2017/JAN/28 「八の字の家」

ガーナビザの取れた昨日の内にガーナ国境近くのポーへやって来た。国境を越える前にここから35キロほど東へ進んだ所にあるティエベレという村を訪れるためだ。そこには泥の壁に幾何学模様が描かれている集落があるので見てみたかった。

バスで行こうと思ったが、昼過ぎまで出発しないと言うので、バイタクに2000CFA(400)で行ってもらった。

村自体はごく普通の村で、幾つかの建物に幾何学模様が施されているのが見える。バイタクは、10軒くらいの建物が集まった集落で止まった。建物には新しい幾何学模様が描かれていたり、消えかけていたり、完全に土壁だったりだ。中に入るには2000CFA(400)払う必要があり、更にガイド料が5000CFA(1000)かかるという。ちょっと高い。しかもMapsmeを見ると、ここはCour Royaleと呼ばれる王様のいる集落とも違うようだ。運ちゃんに入場料払うならCour Royaleを見たいといって、その集落を後にした。この集落は中は狭そうだったが、集落裏側の外壁は幾何学模様で埋められていて、なかなか良かった。

Cour Royaleも外からは朽ちた感じの集落で幾何学模様はまばらだ。やはり、まったく同じ金額を言われたが、一人ということでガイド料は3000CFA(600)にまけてくれた。

入口の外にはアニミズムの生け贄の儀式で使う台座があり、一通り写真を取り終えてから、撮影禁止と説明をうけた。入口を入ると開けた敷地があり、墓場だと説明された。さっきの集落よりかなり大きく、内部は迷路のようだが、塗装がされている建物よりも塗装無しのほうが多く、なかなか期待通りというわけにはいかない。これだけの建物や壁が全て幾何学模様で覆われていたら、さぞかし壮観だろう。

模様には色々な意味が含まれているらしく、幾何学模様とは別にふんどし、ヘビ、亀、トカゲ、太鼓が壁に立体的に描かれた壁があり、彼らカッシム族にとってそれらが特別な存在であることがわかる。建物も四角いもの、丸いもの、八の字型と3種類あり、丸いものには中学生から大学生くらいの歳の子供が住み、結婚すると四角い建物を建てて移り、八の字の家には父母、もしくはお爺さんお婆さんと幼い子供達が住むという。

この八の字の家はなかなか興味深い構造で、入口が小さく、入って直ぐに腰壁があり中が見えないようになっている。部屋が3つほどあり、その全ての接続部で入口と同じ、小さな開口と入ってすぐの腰壁が設けられている。一つの部屋は寝室、もうひとつはキッチン、残りは穀物を貯めたり、穀物を磨り潰したりする場所になっていた。これらの作りは外敵からの侵入を防ぎ、中で長いときは2週間もの期間、外に出ずに暮らすためだという。といってもそれは昔の話で、今は引きこもりの人以外籠ったりはない。

Cour Royaleは完全に壁で囲まれてはなく、裏側は畑につながっていて、その周辺の家は何処もボロボロだったことから、壁が維持できないだけかもしれないと思った。雨季には雨の降るブルキナでは、これだけの土の集落を維持するだけでも莫大な労力を要するのだろう。建物や壁に加え、幾何学模様もとなると、どっかから金を引っ張ってこなければ存続できないだろう。なにせ、ここの男達は木陰で寝ていて働かない。

入口近くの木の下には15人くらいの男衆が一日中座って話をしている。観光客がくると「入場料だ、ガイド料だ」と言うだけだ。ガイドは「昔は観光客がたくさん来て、カネが落ちたので幾何学模様ももっとたくさんあったが、今は滅多に観光客も来ないので、模様は減ってしまった」と語った。模様の数が観光客しだいと言うのは情けない話だ。あの入口の男達が気持ちを入れ換えて働き始めないと、この幾何学模様もそう長くはないだろう。

ティエベレからポーへ戻るシェアタクシーを待っている時、ワガドゥクで会った日本人の女の子に再開した。たしか今日はトーゴへ向かうと言っていたが変更したようだ。ワガドゥクではツインルームをシェアした大学生の男の子が、宿を出るときに、体調が悪いから病院に行くと言っていたが、その後どうなったか心配だったので、女の子に聞くとなんとマラリアだったらしい。あの宿は確かに蚊が多かったなーと思ったが、部屋をシェアしていた彼がマラリアになったのなら、こっちも彼を刺した蚊に刺された可能性がかなり高い。最近は閉塞感が嫌で蚊帳をかけないで寝ていたし。発症までには潜伏期間があるので今は、マラリアかどうかはわからない。アフリカに入ってから14ヶ月、これまでマラリアにかからず済んでいたが、これはついにマラリアになるかもしれない。





























0 件のコメント:

Recomend Posts

2017/APR/21 「最後の町」

日本へ帰る便は土曜日の昼にマドリッド発だったので、マドリッドには泊まらずトレドで 2 泊して、土曜の朝に直接空港へ向かうことにした。 マドリッド、トレド間は 30 分おきにバスがあり交通の便がよい。 トレドはスペインの有名観光地で、とても綺麗な町だ。スペインには何度も来てい...