ブバケ島には島の南端に美しいビーチがあると聞いていた。地図では18kmほど離れている。歩くのは厳しそうだ。
取り合えず朝御飯を食べに港近くのカフェに入ると、英語を話す客らしき男が話しかけてきた。聞くとナイジェリア人でビサウに6ヶ月ほど住んでいて、ブバケ島の魚をビサウで売っているという。ナイジェリア人は本当に何処にでもいる。人口1億7000万とも言われるナイジェリア人は55カ国からなるアフリカ総人口の6分の1を占める。
コーヒーとマヨネーズサンドを食べ終えるとそのナイジェリア人がお金を払ってくれた。マイケルというそのイボ族のナイジェリア人はバイクを持ってるから、南端のビーチへ連れていってくれると言った。6ヶ月もギニアビサウに住んでいて、まだ一度も行ったことがないらしい。
出発は11時となり、時間があったので出発までの間、町から西へ歩いて回った。ブバケ島の周りには幾つか島があり、海越しにそれらが見える。どの島もジャングルに覆われていて秘境感がありいい感じだ。近くには2ヶ所ほどビーチがあったが、砂と泥の中間といった感じだった。島唯一の空港は細長い草地でフェンスも建物も一切見当たらない。港周辺以外には民家しかなく、大きな畑も見当たらず漁業と観光以外仕事はなさそうだ。島で取れる物は魚、ヤシの実、カシュー、バナナくらいだし、市場にも小さなトマト、ナス、キューリが申し訳ない程度に並んでいるだけで、島民の主食の米も輸入米だ。なかなか生活環境は厳しそうだ。
マイケルが宿に迎えにきて、食料と水を買ってから南へ向かった。多分南北をはしる道は1つしかなく、それも穴ぼこだらけの舗装路だ。道沿いには民家がポツポツあるが、それも南へ行くにつれて殆ど見なくなった。
道路は細くなり、その先には道の行き止まりが見え、茂みの隙間からは白いビーチが見えた。なかなかの白さだ。ビーチに出ると無人の砂浜はどこまでも続いていて、その先に一軒だけホテルがあった。全く人の気配がない。たくさんのビーチチェアーと茅葺きの傘が並んでいる。奥には宿泊用テントが張ってあり、オープンなバーの建物が見える。そのまわりには不思議な仮面の像がすごい数並んでいる。不思議なホテルだ。
従業員らしき女性が一人だけ奥から現れた。ここはアメリカで働いていたブバケ島出身の人が建てたキャンプホテルで、少し離れた所にキャンプではないホテルもあるという。値段はキャンプの方で35,000CFA(7000円)。ホテルの方は聞いてないがもっと高いのだろう。客は見当たらずバーもテーブルも埃かかっている。この値段でここに泊まる人はいるのだろうか。
唯一の従業員の女性も商売っ気がなく、ビーチチェアーを使っても飲み物を買えとも言ってこない。
後でマイケルがホテルの方にも連れていってくれたが、そっちも客はいなかった。ギニアビサウに来る観光客はまだ少ないのだろうが、このホテルは前途多難に見える。ホテルを管理している家族はマイケルの知り合いで、昼飯を出してくれたり、椰子の実、カシューの実を木から取ってきて食べさせてくれた。カシューナッツは食べたことがあったが、実が食べられるのは知らなかった。しかも驚くほどジュシーだった。高校生くらいの息子が輪になったロープを使って、いとも簡単にヤシの木に登るので、登り方を教えて貰い登ってみた。
夕方に町を歩いていると、同じ船に乗っていたロシア人に会い、一緒に近くのビーチで泳いだ。かなり陽気なロシア人で、3ヶ月ほどセネガル、ギニアビサウ、ガンビア、モロッコを旅していると話した。3ヶ月の旅行でビジャゴ諸島にやって来るとはなかなか面白いチョイスだ。
ブバケ島は正直、海の透明度が高いわけでもなく、ビーチも南端のビーチ以外は綺麗でもない。だが、ここの魅力はあまり開発が進んでない素朴な島の暮らしと周りの島を含めた秘境感溢れる環境だろう。決まりきった観光地に飽きた人にはいいところだろう。
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