昨日カメルーンビザが貰えなかったので、今日は朝イチに大使館に行ってみることにした。セオドー兄に聞くと、トラックは10時くらいに出発するというから、朝イチにビザが貰えればまだ間に合うはずだ。
宿からバイタクに乗り、8時半に大使館に着いた。例の無愛想な受付に聞くと、「座って待て」とだけ言葉を発した。すぐもらえるのか聞きたいところだが、このおばさんはすぐに発狂する癖があるので、大人しく椅子に座って待つことにした。昨日話をしたスタッフも部屋から出てきて、こちらに気がつくと挨拶をしてきた。握手をして「昨日はよく寝れたか?」と聞いてきた。こいつは相変わらずいいやつだ。他のスタッフも皆いいやつで、あのおばさんだけが異様に態度が悪い。まるで飴と鞭のようだ。ひょっとしたらこの大使館はそういう方針なのかも知れない。
9時を15分ほど過ぎたときに受付のおばさんから呼ばれた。受け取りのサインをしろと言われ、サインし終わるとパスポートが返ってきた。やった!思ったより早くもらえた。20日しか貰えなかったが、ダブルエントリーだ。これで仮にチャドからニジェールに抜けられなくても、またカメルーンに戻ってくることも出来る。
急いで大使館を出て、バイタクを捕まえ、宿へ引き返した。これならトラックに間に合うかもしれない。宿で荷物をピックアップして、歩いてONAFへ。
すると途中で4台ほどのトラックが止まっていて、人が群がっているのが見えた。近づいていくと、セオドー兄がいた。ラッキーだ。来るときに乗せてもらったセオドーはコンゴへ行くので、返りはセオドー兄に乗せてもらおうと思っていたところだ。
ところが、セオドー兄は既に客を捕まえていて、席は埋まっていた。セオドー兄は少し待ってろといい、他のドライバーに話をして、何とか他のトラックに乗れることになった。そのトラックには英語が話せる人間はいなかったが、贅沢は言ってられない。しかも、すぐに出発だと言うので、セオドー兄にお礼を言って、トラックに乗り込んだ。
今回のトラックは、若いドライバーとオッサンのアシスタントというコンビで、車内にはその他にカメルーン人の男と中央アフリカ人の男を乗せていた。中央アフリカの男以外は皆モスリムだ。
ドライバーが熱心なモスリムの場合、お祈りの時間にはトラックを止めて地面でお祈りをする。キャンプ地に着いてもビールを飲まないし、バカ騒ぎもしないので静かな旅になる。さらにこのドライバーは皆にビスケットやコーラを振る舞った。このバカ高い輸入コーラを1人1本買ってくれたのには本当に驚いた。ムスリムはたまにこういう人がいる。イスラム教の教えに喜捨という教えがあるからだろう。
バンギからガロアブライへのトラックは来たときと違い、空っぽのコンテナを運ぶトラックが目立った。そしてそのコンテナの扉を開けて、コンテナに現地人を乗せて走る。一見荷物の上に乗るよりもマシに見えるが、砂ぼこりが酷く環境は劣悪だ。なによりコンテナの床は堅くてシンドイし、どんな道か前が見えないので、急に揺れたりと危険極まりない。