朝食を食べ、その足で病院に行き、三回目のマラリア注射を打ってもらった。今回のマラリア治療は飲み薬ではなく、通院して注射だった。ただこれは、なんとなく医者の気まぐれのような気がした。体調は問題無さそうだが、二度再発しているので、これで終わるという保証はない。色々話を聞くと、一度マラリアになると1ヶ月くらいは再発したり、治ったりを繰り返すことがあるようだ。
宿に戻るとまだ午前中だったので、このままギニア国境を目指すことにした。ギニア国境へのミニバスはそのままの名前のガール ルーティエ ギニアから出ている。かなり離れていたので、体調のことも考えて久しぶりに貸切タクシーを使った。アフリカでシェアタクシー以外のタクシーに乗るのは久しぶりだ。
ガール ルーティエに着いたとたん客引きに捕まり、直ぐにギニア行きの車にたどり着けた。しかもこの車はギニア国境を越えてカンカンという町まで行くという。かなり年期の入ったルノーのステーションワゴンで9人集まったら出発。このタイプの車はこの先ギニアやセネガルでも走っているセットプラスと呼ばれるもので、ここより西では主要交通手段になるのだが乗ったのはこの時が初めてだった。木の陰で出発を待っていると、車の屋根に荷物を積んでいる男が個別に客に荷物代を徴収してまわり始めた。どの客とも公平に揉めている。そして最後にこっちにもやってきて「荷物代5000CFA(1,000円)だ!」と強ばった顔で請求してきた。かつてない荷物代だ。もう一切フランス語はわからないふりをして、周辺の野次馬を味方につけ、ジェスチャーで金はないと訴え続けると渋々撤退していった。
3時間ほどで車は出発した。道は舗装されていて、割りと快調に飛ばして2時間半で国境に着いた。マリに入国するときはなかった賄賂請求が出国するときにあり、若いスタッフが「金だせー!」といきり立っていた。如何せん車に乗っていた乗客全員が2000CFA(400円)払っているので、向こうも「お前もだー!」と強気だ。しかも、何故か出国スタンプは押す必要はないと、スタンプなしでパスポートを返してきた。出国スタンプがなければギニア側のイミグレで揉めるのは必至だ。
西アフリカのイミグレは賄賂を徴収する以外の事は本当に何も知らない。自国のVISAも見たことないし、ICチップのパスポートを見たことないから、パスポートをめくっていて、ICチップのページでメチャクチャ疑いの眼差しで調べ始めたりする。
ギニアイミグレも同じように賄賂請求があったが、「ギニア大使館で国境ではお金を払う必要はないと聞いた」と言うと無事スタンプをくれた。ベニン以降、西アフリカでは賄賂請求が殆どなく、快適な越境だったが、ここからはまた賄賂との戦いが始まる。アフリカから賄賂がなくなる日はたぶん来ないだろう。
ギニアイミグレは嫌がらせのような荷物検査があり、乗客の一人は荷物の包装をビリビリに破かれていた。一緒に乗っていたリベリア人兄弟はパスポートが偽物だとイチャモンを付けられ60,000ギニアフラン(741円)を支払った。殆どヤクザだ。
カンカンには夜の8時半に着いて、リベリア人兄弟がそのまま別の車でゼレコレに行くから一緒行くかと言うので、乗ることにした。兄の方が近くの屋台で夕飯を奢ってくれ、ここまで来たのと同じくらいボロいルノーのセットプラスに乗りこんだ。
カンカンからの道はこれ迄の舗装路が嘘のようにフルオフロードになった。道の両側はジヤングルでとてもギニアな感じだ。
ゼレコレまでは15時間ほどかかり、着いたのは翌日の昼だった。リベリア人兄弟はさらにそのままリベリア国境へ向かうと言うが、さすがに疲れたのでゼレコレに泊まることにした。この兄弟はタフだ。バマコからモンロビアまで2泊3日ひたすら乗り継いで移動だ。
バイタクに安宿へ連れていってもらった。かなり微妙な宿だったが、直ぐに寝たかったので泊まることにした。バイタクは15,000ギニアフラン(185円)と馬鹿な値段を言うので5000ギニアフラン(62円)だけ払って追い払った。
シャワーを浴びて少し眠って起きるともう16時だった。折角なので町を見に出掛けることにした。ザレコレは小さな町で殆ど見所もないが、なかなか人が良い。ブラブラして子供たちの写真を取り、夕暮れに宿に戻った。部屋に蚊取り線香が置いてあるので蚊が出るのだろう。ベッドを見ると蚊以外にも色々と出てきそうだ。とてもギニアな感じだ。
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