モンロビアからのシェアタクシーは3時間で国境へ着いた。ここまでもリベリアの道路は良く、快適だった。
リベリアイミグレでスタンプを貰おうとすると、スタッフが顔をしかめて部屋を出ていった。すると別の所に座っていたボスらしき男が「シオラレオネのビザは持っているのか?」と聞いてきた。「国境で取れます」と言うと「何故分かるんだ?行ったことあるのか?」と言ってきた。少し前に日本人ツーリストがこの国境でビザを取って入国していると言うと「今は取れるかわからないだろ。それではここは通せない」と言い出した。出国で止められるのはいままでなかった。新しいパターンだ。
同じ車に乗っていたリベリア人が、説得を試みるもボスは「モンロビアのシオラレオネ大使館で取らないとダメだ」と言ってひかない。するとすぐ後ろをシオラレオネの軍服の男が通りかかった。チャンスとばかりに国境でビザが取れるか聞くとあっさり「取れるよ」という。
ボスに「ほら、シオラレオネイミグレのスタッフが取れると言ってるよ」と言うと「ちょっと待て、向こうのコマンダーに聞いてみる」と言って電話を始めた。電話に出たコマンダーは「問題ない、150ドルだ」と告げた。150ドルは大問題だ。だが、取れると分かったのでリベリアイミグレは出国スタンプをくれ、歩いて国境を渡った。この先でシオラレオネイミグレとの戦いが待っていると思うと足取りは重かった。
シオラレオネイミグレに着くと腹の出た男が「中に入れ。さっき話したのは俺だ」と言ってきた。男は椅子に腰かけると「150ドル」とだけ言いはなった。「何年か前にここを通った旅人が50ドルといってたんだけど、料金表もあったとか」と言うと壁を指して「ほら、これが日本人の値段だ。675,000リオンだろ」と言う。両替アブリで換算すると91ドル。おかしい。「91ドルくらいのはずなんですが」と言うと「100ドルだ」と値を下げた。「それでも少し高いんですけど」と言うと「お前のレートがおかしいんだ。ここでは100ドルだ」と機嫌が悪くなった。「いや、これは公定レートだし。それならリオンで払ってもいいか?」と聞くと怒って「嫌ならリベリアへ帰って大使館でビザを取ってこい。大使館だと150ドルだぞ。因みに今、大使館ではビザのシールが切れてて、国境で取るように言われるけどな!」と言い捨てた。さらに男は部屋から出ていけと警備を呼び出した。これはまずいと「100ドルで問題ないです。なんとかビザを出して貰えませんか」と超低姿勢で頼むと男は「本来なら、、、、」とまだ言い足りないと言った感じでブツブツ言いながらビザのスタンプをパスポートに押した。
それから歩いて町のターミナルへ行くと一緒のここまでの車にのってた人達がまだ車を待っていた。ここからはジープしかなく、10人集まらないと出発しないらしい。まだ6人。この国境を越える人は多くなく、長丁場になりそうだ。
結局人数が揃うのを4時間ほど待つことになった。しかもこのオンボロジープは止まったままではエンジンがかからず、皆で押しがけをしなければならなかった。さらに国境からボーまでの道はアンゴラ国境からキンシャサへの道に匹敵する悪路で、ジープは何度も止まり、その度に皆で押し、長い坂では自主的に降りて歩いた。
三時間ほどで数件の商店がある集落に着いた。既に日は暮れて真っ暗だ。地図を見ると国境からたったの40kmしか進んでいなかった。信じられない1日だ。
そこからの道は少し良くなり、割りとスピードも出るようになった。だが、しばらくするとジープは止まり、皆車を降りた。辺りはジャングルで真っ暗で何も見えない。運ちゃんが「デロー」と言った。デロー?水?また水溜まりかと思って皆の後を携帯の明かりで照らしながら歩いて行くと、暗闇の中に車のヘッドライトが水面に反射してゆらゆらと揺れているのが見えた。かなりでかい。そしてもっと近付くと川だった。
一体どうやって渡るのかと思ったら、目が慣れると暗闇の中、両岸に渡したロープが見えた。そして筏のようなものが近づいて来るのが見えた。動力はなくロープを手繰って動かしている。この暗闇の中で灯りも無しでよくやるなーと驚いた。
筏は親子のような二人の男がロープを手繰って両岸を行き来して、川をわたる車から金を取っていた。日本人だと言うと息子のような男の方が「俺は日本に行きたい。連れていってくれ」と言うので「お前がいなくなったらどうやって川を渡るんだ」と叱りつけた。
とにかく国境からボーまではアドベンチャーに富んだ道のりだった。
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