた。
翌朝、キッチンへ行くと皆とてもフレンドリーで、玉子焼きを食べるか?とかパンはあるかと色々世話してくれた。因みにこのキッチンは併設のレストラン用で、宿泊客は使えないのだが、昨夜、夕飯を作るのに借りたので、ここのスタッフとは仲良くなり、使用許可が出た。何にもないオシャカティの町だが、宿のビールはよく冷えていて、一日の喉の乾きを潤すには最高だった。
横で朝食を食べているスタッフ達の会話を聞いていると、聞き覚えのある単語が幾つも飛び込んできた。ポルトガル語だ。彼女達はアンゴラからの出稼ぎ労働者に間違いない。スペイン語で「何語で話してるんですか?」と聞くと「ポルトガル語だよ。アンゴラ人だからね」と答えた。彼女達にナミビアの後はアンゴラに行くと言うと、「そうかー」と嬉しそうだった。サンタクララの国境で両替はできるか聞くと「できるよ。100NADが3500クアンザだ」と答えた。驚いて、以前調べたレートを確認したが、3500だと肯定レートより3倍以上の値だ。どうやらアンゴラにはブラックマーケットが存在するようだ。首都ルアンダが世界一物価の高い都市として有名なアンゴラの物価の高さは、実経済と解離していて、実際にはそこまでではないということだ。銀行でお金を下ろして旅すると世界一の物価だが、実際にはその3分の1。入国前に知れて良かった。
この宿のオーナーはアンゴラ人で、よくアンゴラに行くというので確認すると国境で100NADを3600クアンザに変えられると、さらに少し良くなった。
オプウォ行きのミニバス乗り場へのタクシーの運転手もアンゴラ人で、「アンゴラの景気はどう?」と聞くと「ドルが足りなくて、おかしくなってる」と答えた。この分だとドルの闇レートは更にいいはずだ。もう少しドルを手に入れておけば良かった。それにしても、この辺りはアンゴラ人が異様に多い。独立後の長い内戦で壊滅した国内をオイルマネーで復興したアンゴラは、やはりその利権にありつけない人が、国から溢れ出ているのだろう。
オプウォの宿はAameny rest campという所でテントを張った。砂ぼこりが酷く、テントの中まで砂が入り、テント泊には厳しい場所だ。キッチンもないし、併設されているバーは宿泊客があまりにいないので、ビールさえ置いてなかった。オプウォは観光地だと思っていたが、町にも宿にも観光客はいない。代わりに町中は、ヒンバ族、ヘレロ族、オアハカオネ族、デンバ族と少数民族で溢れている。OK GrosslyやSPARといった南アのチェーンのスーパーもあるのだが、そのなかでも伝統衣装の民族がトップレス、裸足で買い物をしている。現代の町に、伝統衣装の少数民族が生活しているアンバランスさが、かなり面白い。町中には特にヒンバ族が大勢いて、酒屋の庇の下には、かなりの数のヒンバが地面に座って、昼間から酒を飲んでいる。オプウォには殆ど白人もいないようで、各民族が実に堂々と歩いている。
町には中心を通る幹線道しか鋪装されてなく、通りの商店の建物の裏には、青空市場が広がっていた。砂ぼこりだらけの乾燥した大地に掘っ立て小屋が、密集していて、簡単な食べ物や密造酒を売っている。昼間から、ヒンバやデンバの男達は、日除けの下で酒浸りになっていて、市場のなかは常に酒臭い。そもそも、市場というよりは、浮浪者の違法住居の様を呈している。
この青空市場の中で鳥の足を売っていた少年にオプウォに住む日本人の話をきいた。一人は彼の先生でオプウォの学校で教えていると言う。会いたいと言うと、案内してくれることになり、少し離れた居住区に連れていってくれることになった。
その人の家は、他のオプウォの町にある典型的な家で、やはり周りは砂ぼこりが酷かった。扉を叩くと暫く反応がなく、いないのかな?と思ったが、少しすると扉が開いて隙間から日本人の女の人が顔を覗かせた。
寝ていたようで、ちょっと待ってださいと中に戻り、少し経って外に出てきた。彼女はJICA隊員で、すぐ近くにもう一人隊員がいるというので、その人の家に一緒に行くことになった。もう一人の人はオプウォの役所で都市計画課を手伝っているらしい。建築関係なので、是非話を聞いてみたいと頼んだのだ。
会って話を聞くと、日本の役所で働いていたらしく、ここでも似たような仕事をしているという。つまり、各種申請等にやって来る人の対応がメインだ。かなり退屈そうだ。。。多分都市計画に関わるわけでもなさそうだし、そもそも一人ポツンと送り込まれて来たわけで、何かプロジェクトがあるわけではなく、現地職員の業務のサポートをしていると言うが、今ひとつ意思の疎通ができない中、家を建てるための分譲地の購入申し込みを受け取るのが主な仕事だ。相変わらずJICAは何がしたいのか分からない。