バンディアグラにいたときに、ある朝たくさんのドゴン族がバスに荷物を積み込んでいた。荷物の形が棒状だったり変わっていたので聞くと、バマコへマスクダンスを見せに行くと答えた。どうもモロッコの王様がマリを訪問中らしく、マスクダンスを観賞してもらうために召集されたらしい。
ティレリに到着した時にエリーにダンスの話をすると、翌朝の8時に見られる手筈になっていると言った。
朝食を食べ終え、7時45分にエリーと宿を出て、村の広場へ向かった。エリーは既に民族衣装で、彼もダンスに加わると話した。広場に着くとまだ人は疎らで、それらしい人もいない。いるのはエリーと同じ格好の老人たちと子供だけだ。
暫くするとマスクダンサーらしき人が広場を横切って階段の所に集まってきた。エリーの息子バルゴが広場の左端に来るように言い、ここが特等席だと教えてくれた。エリーと同じ傘帽子に紺色の服を着た老人がかなりの数になった。いつ始まるのかなーと眺めていると、太鼓をもった老人たちがいきなり太鼓を叩きだし、端から傘帽子の男たちが出てきた。それに続いてマスクダンサー達が躍りながら現れた。
太鼓隊を中心に円を描くように次々と違うマスクのダンサーが出てくる。一人ものすごく縦長なマスクの男が目を引く。高さが5mくらいはありそうだ。すると今度は外からその円の中に竹馬みたいな棒を足に付けた二人組が入っていった。これが噂に聞くドゴンの竹馬ダンサーだ。ブルキナファソで会った女の子はこれを見た瞬間涙を流したという。傘帽子とマスクダンサーが太鼓隊の回りを躍りながら回り、その円の中で竹馬ダンサーが踊る。広場の後ろにはバンディアグラの絶壁が朝日を浴びている。スゴい光景だ。
マスクダンサー達は右手に集まって座り、傘帽子は他の老人たちのいる左手におさまり、マスクダンサーのソロダンスが始まった。ただ皆で踊るだけではないらしい。先ずは一番目立つとてつもなく長いマスクの男が出てきた。多分マスクが傾くと重さで倒れてしまうので、体が激しく動いても顔は全くぶれない。しかもこのマスクは相当重いはずだ。縦長マスクが躍り終えると他のマスクダンサーか順番にソロダンスを披露する。同じマスクを付けた人は同じグループらしく、マスクによって2人だったり、3人だったりする。ダンスはなかなか激しい動きで、跳躍したりもする。
全員ソロが終わるとまた全員で円を描くような動きにもどり、グルグルと回りだした。
マスクダンサーは20人くらいだが、傘帽子のおじいさんたちも入れると総勢40人以上がこのダンスのためにかりだされている。まさの村総出という感じだ。他に観光客もいないので観ているのは村の子供たちだけだ。まさかドゴンの仮面ダンスを一人でチャーターすることになるとは思わなかった。何人で観ても謝礼は100ドルなので一人ではもったいないし、村総出のダンスを一人で見るのはなんだか申し訳ない気分になる。バマコでマスクダンスを観賞したモロッコの王さまもこんな感じだったのかも知れない。
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