2016/DEC/31 「妥協の多い大晦日」

ザンデールからのバスは全て朝4時発のなで、真っ暗闇のなか4台ほど並んだ大型バスに人が殺到している。一番端のアガデス行きに乗り込むと殆どの席は埋まっていて、何とか後ろの方に空いてる席を見つけて座った。大晦日まで移動とは今年は忙しない一年の幕切れだ。

バスは途中の町でしょっちゅう停るので進みが遅い。道も悪く砂ぼこりが酷い。朝方は寒いので誰も窓を開けなかったが、空調の壊れたバスの車内は昼には蒸し風呂のようになり、我慢できなくなった乗客は窓を開け始めた。当然砂が入ってくる。何人かが開けてしまえばもう終わりだ。皆ターバンを口にも回してひたすら耐える。道はよくなったと思えば、また悪路にもどり、寝ることもできない。結局アガデスまでは11時間もかかった。着いたときには服も鞄も砂の層で覆われていたが、トランクに預けたバックパックはさらに酷いことになっていた。

古い情報にあった宿を2軒ほど回るが、どちらももう存在しなかった。バックパックを背負って路地を歩いていると有名な泥のグランモスクの頭が土壁の向こうに見えた。あれかーと引き寄せられるようにモスクへ歩きだした。

何度も曲がり角を曲がって進むと、ついにモスクの前に出た。思ったよりも大きいし、キレイだ。本当に日干し煉瓦と泥で出来ているのだろうか?何本も木の棒が刺さっているミナレットが何重もの壁に囲まれている。スーダン様式と言うらしいが、スーダンではこんなモスクは見なかった気がする。マリやブルキナファソにも似たような建築物があるが、その辺りの様式なのだろうか?

太陽がすこし傾き始め、雲ひとつない空の下、モスクは太陽に照らされている。あまり期待していなかったのもあるが、いい建物だ。

モスクの前には土産物やがあり、店の前に座っていたオッサンたちが、すぐ横にホテルがあると教えてくれた。だがそのホテルは全く安そうではない。案の定、一番安い部屋でも15,000CFA3,000円)と高かった。そこで他に安い宿はないかと聞くと、ホテルキャラバンがあると教えてくれた。

着いてみるとホテルキャラバンは、ホテルの名前ではなく、キャラバンサライのような建物なのでそう呼ばれているだけだった。値段は10,500CFA2,100円)とそこまで安くない。それでもホテルのスタッフは自信満々に他のホテルはもっと高いと言う。もう夕方だし、移動の疲れがあるので値引き交渉をして、7500CFA1,500円)で泊めてもらうことにした。


全身砂まみれだったが、腹が減っていたので飯を食いに町に出た。大晦日だし特別なものが食べたかったがチキンで我慢した。ビールも欲しかったが、どこにも売ってないので、ノンアルビールで妥協した。なんとも妥協の多い大晦日だ。





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