2017/MAR/21 「ガンビア入国審査」

ビジャゴ諸島からビサウに戻り、うまくその日のうちにジカンショールまで戻ってこれた。移動や乗り継ぎの効率が最悪の西アフリカでは、これはかなりスムーズにいった移動の1つだ。ビサウのガレージ(バスターミナル)でアラーギに再会することもできた。

ジカンショールに着いた時は薄暗くなっていたので、前に泊まっていた宿Casafriqueに直行して1泊した。

翌朝ジカンショールからガンビア国境へのセットプラスに乗り、ガンビアを目指す。これ迄散々故障を見てきたプジョーのワゴンは、やはりここでも故障し、別のセットプラスがやって来るのを待つはめになった。

なんとか国境に着いて、セネガルイミグレで出国スタンプを貰い、ガンビアイミグレへ向かう。ガンビアはイギリス植民地だったので、イミグレも英語が通じるので安心だ。ところがイミグレにパスポートを渡すと、イミグレは何やら険しい顔で書類をめくり始め、そこにJAPANの文字を見つけると「クリアランスは持ってるか?」と聞いてきた。何のクリアランスだか分からない。何のクリアランスかと聞くと「日本人はビザとは別にエントリークリアランスが必要だ」と言ってきた。全く聞いたことがない話だ。すると男は冊子をめくってJAPANと書かれたページを見せて、「ほら、書いてあるだろう」と言った。そこにはビザが必要な国、ビザは不要だがエントリークリアランスが必要な国、ビザとエントリークリアランス両方必要な国が列記してあり、日本は両方必要な国に入っている。両方必要な国は東、南アフリカ諸国、中東諸国とアジアではインド、パキスタン、アフガニスタン、中国、日本だ。確かに日本以外のアジアの国は必要であろう国ばかりだからしょうがなさそうだが、日本まで必要なのは意外だ。世界最強と言われる日本パスポートでも、ビザがあるだけでは入れない国があるのだろうか?

「ビザを取ったフリータウンの大使館はビザだけで入国出来ると言っていたよ」と言っても、「大使館はイミグレではない。この冊子はバンジュールのイミグレーションオフィスから来ているもので、これがルールだ」と全く引かない。男はクリアランスはオンラインで取れるからそれを印刷して持ってこいという。

しかし少しすると「実はここでも取れる。ビザと同額だ」と言ってきた。なんか怪しい。手の込んだ賄賂請求では?と疑うと男は壁に貼ってある紙を指して「ここに料金もあるだろう」と言った。そこにはビザ代3000ダラシor45,000CFA、クリアランス3000ダラシと書いてある。しかもクリアランスのサンプルとして、他のツーリストが提出したエントリークリアランスを見せてきた。本当にエントリークリアランスは存在するようだ。問題は金額で9000円もする。もし、ここでビザも取るなら倍の18,000円ということになる。今まで取ったビザの中でナイジェリアの次に高い。こんなに小さな国なのに!
手持ちのCFA1200円分くらいしかなく、他の現金は日本円が7000円くらいと記念に買った旧50億ジンバブエドル札が1枚しかなくどちらもここでは使えない。現金はないと言うと「じゃー入国は無理だ。ジカンショールへ引き返せ」といい、タクシー運ちゃんを捕まえて、連れて帰れとドライバーに話をし始めた。
そんなわけでジカンショールへ戻ってきたが、彼らの話が本当か疑いは消えない。ダカールのガンビア大使館に電話するが、いっこうに出ないし、ネットで検索してもそんなオンラインサイトはない。ガンビアイミグレーションオフィスのメールアドレスを見つけたが、メールは届かず返ってきてしまう。そもそもアドレスもGmailだ。日本大使館へ電話して聞いてみると、ビザだけで入国できるはずだと言われた。ネットでガンビアの入国必要書類を調べるとwikipediaにエントリークリアランスが必要な国が出ていて、それには日本は含まれていなかった。一体どういう事なのだろう。

翌朝、再度入国を試みることにした。今度はwikipediaのページをダウンロードしておいた。国境で昨日の係官にそれを見せて、日本は必要ないとあるし、大使館もビザだけで入国できると言っていたと話すと、ボスに相談が始まった。これはいけるかとおもったが、結果は同じで、ここにある冊子の内容が正だという。こいつと話してもダメだと思い、制止を振り切り奥の部屋に押し入りボスに直談判を試みる。机に座った偉そうな男に激しく抗議。日本大使館もそう言っている。この事は日本大使館に伝えて、イミグレーションに確認してもらうこともできると脅すが、実はボスは机の男ではなく、横で椅子に座って聞いていた男だった。これは大きなミスをしてしまった。

全く同じ内容の事を今度は本物のボスに話すと、滞在日数や宿泊先を聞かれて、「少し待っててくれ」と言って、部屋から出るように促された。そして、15分後呼ばれて部屋に入ると、「やっぱりダメです。クリアランス取って来てください」と丁重に断られた。クリアランス取るサイトを教えてくれと頼むと「www.gid.gmだ」と答えた。こんなアドレスあるのか?さすがに部下も「.COMは要らないんですか?」と突っ込んだが、ボスは「問題ない」と自信満々だった。このアドレスは後で試したが当然引っ掛からなかった。

今回も部下がセットプラスを捕まえ、それに乗るところまで見張られた。帰りのセットプラスでは同乗したガンビア人にガンビアイミグレの悪口を延々と語ってすごした。


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