5時半にガイドがテントにおこしにきた。昨夜は思った以上に寝れたので、あまり疲れはない。キャンプ地からは雲海が眺められたが、山頂には雲がかかっている。
カサカサのパンとサーディンの缶詰の朝食を食べてから、ガイドとクンと歩き始めた。なかなか調子よく登っていたが、クンが遅れだした。昨日もクンが遅れるのを、ガイドと二人で待つということを繰り返して登った。まだ26歳だというクンは、腹に肉がついてしまって体力がない。伸びきったカーリーな長髪で腹が出たクンは長州小力を彷彿させる。
絶体迷うことはないような道だが、あまり離れてしまうのは良くない。しかも、途中からは霧がでて、視界も悪くなったので、いっそう皆でかたまって歩く必要があった。
二時間半ほどで、ボロボロの山小屋に着いた。ここは寒いので、泊まるひとはいないらしく、窓ガラスも割れていたし、床も抜けていて酷かった。ここでガイドがリュックから丸ごとのパイナップルを出して切って食べた。行動食でパイナップル丸ごと持ってくるのがどこかカメルーンらしい。
寒いのでガイドが頑張って小屋のなかで火を焚いたが、部屋中煙だらけになり、今度は外へ避難しなければならなくなった。そんなこんなで寒いのでもう山頂へ行こうということになり、3人でまた歩き始めた。
小屋から山頂は30分ほどだった。霧で周りが見えないので、着いても言われるまで気がつかなかった。山頂にはMt.Cameroonと書かれた標識と白いコンクリートの台があるだけだった。
天気が良ければ山の裏側に幾つものクレーターが見えるはずだったが、霧で真っ白だ。
少し経っても霧が晴れる気配はない。こんなに登って、何も見えないとは不幸の塊のような登山だ。しかも今日はこのあと3000mも降らなければならない。
少し経っても霧が晴れる気配はない。こんなに登って、何も見えないとは不幸の塊のような登山だ。しかも今日はこのあと3000mも降らなければならない。
山頂から下り始めて、二時間でポーターの待つキャンプ地に着いた。足はまだ痛くはなかったが、疲れが溜まっているのがハッキリと分かった。ここでまたサーディンの缶詰とカサカサのパンを食べた。本当になんであんな金額を取ってこんなものしか出せないのか理解出来ない。
残りの下りで、クンは足に豆が出来て、かなり辛そうだった。心配していた3000mの下りはなんとか足が持ってくれたが、明日からは筋肉痛の日々が続くだろう。カメルーン山はクレーターも見れなかったし、ボッタクリな金額を払わされて、全くいい印象は残らなかった。なんとか自力でガイドを見つけて、3日間かけて山の向こう側まで行けばクレーターも見れるのでまた違ったものになっただろうな、すこし後悔が残った。