2017/FEB/1 「アッラーフ アクバル」

アフリカのサッカー人気はスゴい。この数ヵ月アフリカネイションズカップで、アフリカの町はどこも多いに盛り上がっていた。そして、今週の日曜はついに決勝だ。

今日は準決勝のうちのひとつ、エジプトvsブルキナファソが行われた。前半20分くらいまでホテルのレセプションで見て、飯を食いに出た。安食堂でも皆テレビに首ったけだ。どう見ても何も飲み食いしない近所の若者たちでいっぱいで、飯を頼むとオーナーはそいつらの視線を遮るようにテレビの目の前に特等席を用意してくれた。

飯のあと、宿の近くのバーでビールを飲みながら、バーのオヤジと後半戦を見た。タンクトップのいかにもローカルなオヤジはどうやら、決勝でガーナとブルキナが当たることを望んでいるようで、ブルキナを応援している。因みにガーナは明日、準決勝でカメルーンとあたる。この辺りはやはりブラックアフリカとアラブの人種の違いのためだろう。黒人は黒人に仲間意識があるので、アラブ人のエジプトには勝ってほしくないのだ。

ブルキナがサッカーが強いとは聞いたことがなかったが、ショートパスと個人技、思いきりの良さが素晴らしい。一方エジプトは堅実な、まるで日本を見るようなサッカーだ。試合は互角に進んだが、オヤジの期待とは裏腹に後半69分にエジプトがゴール。

エジプト人はゴールを入れた後、芝生に膝まづいて、イスラムの礼拝の時のように額を地面につける。たぶんアッラーフ アクバルと唱えているのだろう。オヤジも知っているのか、あいつらアッラーフ アクバルって言ってるんだぞと見下したようにいう。

それからはブルキナはロングパスに頼り始め、ダメな時間が過ぎたが、オヤジとショートパスでつながないとダメだねと話しているとに、見事にショートパスから同点ゴールを叩き込んだ。オヤジは大喜びして、俺の言った通りだと勝ち誇って言った。

試合は延長戦に入り、それでも決着がつかす、PKまでもつれ込んだ。するとエジプトは一人目がいきなり外した。オヤジは一気にテンションが上がり、外にいた客も入ってきて、PKを見始めた。3本目を終えて2-3。ブルキナが勝ちそうだ。ところが4本目でブルキナが外して、エジプトが追い付く。エジプトキーパーとイレブンはまた礼拝の時のように額を地面につけ、アッラーフ アクバルと唱えている。隣を見ると、テンションが上がりすぎたオヤジが、イスラム教徒でもないのに同じようにアッラーフ アクバルと唱え、額を床につけていた。一体どっちを応援してるのか分からないが、きっと興奮してマネせずにはいられなかったのだろう。

そして5本目、なんとエジプトキーパーがまた止める。エジプト奇跡の逆転勝利。画面ではエジプトの選手や監督が抱き合っている。客はブルキナを応援してたようで不機嫌そうに出ていってしまった。

オヤジはどこか吹っ切れたようで上機嫌に「明日はガーナだぞ!また明日な」と店を出るときに爽やかに言われた。翌日のガーナvsカメルーン戦でガーナは敗れてしまうのだが、このオヤジと一緒に見ることが出来なかったのが残念だ。


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