2016/DEC/30 「Château Chinois」

昨夜はザンデールのRIMBO社バスターミナルでゴサの上で寝ることにした。たくさんの人が寝ていて、屋根のある場所もあったが既に埋まっていたので、外になってしまったが、見知らぬおじさんに「ここだ、ここ!」と呼ばれて、同じゴザで寝させて貰った。

このバスターミナルはゴザやマットを貸し出しているし、コンセントもあり悪くない寝床だ。ただし、ほとんどのバスが4時発らしく、345分くらいに騒がしくなり寝ていられなくなる。

バスが出たあと二度寝して、7時半過ぎに起きて、表の屋台でオムレツサンドとコーヒーで朝食にした。それからチケットオフィスで明日の朝のアガデス行きのチケットを買って荷物を預けた。つまり今夜もここのゴザで寝るということだ。バスターミナルの通りからは中国が建てたという無意味に近代的にデザインされた、町に調和しない給水塔が見え、現地人から`シャトー チノス'と呼ばれていた。

ザンデールは植民地時代にフランスに首都をニアメに移されるまでは首都だった町だ。今はニジェール第二の町というが、実はたいして大きくはない。舗装された大きめの道が何本かあり、脇道を入ると日干し煉瓦の壁に土むき出しの路地で子供達が遊んだり、井戸で水汲みをしている。この路地はなかなか興味深く、日干し煉瓦を積み、泥を塗り、その上に独特の模様を描いてある家の壁が見られ面白い。建築的にも壁で囲まれた敷地が幾つかのコートヤードで区切られ、それらに面して外壁と一体の建物が幾つか収まっていて良さそうだ。

路地を歩いて疲れたら、屋台でお茶を飲み、写真を撮ったり町を見て回った。チャドに比べるとはるかに人がフレンドリーだ。子供たちも写真を撮ると喜ぶ。なんかこういうのは久しぶりだ。

市場をブラブラしてから、岩山から町を眺め、さらに先のグランモスクとスルタンの城へ向かった。スルタンの城は入るのに手続きが必要なのか、外で待たされて、中庭まで入ると入場料20,000CFAといわれた。高すぎるのでそこからは先には入らなかった。

帰りにニジェール相撲のスタジアムらしきものを発見したので入ってみた。競技は行われてなかったが、敷地内にバーを発見した。モスリムが大多数のニジェールで酒が手にはいるのか不安だったが、中にいた男たちはビールをグイグイ飲んでいた。しかもニジェールオリジナルのビールだ。すると近くの男たちがこっちで飲めと誘ってきた。どっしりした男に軍服の男、それに汚い格好のおじさんの3人がテーブルを囲んでいた。どっしりした男はムイスといい、一人だけワインに氷を入れて飲んでいて、いかにも羽振りが良さそうに見えた。そして、こっちのビールが空くと、直ぐに次のビールを持ってこさせ、全て払ってくれた。

4本目のおごりのビールを飲み終え、ムイスがワイン2本のあとのハイネケンを1本飲み終えると、彼のスクーターで亀を見に博物館へ出掛けることになった。何故亀なのかはよく分からないが、ムイスが突然「大きな亀がいるんだ。見たいか?」と言い出したのだ。博物館は小さな建物で伝統的な装飾が施されていた。てっきり博物館の中かと思ったら、ムイスは目もくれず建物の裏に周り、そこにいた人達に「亀はどこだ?」と聞いて回った。小さな女の子が「ここだよ」と指差した先は、廃墟のような崩れた建物で、3畳もないような砂ぼこりだらけの床に、よく見ると70cmくらいの亀が2匹いた。別に飼われているというわけではなく、放置されている。亀はセメントの袋の横で砂まみれだ。一体何処から連れてこられたのだろう。そして、ムイスは満足すると博物館には入ることなく、その場をあとにした。本当に亀だけを見に来たようだ。

そのあとは博物館から5分ほどのKouran Dagaという人の記念碑のような場所に連れてこられた。ラクダに乗った男の絵が描いてあるが、一体誰なのかは不明だ。続いて、Kouran Dagaの墓にも連れてこられたが、こちらは腰壁で囲まれただけの小さな敷地で言われなければごみ置き場だと勘違いしそうだった。ムイスはザンデールにくるジャーナリストは全員ここの写真を撮りに来ると言うが、一体どれだけのジャーナリストがここへやって来るのかは不明だ。

ムイスはこれで見所は全ておさえたという感じで満足し、またバーに戻った。すると今度はバーのオーナーだというナイジェリア人の男にばったり会い、その男の奢りで3人でまた飲み始めた。このオーナーはニジェールに20軒もバーを持っていて、ムイスが終始`ビックマン'と称えていた。アフリカではビジネスで成功するとビックマンと称えられる。なんとも単純な誉め言葉だ。

バーには飲んでいる間、色々な物売りがやった来たが、ムイスは足の爪磨きをしている男に爪の手入れをしてもらい始めた。男は専用のハサミを幾つも持っていて、器用に爪の表面や端っこの汚れを取り、爪を切って、最後にオイルを塗る。これは靴磨きのようなもので、この男は道具を持って町を歩き回って、人の爪を磨いて金を稼いでいる。ムイスに勧められ爪を磨いて貰ったが、なかなか気分は良かった。値段は二人分で200CFA40円)と信じられないくらい安かった。

ムイスはハイネケンを2本空けると、仕事に行くといい始めた。この男は会ったときから数えてワイン2本とビールを3本空けている。バイクで帰るのも止めたいくらいだったが、なんとこのあと仕事だった。

仕事へ行く前にムイスはバスターミナルまで送ってくれた。途中、知り合いの飯屋でフーフー(キャッサバの粉をお湯で溶いて餅のようにしたもの)みたいな食べ物を買い、そこにいた男をカラテマスターだと紹介した。カラテマスターは5段だと話したが、こんなに腹のでた5段がいるのかは怪しかった。

ムイスはバスターミナルまで送ってくれると、バス会社のスタッフの男を捕まえて「ちゃんと寝床を確保してやるんだぞ」と言いつけてから仕事へ向かった。あの分だと仕事中は爆睡だろう。因みにムイスの仕事は銀行のセキュリティだ。


今日は色々な人に会い、実に楽しい一日になった。このあたりの人はハウサ人といい、見た目はチャドの人達とそう変わらないが、オープンでとてもフレンドリーだ。写真も撮れるし、なんだか久しぶりにいい国にやって来た気分だ。



































0 件のコメント:

Recomend Posts

2017/APR/21 「最後の町」

日本へ帰る便は土曜日の昼にマドリッド発だったので、マドリッドには泊まらずトレドで 2 泊して、土曜の朝に直接空港へ向かうことにした。 マドリッド、トレド間は 30 分おきにバスがあり交通の便がよい。 トレドはスペインの有名観光地で、とても綺麗な町だ。スペインには何度も来てい...