ナイジェリアは闇レートがあり、正規レートの1.6倍くらいになっていると聞いていた。闇両替が存在する国は世界中に結構あるが、ナイジェリアではすこし勝手が違った。
闇レートがある国では大抵、闇両替は市場などで聞いて回れば見つかったが、このカンタゴラで見つけた闇両替屋は酷いレートで、一切交渉にも応じない。そもそも闇両替をしてくれる人が少なく、ようやく見つけた二人に当たってみたが、そんなに両替意欲が無いようで話にならなかった。
カメルーンで会った韓国人旅人のクンから紹介されたレゴスに住む南アフリカ人からは、1ドル500ナイラ近いと聞いていたが、闇両替屋の言うレートは良くて400程度だった。一体何処でそんなレートで両替できるのか分からない。
他に闇両替屋も見つからないので、手当たりしだいに人に聞いて回ると、「普通に銀行へ行け」と言われた。銀行では正規レートで1ドル300くらいなので大損してしまうではないかと思ったが、試しに銀行へいって、ゲートでセキュリティに聞いてみると「呼んでやるから待ってろ」と言って何やら電話を始めた。闇両替屋を呼ぶのかと思ったらなんと銀行のスタッフが建物から出てきた。
そのスタッフは「今はナイラが暴落して中央銀行以外では両替が禁止されている。そのため銀行内では大っぴらに両替はやってない」と話した。大きな銀行で働く行員はドルを売るルートを持っているので、ここでは彼らにドルを売るしかない。かなり身なりの綺麗なスタッフなので、銀行でも上の方の人間なのだろう。
そのスタッフはセキュリティの部屋のなかに入るように言い、中に入ると「いくら替えたいんだ?」と聞いてきた。「レート次第だけど、良ければ100ドル、悪ければ30ドルくらい」と答えると「100ドル以下では両替しない」と言った。レートを聞くと475ナイラだと言う。ようやくまともなレートが出てきたと安堵したが、難しい顔をして更に交渉すると482まで上がった。「友達からレゴスでは500だと聞いた」と言うと、「両替はレゴスでしか出来ないので、ドルを銀行口座に送金しなけらばならないので、手数料がかかるんだ」と話した。何となくこの国の闇両替事情が見えてきた。昼間に会った闇両替屋達はきっと、直にレゴスと取引出来ないで、ここの銀行スタッフと両替して貰っている。それでレートはかなり悪く、この行員のようにレゴスでドルを売るためのルートを持っていれば480以上の高レートでも両替できるということだ。
まーこれは推測の域をでないのだが、この町では銀行の人しか高レートで両替をしてくれる人がいなかった。それも5つ銀行を回って、両替してくれるという人は二人しか見つからないという状況だ。
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