2016/SEP/4 「インド洋の貴婦人」

昨日ノシベから24時間かけタナへ戻り、一番始めに泊まったホステルアンダーグラウンドに戻った。相変わらず外人だらけだったが、日本人も三人ほどいた。マダガスカルでは、数えるほどしか日本人には会ってないがそのすべてがタナでだ。さらに遅くにナイロビやザンジバル、マラウィで会ったチアキちゃんカップルがやって来て再会を喜んだ。こんなに日本人が集まるのはいつぶりだろう。

朝、6時半に起き、シャワーを浴びてから屋台で朝食を食べに出た。残ったアリアリ紙幣もここで使いきった。もう、空港へのシャトルに乗るだけだ。

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ヶ月弱の滞在は移動が多かったが、なかなか良いものになった。次はインド洋の貴婦人と呼ばれるモーリシャスだ。

空港には二時間以上早く着いたが、カウンターが開いてないと言われ待つことに。タナの空港は国際空港とは思えないくらい小さく、ズラッと並んだカウンターの上には液晶モニターが取り外された後がある。普通はそこに航空会社の名前とエコノミーとかクラスが表示されるものだが、液晶がないので分からない。なので、カウンターが開くまでどこのカウンターかは分からないし、開くのもかなりギリギリで長蛇の列ができる。そもそも搭乗開始が出発の20分前で、先進国ならゲートが閉まる時間だ。そして、当然飛行機も遅れる。

後ろに並んでいたポーランド人の男、ダニエルと仲良くなり、飛行機に乗るまでずっと話をしていた。彼は2週間の夏休みで、マダガスカル、モーリシャス、セーシェルを旅しているという。日本人並みのスケジュールだ。マダガスカルはたった5日しかいなかったらしい。日本に行ったことがあり、とても気に入ったらしく、さかんに日本の事を褒め称えて、将来住みたいとまで言う。因みに彼の今までいった国で住んでもいい国は、日本、イラン、オマーンで、共通点は最後にンが付くことだけで、説得力がまったくない。

飛行機は一時間遅れで飛び立ち、インド洋の上を東へと向かう。モーリシャスに着陸するときにひょっとしたら、幻の海底の滝が見えるのではと窓際の席にしてもらっていた。それを聞いたダニエルも窓際の席をゲットしたのだが、ダニエルの席8Aは何故かそこだけ窓の無い壁の席だった。ダニエルは離陸前にスッチーに大声で、窓じゃなきゃヤダと駄々をこねて困らせた。こんなに恥ずかしいヨーロピアンも珍しい。彼は今年、44歳だ。

ホテルの予約をしてないので、セーシェルの時のように突っ込まれるかと思ったが、アッサリとイミグレを抜け、税関で幾つかの質問に答えると、空港を出られた。まだ同じ飛行機に乗っていた人は出てこない。何故そんなに時間がかかるのか分からない。ダニエルを待って、彼のレンタカーでマハブールまで送ってもらおうと出口で張っていたが、いっこうに出てこない。一時間位経ち、このままだと町につく前に暗くなるなと思い、バス停に向かった。100ヵ国以上は旅したと豪語するダニエルは、マダガスカルのビーチではサブバックを盗まれて、タナの空港のセキュリティーゲートで機内に持ち込もうとした延長コードを取り上げられ、スタッフにどなり散らしたりとその片鱗を全く見せない旅人だ。しかも、空港のレンタカーショップで車を予約してあると言っていたが、免許証はサブバックと共に盗難にあっていた。クレジットカードも失ったので手持ちのキャッシュでポーランドに帰るまでの1週間しのがないとならないらしい。そんな間抜けな彼のことだ、入国審査か税関で引っ掛かって出てこれない可能性は十分にある。

バス停は閑散としていて、バスが来る気配が全くない。ベンチに座っているカップルに聞くと、ここで間違いないという。時刻表もなく永遠と時間だけが過ぎて行く。するとカップルの男が、何処に泊まるんだ?と聞いてきた。「マエブールに行って、適当に探す」と答えると「ホテルは高いから、1週間家を借りた方がいい」と言った。「予算はどれくらいだ?1週間なら1500ルピーで、うちに泊めてやる」と勧めてくれたが断った。

ついに太陽が沈み、薄暗くなり始めた。暗くなってからの宿探しかーと憂鬱になったが、マダガスカルのタクシーブルースで風邪をひいて体調が悪いほうが深刻だった。

ようやく一台のバスが来たが、そのバスはマエブールには行かないという。カップルの男が運転手と話して、「これはマエブールには行かないけど、これでバスが拾いやすい場所までいこう」と言い、乗り込んだ。バスは空港を出て、近くのランダーバードで止まり、そこで降りた。そこで待てばマエブール行きのバスが来るらしい。

ホントに暗くなってきた。やはり今夜だけでも彼らの家に泊めてもらうかと思い、男に頼むと快諾してくれた。男はビシャラといい、彼女との間に六ヶ月の子供がいた。

彼らの家はそこから歩いて10分ほどのペニマニョという町の住宅街にあった。どこの住宅にもヒンドゥーの神様を祭った祠の様なものがあり、赤い照明が付いていて不気味だ。家はコンクリートに白やピンクの塗装で、作りかけで止まったような物や、崩れているものなど全体的に安っぽい。住人はビシャラ同様、皆インド人だ。そんな中、ビシャラの家はかなり立派で、家の前には沢山の車が止まっている。2階建ての1階部分に住んでいて、2階には従兄弟が住んでいるらしい。それでも使ってない部屋が2つあり、その内1つをあてがわれた。家の庭にはやはり、小さな家のような中にヒンドゥーの神々が置かれている。家の中にもクリシュナの像やシヴァのポスター、サイババのプロマイドが飾ってあり、ヒンドゥー一色だ。モーリシャスはインド洋の貴婦人と呼ばれる地球上の楽園だが、ここはまるでインド洋のインドだ。







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