2017/JAN/17 「アフリカのヴェネチア」

ロンリープラネットにはベニンで一番の見所と紹介されている町がある。ベニンの首都コトヌーの北側のナコエ湖の北西岸沿いにあるガンビエという村で、アフリカのヴェネチアと呼ばれているとあった。

この村は湖の上にあり、約4万人が水上で暮らしているという。別に貧しいからというわけでなく(かといって裕福ではない)、過去にイスラム教から逃れるために水上に住み始めたという説があるらしい。

ガンビエへ行くには、コトヌーのホテルからのツアーか、アボメイ・カラビという町の船着き場から舟でいくことになる。レゴスでお世話になったジャコからはHotel Du Lacのツアーを勧められていたが割高なので、アボメイ・カラビで舟を探すことにした。

午前中にガーナ大使館へ行き、ビザが取れるか聞いて、そこからバイタクでアボメイ・カラビへ向かった。ちなみにコトヌーではガーナビザは取得できない。「国境で取れ」と突っぱねられた。値段を聞くと「高いよー。たぶん100ドル以上」と曖昧だった。

アボメイ・カラビにはそこそこ立派な桟橋があり、住人たちはそこから乗り合いのボートでガンビエへ向かう。ところが敷地に一歩入ると、客引きがわんさかやって来て、「ガンビエか?一人か?10,000CFAだ!」と完全に観光地のノリだ。ここには大きな料金表が建っていて、「モーターボート、17050CFA2~35050CFA4~4050CFA。手漕ぎボート、16050CFA2~34050CFA4~3+50CFA」と書いてある。だが、客引きは「この表は古い。今は一人では乗せない。二人分払え」とむちゃなことを言ってくる。アフリカの観光資源に乏しい国でちょっと観光客がくると分かると、直ぐにこんなことになってしまう。アフリカは観光資源などないほうがよっぽどいい国だ。現地人は500CFAも払ってないのに10倍以上だ。

結局一時間ほど他のツーリストが来ないか待ったが現れず、交渉してモーターボートに一人で6000CFAで乗せてもらった。ガイドも雇いたかったが、マネーマネーと煩いので止めた。

村まではモーターボートでゆっくり進んで15分。途中、湖では漁をしている村人がたくさんいた。ネットや草で囲まれた区画のような場所が至るところにあり、ボートはその間の水路のような部分を進んだ。一見普通の湖だが、よく見るとかなり複雑に漁師の縄張りが有りそうだ。

しばらく進むと、水上住宅の群が見えてきた。なかなかの数だ。漁師の数は更に増え、いたるところで網を投げている。

村に着くと舟は大きな建物の前で止まった。そこはお土産屋だった。特に欲しいものもないので、また舟に戻り、村の中を舟で回った。商店や学校、モスクもあり、割と事足りてそうだ。村の中心には舟で物を売る水上マーケットがあり、物売りの舟で混雑していた。
村の中には二軒ほどゲストハウスがあったが、誰も泊まってる気配はなかった。舟で回るのは面白いが、レゴスの水上スラムに比べると規模も小さく、舟から眺めるだけなので、ここに泊まっても退屈だろう。レゴスのほうが、劣悪な住環境と大都市の最底辺で暮らす人々のピリピリとした緊張感があり、インパクトが大きかった。なにより観光客の行くところにはないリアルなナイジェリアの貧困層の暮らしが見れた。


最後にもう一軒土産物屋に寄ってから、ガンビエを出た。船長は当たり前のように帰りに村人を3人ほどピックアップして小銭を稼いでアボメイ・カラビに戻った。ヴェネチアとの共通点は水しか思い浮かばないほどかけ離れているが、他にヴェネチアのような町のないアフリカではここがヴェネチアになるのかもしれない。
















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