2016/SEP/6 「金を持たない男 ビシャラ」

モーリシャスにきて、はや3日目。朝起きて、お湯を湧かしてコーヒーを入れた。ビシャラが起きてきて、パンとバナナをくれたのでそれで朝食になった。食器を洗うために外に出て、シンクで他の溜まった食器と共に洗った。中にもシンクと蛇口はあるが水は出ない。始めは広くてなかなか豪華な家だと思ったが、この家はかなり見かけ倒しだ。広いキッチンにはシンクが2つあるが、どちらも水が出ない。ガスオーブンも、ガスがなく、一口だけある電気のクッカーしか使えない。電気ケトルでお湯を沸かすのだが、ケトルも壊れて使えなかった。ビシャラはここに来たとき、食事も奥さんが作るから心配するなとか、wifiもあると言ってはいたが、奥さんは料理はしないし、そもそも家に食材らしきものもない。wifiもお金を払ってなく止められている。家に来る前は「ホントはタダでもいいんだけど」と言っていたが、実際には12回くらい「お金をくれないか?」と言ってくる。もう払ったろうと言うと、子供のミルクを買うとかバターを買うとか、1日毎に払うと決めた家賃をドンドン前払いさせようとする。この家はきっと親の物で、こいつは仕事もしてないからお金がないのかもしれない。隣にも兄弟が住んでいて、そこにはすごい数の車が並んでいると思ったら、レンタカーの仕事をしているだけだった。ビシャラは車を28台持っていると言っていたが、それはレンタカー屋の彼の兄の話だ。ビシャラはロンドンに住んでいたとか、ロンドンでテレビ局のカメラマンをしていたとか、どう考えてもおかしい話ばかりしたが、ようやく3日目でその殆どが嘘っぱちだと分かってきた。そうは言っても、モーリシャスの宿は最低でも1600ルピー(1,620円)はするなか、250ルピー(675円)で泊まれているので、暫くここにいるつもりだ。

昨日は無理してマハブールの町を見に行ったのでマダガスカルで崩れた体調が悪化した。すぐに帰ってきて、それから今朝まで寝っぱなしだったので、いくぶん体調は良くなったが、まだ少し気持ち悪い。ビシャラは「今日はヒンドゥーの祭りでガネーシャを皆で担いで川まで行くから一緒に参加するか?」と誘ってきたが、多分コイツらは見にもいかないだろうから断った。こいつは期待させるだけで、いつも口だけだ。このままペニマニョにいても、折角のモーリシャスがインド滞在と殆ど変わらなくなるので、首都ポートルイスに行ってみることにした。

家の近くからバスに乗り、1時間半で到着。道中はサトウキビ畑が見えた。モーリシャスの産業と言えばサトウキビの輸出だ。他に輸出出来るものは何もない。

ポートルイスに着いて、マックを見つけた。腹も減ったのでメニューを見ると日本と同じような100円マックらしきメニューがある。37ルピーなのでちょうど100円くらいだ。その中のチキンバーガーとポテトを頼むと、「あと1ルピーでコーラも付けられる」とレジの人が自動的にコーラも付けてくれた。これだと200円でセットになる。多分世界中のマックでも200円でセットが食えるのはモーリシャスだけだろう。初日に食べた全く旨くないチャーハンが270円もしたのにどんなカラクリがあるのだろう?モーリシャス着いて以来のwifiもあり、冷房も効いているので、ずっとここにいようかと思ったが、ビシャラの奥さんが「ポートルイスにはウォーターフロントがあるのよ」と言っていたので行ってみることにした。

ウォーターフロントはマックの目の前で、港に突き出た半島のような所にショッピングモールやホテル、博物館がある。そんなにはしゃぐような代物でもないし、買い物するわけでもないので、とくにやることはない。一通り見て回り、カフェでマキアートを飲んだ。これでポートルイス終了か?早すぎる。結構観光客っぽい白人がいるが、皆さぞかしガッカリした事だろう。

その後、世界遺産の元奴隷収用施設を見て、中華街を歩いたが、別にワザワザ1日を使って来るところでもないかなーという感じだ。

ちょっと帰るには早いので、帰りにキューピップという町に寄ることにした。ここがモーリシャスで一番きれいな町だという。が、着いてみると廃れていて、何処をとって綺麗と言っているのか全く分からなかった。しかもこの辺りは高原で一年中雨が降るらしく、例にもれず降ってきた。走ってバスターミナルへ戻り、マエブール行きのバスに飛び乗った。滞在15分。来なきゃ良かったなーと帰りのバスでずっと考えた続けた。

夕方に家に戻ると、ビシャラが部屋にやって来て、飯を誘ってきたが腹が減ってなかったので断った。すると五分後にまたやって来て「飯を食べたいから100ルピー貸してくれ」と頼んできた。少し呆れて「なんで100ルピーも持ってないんだ?車を28台も持ってるんだろう」と言うと、「俺の銀行はバークレーだから、マエプールまで行かないと下ろせないんだ」と言う。「子供いるのに現金を一円も持ってないのか?馬鹿か?どうやってミルクを買ってるんだ?一家の主なんだからしっかりしろ」とキレ気味で言うと「分かった」と言って部屋から出ていった。隣の部屋で何やら奥さんと話してる声が聞こえる。そして15分後、また扉をノックしてきて「お金は用意出来たか?」と聞いてきた。ちょっと意味不明だったので「いや、ダメって話だったよね」と答えると「あー ダメってことなの?ダメかー」とまた部屋を出ていった。そして、隣からまた相談する声が聞こえてくる。きっと夕食をどうするかの相談だろう。この家は俺が来なかったらどうなってたのだろう。











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