ヤムスクロは新しくできた首都だ。以前はアビジャンだったが、首都機能だけヤムスクロに移したのだ。こういった例はタンザニアのドドマなど他にもあるが、ヤムスクロもそれらと同じく、何もないサバンナの中にポツンと佇む小さな町だった。
何もないヤムスクロの見所は通称バジリカと呼ばれる世界一高いクーポラを持つバジリカ式カトリック大聖堂だ。これまた周りには何もない所にいきなり建っていて、遠くからでもクーポラが見える。
一体なぜここにこんなものを建てたのかわからない。これを建てたのは初代大統領だが、ヨーロッパのゼネコンが何社も協力して、フランスやイタリアから半端ない量の大理石や木材を持ってきて建てたらしい。家具はイタリアの会社がつくり、彫刻や絵もイタリアのアーティストが制作した。こんなに巨大にする必要があったのか?さぞかしヨーロッパの会社には利益が転がり込んだのだろう。
この教会は独立後20年間奇跡的な発展を遂げたことの神への感謝とした建てたと言うが、これが完成した頃にはクーデターが勃発して、経済成長はお先真っ暗だったことだろう。そんななか海外の会社を使い、海外の材料で国にお金のあまり落ちないこんな事業をするとは、さぞかし財政を圧迫したはずだ。
ガイドは建物について丁寧に色々と説明してくれたが、建設費だけは教えてくれなかった。多分なぜそんな金をかけてと批判の対象になるので秘密なのだろう。どちらかと言うとモスリム人口がキリスト教徒より多いコートジボワールで、これだけの金を特に市民の生活の向上にもならない巨大な建造物に使ったというのはスゴい。そんなことを大統領の一存で決められてしまうほどにアフリカの大統領制は大統領に権力が集中するのがアフリカの民主主義の大きな問題点だ。
町は湖に分断された敷地にあり、ゴミだらけの異様な緑色をした湖からは異臭が立ち込める。夜には水際にテーブルが並べられ、金のある現地人とNGOの白人が、異臭のなかビールと魚を食べる姿がみられる。こんなに緑溢れているのにこんなに臭い町は他にはないかもしれない。
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