モプティの町の北側でバニ川とニジェール川が合流する。合流したニジェール川はそのまま北へ流れ、かつて黄金の町と呼ばれ繁栄したトンブクトゥへ続く。サハラの交易路の最南端で、ここに運ばれてきた品々がサハラ南部で取れた金や塩と交換され、そこから舟で運ばれていったという。かつてのサハラの商隊都市は中央アジアのシルクロードの中継都市と同じような魅力がある。
国土の殆どが乾燥地帯のマリでは人口の殆どが川沿いに集中している。南部では農業があるが、中部以北はサハラ砂漠なのでヤギやラクダの放牧をしている。放牧をしているのはフラニ族やトゥアレグ族で、マリではトゥアレグ族は厄介な存在とされている。ニジェールのアガデスで会ったトゥアレグ達はみな親切でいい人だったが、マリにはトゥアレグ族の反政府組織がいて、外国人を身代金目当てに誘拐したり、政府の施設を襲撃したりするので、バマコやモプティの人に聞くと、たいてい悪者だと答える。
モプティの町から舟でトゥンブクトゥへ行けると聞いたので、川沿いを歩き舟を探した。たくさんの木の舟が留まっていて、近付くとすぐに客引きがやって来た。舟の中を見せてもらい、トゥンブクトゥまでの旅程と値段を聞く。雨季には大きなフェリーが運行されるが、乾期の今はピローグのみで、トゥンブクトゥまで2泊3日、20,000CFA(4,000円)だと言う。問題は治安で、トゥンブクトゥまでの道は危ないと会ったツーリストは皆口を揃えて言っていた。
当然だが、客引きは皆、まったく問題ないと言う。取り合えず他でも聞いた方がよさそうなので川を後にした。それにしたも川沿いは凄まじいゴミで、ゴミが踏み固められて岸になっている感じだ。異臭を放ち、水に触れたら病気になるんじゃないかというくらい汚なかった。
旧市街を歩いて、泥のモスクや路地を見て回った。モスクの近くでヨーグルトの入った瓢箪を頭に載せて売っている女の人がいて、口の回りに泥棒髭のような刺青が入っていた。近くの店のおばさんも同じような刺青がある。聞くと彼女達はフラニ族だといい、結婚すると口の回りに刺青をいれるのだという。因みに婚約時には口の下側だけに刺青を入れ、結婚で上にもいれて泥棒髭になるらしい。結婚年齢の若いフラニ族では下側だけの刺青をしているのは中学生くらいの女性だけだ。一見罰ゲームにしか見えないこの泥棒髭刺青の美的センスはなかなか理解に苦しむ。
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