モロッコには北アフリカで一番高い山がある。トゥブカル山といい、4167mとなかなかの高さだ。しかも1泊2日でガイドなしでも登れるというので、金もさほどかからない。14年前はモロッコの有名な町を回ったので、今回は山に登ることにした。この旅で歩いた10数回の登山、トレッキングの締めくくりだ。
マラケシュの宿に着くとちょうどトゥブカル山から帰ってきたツーリストがいて話が聞けた。残念なことに山中で泊まる山小屋からは雪道らしい。ただでさえ、トレッキングブーツは底が剥がれ、防水性能もなくなってしまったのに、これで雪山登山はかなり不安がつのる。
彼らは短期の旅行でかなりいい登山靴を持ってたので、アイゼン無しで登れたらしいが、他のツーリストは皆アイゼンをつけていたという。彼らはマラケシュから3泊4日とゆっくりしたスケジュールで行き、登山の起点になるイムリルの町に登山後1泊してからマラケシュに戻ってきたらしい。
朝の8時前に宿を出たが、イムリルまでのシェアタクシーはいっこうに人が集まる気配がないので、途中のアスニ行きに乗り、アスニからシェアタクシーでイルミルへ向かった。マラケシュからアスニまでの景色は素晴らしく、緑の谷に土色の集落が点在する様子はパキスタンのフンザのようだった。
イムリルは小さな村で、数少ない通りには観光客向けのレストランや土産物屋、ツアー会社が並んでいた。腕時計の高度計では標高は1700mくらいなので、山頂までは2500m近く登ることになる。10時を過ぎていたので、立ち止まらずに村を突っ切って歩き始めた。
村は斜面にあり、村を出るまでに300mくらい登り、そこからは川沿いの平坦な道を進んだ。川を渡り、少し登ったところにトゥブカル山の入口の看板があった。そこからは谷沿いの緩い登りを二時間ほど歩き、川を渡るところにシャマロシュの村があった。元々人が住んでいたのか、登山客が来るので建てられた集落なのかは分からないが、とても小さな村でレストランや土産物屋が何件かあった。
シャマロシュからは二時間ほどで山小屋に着いた。途中雪渓をわたる箇所が幾つかあり、山小屋から先は完全に雪だった。小屋からの登りは急で、やはりこの靴ではかなり厳しそうだ。
山小屋は登山客で一杯で、チェックインの時に記帳を見ると殆どがスペイン人だった。皆短期の旅行で、装備に抜かりはない。厳冬期用の登山靴を持ってきている人さえいる。さすがにあれはオーバースペックだろう。
普段着の用な格好で底が剥がれた靴は、全身を雪山装備で固めた登山客からは異様に映ったことだろう。
山小屋には暖房もあり、かなり快適だが、ガイドの客引きがウザかった。ガイドを断ると大抵態度が悪くなる。こういうところがやはり途上国を感じてしまう。
0 件のコメント:
コメントを投稿